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第63回:MacはThink Differentしているか?(後編)

ほんの数秒のサウンドを数億〜十数億人の世界中の人々に何十年にもわたって浸透させ続けている最大の成功例、Macの起動音について解説を続けて参りました。

ここで気になるのがライバルのあの会社、翻ってマイクロソフト。

試行錯誤の歴史はありますが、アップル社は長年Macの起動音に「F#(Triad) 、すなわち嬰ヘ長調の長三和音(ファ# -ラ#-ド#)」を使い続けています。少なくとも20年以上に渡り同起動音を使い続け、数億~十数億人のお客様に耳なじみのあるサウンドとして定着しているものと推測されます。

では、依然出荷数で圧倒的シェアを誇るマイクロソフトどうでしょうか?

マイクロソフト社はWindowsのバージョンが変わる度に毎回起動音を変えている模様。



Windowsは1980年代から2024年の今日まで脈々と続く歴史ある一つのプロダクトです。

これは「トヨタのカローラ」で言えば、消費者とトヨタの双方がカローラを一つのプロダクト、一つのブランドとして認識しており、カローラが発売されてから半世紀が過ぎ、幾度のモデルチェンジを変遷しようとも「カローラはカローラ」であるととらえるのと同様と言えるでしょう。

よって、Windowsのモデル番号の末尾がXPであろうとNTであろうと7であろうと10であろうと、消費者から見ると、プロダクトのモデルチェンジに過ぎないはず・・と思われます。ところがマイクロソフト社は、プロダクトのモデルチェンジがある数年ごとにWindowsの起動音も変えてしまうのです。

これでは起動音が記憶に残りません

一方でアップル社はMacに一つの起動音を使い続けることで数億~十数億のタッチポイントを創出し、星の数ほどのお客様の心に「Think Different」を数十年以上に渡って刻印し続けているわけです。アップルが数十年前のたった一度の初期投資で潜在的に獲得した広告効果と、マイクロソフト社がWindowsのバージョンアップごとに起動音を変更し続けることで失った潜在的広告効果をお金に換算したら莫大な金額になるであろうことは想像に難くありません。
そして言うまでもなくアップルは音やサウンドを企業価値を高める無形資産として活用している企業の大成功事例と言えるでしょう。

日本は長く「ものづくりの国」と言われて来ました。日本の企業が製造する「もの、プロダクト、製品」の中には車をはじめとし、起動音を鳴らす商品が多数ありますからぜひアップルの成功例を見習いたいものですね。

最初の問いに戻りましょう。

MacはThink Differentしているか?

ミスター・ジョブズの名にかけて申し上げましょう、はい、間違いなく!

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