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第51回:更に居心地の良いレストランへ、3つのステップ!

さて、このところソニック・ロゴのご紹介が続いていましたが、久しぶりにレストランの快適な音環境づくりについて振り返ってみましょう。



居心地の良いレストランを創る4つの法則に加え、さらに快適で戻ってきたくなる空間づくりの3つのステップをご紹介しましょう。


1.音を意識して家具を選ぶ
まだお店のオープン前でしたら、ぜひ「音」を考慮して椅子やテーブルを選んでみてください。硬い素材の床に硬い素材の椅子ですと、椅子を引くたびに「ギーギー」といった音が店内に響きわたります。またまたフードコートのお話ですが、プラスチックの椅子がプラスチックでコーティングされた床を引きずると、あたかも「黒板を爪でひっかく」ような音がフードコートの中をぐわんぐわんとこだましているのを思い起こせるでしょうか。このような場合は、椅子の脚にカーペットの端切れやフェルト生地、ゴムキャップなどをつける事でBGNレベルを緩和することが可能です。

そもそも吸音という点では、布生地で貼られた椅子が有効です。布生地の椅子が店内のインテリアコンセプトとそぐわない、ということでしたら背もたれにひざ掛け用のブランケットをかけておくだけでも、威力を発揮しますし、ブランケットはお客様に対するサービスとしても機能しますよね。

また、テーブルの表面が木材やスチールといった硬い素材の場合、食器やカトラリーなどを置いた時に発生する音がかなりの騒音源となります。もちろん、吸音という観点からはテーブルクロスをかけるのが一番有効なのですが、インテリアのコンセプトとマッチしない場合は、食器マットや大振りの葉っぱを敷くというのも良いアイディアとなります。

ワインクーラーの中の氷も実は結構な騒音源。これもアイスパックに変えると吸音効果がありますし、製氷機を使う必要もなくなります。アイスパックでしたら繰り返し使えますので、水道代や電気代も含めてコスト減になります。

以上、ここまで述べた音の一つ一つはささいな音ですので、ひとつだけ聞いただけではさほど気にならないかもしれません。しかし、これらがブレンドされて反響・反射しあうことで店内のBGNレベルは増加していくのです。ですから、その積み重ねをひとつひとつ、低減したり、カットしていく、ということがとても大切なのです。

2.電気機器を離す
コーヒーマシーンの音って結構、大きいですよね。筆者はあの「がががががががー---!」という音がとても苦手です。

製氷機、ビールサーバー、エスプレッソマシーン、ブレンダーなど。大きな音を出す機器をダイニングエリアから離して設置したり、機器の下に吸音材を敷いたり側面に吸音パネルを置くことも効果的です。

3. キッチンの周りに柔らかい素材を
調理音。野菜を刻むトントントン、フライパンでお肉がジュ~っと焼ける音、お鍋からぐつぐつと煮立つ音。食器をカチャカチャと準備する音。これらだけ聞くと、おなかがすいて来る気持ちになりますよね。これらは食欲を沸かせるポジティブな「アペタイト・サウンド」だからです。

一方で、レストランの業務用キッチンは、家庭のキッチンよりも調理に伴う動作音、洗浄音、機械音、業務用冷蔵庫のコンプレッサー音など様々な不快音も発生させます。

予算が許すようであれば、キッチンとお客様のダイニングエリアの間には防音ドアを設置しましょう。

最近では、キッチンを囲むようにカウンターがレイアウトされているオープンキッチンのお店も多いですね。鉄板焼き屋さんをイメージして下さるとわかりやすいでしょうか。このデザインはライブ感をもって調理を演出する効果がある一方で、キッチンから派生する音がお客様にダイレクトに届いてしまう音の問題があることは否めません。このようなレイアウトを選択した場合、キッチンとそれを取り囲むお客様の座るカウンターの境目のゾーンに金属製のフライパンやお鍋、エスプレッソマシーンなど、硬い素材ものや音を発する機材を配置しない方が良いでしょう。最近では座席の間に感染防止のアクリルパネルがありますが、ここに布生地などの柔らかい素材をおしゃれにレイアウトすると本来の目的である衛生面での機能に加え、音の吸音にも役立ちますよ!

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