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ニンジャスレイヤーTRPGソロリプレイ:「ア・ロー・ペイイング・ジョブ」

◆注意◆ドーモ、Tac.Tと申します。この記事は、自分がニンジャマスター(以下NM)を兼ねて1月2日の夜に行った公式サンプルソロプレイを、大幅な加筆修正とオリジナルのストーリーを加えて公開したものです。◆新参◆出来る限り推敲はしておりますが、お見苦しい点ありましたらご容赦くださいますようご協力お願い致します。◆感謝な◆

◆自ニンジャのRP含めた練習な◆データを抜き取るだけの簡単なソロプレイです◆とはいえ実際SSめいていて長い◆ご了承ください◆
(Hedder Photo by manateeeeen)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

…………グシャッ、グシャッと歩みを進める音が何処かから聞こえる。1

「実際安い」「スゴイ人になる」「中古CAR売」「DVD部屋」「やんばい女」…広告文字が所狭しとネオンに輝き、黒色の有毒磁気雲に覆われたネオサイタマの暗い夜を真昼の如く照らしている。行き交う人々の表情に覇気はなく、ただぶつからぬように先を急ぐ事に忙しい。2

「安い安い、実際安い」「あなたはよく借りられる…ふわふわローン!」空を行く広告マグロツェッペリンから投げつけられる大音量広告音声。無実なサラリマンにジャッカルめいて群がり、金品をはぎ取るヨタモノ達。クルマすら通れぬスクランブル交差点。3

ケオスの坩堝の中を、1人歩む者あり。くたびれた黒いつば広帽、紺青のPVCレインコート、周囲より頭一つ分のみ抜きん出た男。旧世代めいた時代遅れの丸ゴーグルと、口元にはスカーフ。ネオサイタマにおいては一般的な服装の部類に入る。4

…グシャッ、グシャッ、…男は体に降り注ぐ重金属酸性雨を物ともせず、水たまりをも避けずにただ歩みを進める。ゴーグルの奥の瞳は虚無的な眼光を湛えている。彼は仕事をしに向かっているのだ……大したカネにもならぬ仕事を。5


「ア・ロー・ペイイング・ジョブ」


◆重金属酸性雨が降り注ぐツチノコ・ストリート。デスシャドウ・ヤクザクランのデータセンター事務所が、その一角の雑居ビル内に存在していた。お前の目的は、このヤクザクランのデータセンター事務所に忍び込んでUNIXをハッキングし、コケシマート社の未公開株件を奪い取ってくることだ……!◆

グリーディハゲタカ・ヤクザクラン。これと定めたターゲットから、カネも権威も全てを奪い取る。クラン名が示す通りの、情け容赦ない略奪者達だ。昼間であっても薄暗く、夜であればなお暗いカメノコ・ストリートの一角に、その事務所はある。 6

仕事内容はいたって単純である。かの事務所に入り込み、UNIXをハックして、奪われたコケシマート社の未公開株券を奪い返す。依頼元はソウカイヤ………ネオサイタマに深く根を張るニンジャ組織。実際彼にとっては因縁深い組織でもある。 7

[ニンジャ名:マインドセット カラテ:3、ニューロン:6、ワザマエ:2、ジツ:1(カナシバリ)、体力:3、精神力:6、脚力:2]
◆このエピをプレイした当時のデータな◆

彼…マインドセットは、フリーランスの暗黒ニンジャエージェントとして生計を立てている。だが現在のネオサイタマの裏社会は、ソウカイヤの首領…ラオモト・カンの、ほぼ一強独裁体制と言っていい。名目上はフリーランスとはいえ、実際はソウカイヤの傘下にある形だ。8

ネオサイタマの夜に稲光が走った。マインドセットはヒビ割れがあちこちにある老朽化の激しい雑居ビルの前に立つ。ここにグリーディハゲタカ・ヤクザクランの事務所はある。入り口にはショットガンを持つクローンヤクザが1体。警備はそれなりと言ったところか。 9

◇ドーモ、モーターロクメンタイです。大丈夫、私がナビしますよ。あなたは今データセンターのすぐ近くにいます。玄関前には、ショットガン装備のクローンヤクザY-10型が1体、守りを固めているようです。普通のクローンヤクザはチャカガンを装備していますが、ショットガンとはなかなか危険ですね◇

◇しかしここを突破しなければ、あなたは目的のUNIXにたどり着けません。悠長なことをしている暇はないので、さっそくクローンヤクザに向かってスリケンを投げてみましょう!『【ワザマエ】値に等しい個数のダイスを用意し、振ってみてください(ダイスが足りない場合は何回かに分けて振ります)』◇

マインドセットは影の中に立ったまま、両手を組み合わせて印を切った。「…リンピオトーシ……」…これは彼のニンジャネームの由来にもなった、独自に編み出した精神集中法だ。「……」印を切り終わったマインドセットは、クローンヤクザの眉間を見据えて、スリケンを放った。「イヤーッ!」10

◇振った中に出目4以上のダイスが1個でもあった場合、スリケンは命中です!◇「イヤーッ!」「アバーッ!」クローンヤクザの額にスリケンが突き刺さり即死!あなたは次のチェックポイントに進めます!◇出目4以上のダイスが1個もなかった人は、クローンヤクザから反撃を受けます!次のツイートへ!◇

[ダイスの出目:1,1] 失敗!

七色の光彩を放つ鉱物の結晶めいた彼のスリケンは、マインドセットの手を離れて明後日の方向に飛び…情けなく澄んだ音を鳴らした。「……アレ?」ナムサン!マインドセットはニンジャになってまだ日が浅く、カラテもスリケンもまだ未熟だ!「ア……へへ……」彼は異変に気付き、ショットガンを向けるクローンヤクザに、困ったような笑みを向ける… 11

◇さあ敵の反撃です◇「ザッケンナコラーッ!」BLAMN!警備クローンヤクザはあなたに向かってショットガンで発砲してきました!クローンヤクザは【ワザマエ】3なので、私はダイスを3個振ります。クローンヤクザの出目は【6、1、1】でした。敵の射撃は成功!大変です!銃弾が飛んできますよ!◇

◇もしあなたがモータルならば、これで冒険は終わっていたかもしれませんね。でもあなたはニンジャです。銃弾を回避してみましょう!これを『回避判定』と呼びます。あなたのニンジャの【カラテ】【ワザマエ】【ニューロン】の中で最も高い値に等しい個数のダイスを握り、振ってみてください!◇

◆この場合1番値の高いニューロンのダイス6個を降ります◆成功値はNORMALなので4以上な◆
[ダイスの出目:6,4,3,3,3,2] 成功!

「ザッケンナコラー!」BRAMN!警備クローンヤクザはマインドセットに向けて発砲!しかしマインドセットは射撃を察知!先手を打って跳躍し、クローンヤクザに頭上からのケリ・キックを浴びせた!「イヤーッ!」「グワーッ!」12

当たりどころが悪かったのか、クローンヤクザの首は体からちぎれ、緑色の体液を噴出しながら転がった。マインドセットはしばし逡巡すると、首なしの死体に手を合わせ、しめやかに事務所ビルの中へと入って行った。13

13階。グリーディハゲタカ・ヤクザクランの事務所が入居する階である。マインドセットは古ぼけた木製のドアの前に立った。「事ム所な」と小さくミンチョされたすりガラスがはめ込まれている。ドアノブを回そうとするが…「……ン?」14

…ドアノブはよく見ると論理錠前搭載型である。電脳メガロシティ・ネオサイタマにおいては、株券や預金等のマネー情報が何よりも重視される…。目の前のヤクザクランのデータセンターもまた、そのような貴重な情報を溜め込んでいると見えた。15

◇あなたはドアノブをひねりますが……やはり鍵がかかっていますね。行動を選択してください

選択肢1:【カラテ】で強引に破壊する(目標出目5以上)。
選択肢2:【ワザマエ】で物理錠前を破る(目標出目4以上)。
選択肢3:【ニューロン】で論理錠前をハッキングする(目標出目3以上)

◆ニューロンで判定します◆
[ダイスの出目:2,6,5,4,5,3] 成功!

「フーム…」マインドセットは小型UNIX端末を出すと、コードを伸ばして論理錠前と直結、流れるような指タイプでハッキングを仕掛ける。キャバァーン!爽快な電子音とガチリという重い音が響き、論理錠前は解錠された!「…こんなもんか」マインドセットは静かに独りごち、少し身を屈めてデータセンターに入室した。16

データセンター内は、無機質なモノリス状の大型UNIXが、理路整然と等間隔で並べられていた。その一番奥に、データ照会用のUNIX端末が設置されている。マインドセットはUNIX端末の前に座ると、今一度精神統一のルーティンを繰り返し…フロッピーディスクを端末に差し込んだ!(((さて、どこまで行けるか…?)))その時である!17

「ナ!?ナンオラー侵入者!」常駐警備クローンヤクザが、マインドセットの姿に気づいた!「ッ!と、忘れてた…!」マインドセットは即座に警戒、立ち上がるとカラテを構える!身の丈2メートル足らず!力強く構えられたカラテから、重厚なアトモスフィアが立ち込める!18

◇🎲さあ、ドアを突破できた人はいよいよクライマックスが近いです!◇部屋にはUNIXが並んでいますが……「スッゾコラーッ!」警備クローンヤクザが1体、ドスダガーを構えて向かってきました!あなたの【カラテ】の見せ所です。【カラテ】で判定してください。難易度はNormalなので目標値は4です!◇

[ダイスの出目:5,3,1] 成功

KRASH!マインドセットはクローンヤクザのドス・ダガーを、レインコートの下のブレーザーで受け止める!そのままクローンヤクザの腕を掴むと…「イィヤァーッ!」ゴウランガ!クローンヤクザを振り回し、横に半回転!そのままイポン背負いだ!19

「アバーッ!」床に叩きつけられたクローンヤクザの耳から、緑色の脳漿が溢れる! マインドセットは油断なくザンシンすると、クローンヤクザの胸元から抜け目なく万札を抜き取り、小さくネンブツを唱え…再びUNIXの前へと座り直した。(((では気を取り直して……ここからが正念場だ…!)))20

マインドセットがニューロンの奥深くに意識を滾らせた!何たるタイピング速度か!ニンジャ身体能力の影響か、あるいは彼の元来の素質の良さか、その指先は滑らかに動き、正確にキーボードをTAPしてゆく!ワザマエ!(((本来の仕事は株券までなんだが…)))彼の狙いは……ナムサン!ヤクザクランの口座データそのものだ!21

◇🎲さあ、あなたは無事にクローンヤクザを倒し、生き残っているでしょうか?いよいよ本日最後のチェックポイントとなります。敵は全て排除しました。目の前にはハッキングを待つだけのUNIXがあります。これをハッキングして未公開株件をゲットすれば、ミッションクリアになりますよ!◇

◇🎲選択してください。最後の判定です。この判定は【精神力】使用不可です◇
選択肢1:未公開株券データを狙い【ニューロン】でハッキングする(出目目標4)
選択肢2:株券データを盗むだけでなく、ヤクザクランの銀行口座そのものを狙い【ニューロン】でハッキングする(危険!:目標出目6)

◆選択肢2に進み、決断的にニューロンで判定だ!◆目標出目は6な◆
[ダイスの出目:3,1,1,6,3,4] 成功!

…キャバァーン!ストロコピペペー!「ッ……と!」マインドセットが安堵の声を上げる…。ゴウランガ!彼は幾重にも設置されたファイアウォールを潜り抜け、グリーディハゲタカ・ヤクザクランの口座情報を見事上書きせしめた!この働きは万札20束はくだらぬだろう!22

マインドセットはリスクの高い仕事を終え、一息つこうと、椅子に深く背もたれた。「…ン?」ふと、何者かの気配に気づく。「……アイエエエ…アイエエエ……」マインドセットが耳をすますと…その声は子供の泣き声に聞こえた。23




「アイエエエ……アイエエエ……」…か細い声に従い、マインドセットが恐る恐るデータセンターの奥へと歩みを進めると、奥の小さな一室に子供がひとり座っていた。チェーンで手首を繋がれている。「アッ…アイエエエエ!?」子供は背の高い異質な入室者を見るなり、一層怯え、泣き喚き出した!24

「アッ、何だ!落ち着け坊主!大丈夫、大丈夫だから…」状況を読み込めず、思わずマインドセットは慌てる!「何も怪しいモンじゃない!アイヤ、怪しいと言ったら怪しいが…悪いヤツじゃないから!大丈夫だから!」メンポがわりのスカーフを押し下げ、精一杯の笑顔で子供をなだめる! 25

「アイエエエエ!タスケテ!アイエエエエ!」「ほーらほら泣くなって!アッ…」マインドセットは何かを思い出すと、ポケットの中に手を突っ込み、子供の前に顔を近づける…「ほーら見てみ…」彼が鼻の穴の中の何かをつまむと……ゴウランガ!鼻の中から万国旗が次々と飛び出す!26

子供は泣き喚くのをやめ、呆気にとられた様子で万国旗を見る…。「お次はこんなので…」今度は口からトランプの滝だ!子供はびっくりして目を見開く!そしてマインドセットは散らばったトランプや万国旗をかき集め、帽子の中にざっくばらんに詰め込むと…「腹、減ってるだろ?」帽子の中からブリトーを取り出した!27

「わぁ……」子供はブリトーを受け取ると、包装を開けて食べ始めた。「落ち着いてくれたようで良かったよ…余興用のマジックグッズがこんな所で役に立つなんてな…」マインドセットがおどけた様子で帽子を被り直すと、帽子からバラバラとトランプや万国旗が溢れる。ここで初めて子供は笑顔を見せた。28

「何でこんな所に?お使いで来たわけじゃないよな」「…お父さんのシャッキンが何とかで…」マインドセットは顔をしかめると、先程入ってきたドアを一瞥し、少々考えを巡らせた。(((…借金のカタがわりか。実際ヤクザのやりそうな事だ。連中も最早後は無いだろうし…子供のひとりぐらい離してやっても良いだろう))) 29

その時である!突如として外からヤクザの怒号が響き渡った!「ナ…ナンオラー!ロックが解除されてやがる!」「どういう事ッコラー!」子供の顔が再び恐怖に歪む!「アッ…アイエエ…」「シッ…」マインドセットが子供の口を抑え、口に人差し指を添えて見せる。「大丈夫だ」30

床に散らばったトランプを即座にかき集め、万国旗を巻き取りコートに仕舞うと、マインドセットは子供のチェーンを引きちぎると彼を抱きかかえ、小部屋の窓を開けて、ネオサイタマの夜に飛び出した!「アッ、アイエエエエ!」31

……子供の悲鳴を聞きつけ、ヤクザ達が小部屋に押しかけた頃には、もはやマインドセットは表通りへと逃げ延びていた…。彼らが借金のカタがわりどころか、何もかもを失っていた事に気づくのは、それから少し後の事である。32


◇ファオンファオンファオンファオン……騒ぎを聞きつけたのか、表通りでNSPD武装パトカーのサイレン音が鳴り響いています。潮時です。ハッキングに成功したニンジャも、そうでないニンジャも、アジトへと帰りましょう。『ふわふわローン』を選択していた人は【万札】10を支払っておいてください◇


一方、ナキバシ・ストリート。ソウカイヤの家紋を掲げた家紋タクシーが、トコロザワ・ピラーへ向けて走っている。今年で40歳になる運転手のカメジは、子供の進路を心配しつつハンドルを握っていると、ふと片手を素早く振ってタクシーを呼ぶ影に気づいた。背の高い、帽子にレインコート姿の男。33

「ソウカイ…アイエエエ!?」「頼まれてくれるか!?彼を送り届けてくれ!ヨロシク!」カメジが男の所属を確かめる前に、丸ゴーグルの偉丈夫が窓に顔を近づけ、切羽詰まった様子で凄んだ!「早く!連中が追ってくる!」「れ、連中って…」「良いから!」34

「そそそ……そんな事言われたって…」「良いかアンタ…」マインドセットがコートの内側をカメジに見せる!…その内ポケットにはソウカイヤの提携証明書が差し込まれていた!さらに彼は、子供に見えないように注意を払いつつ、カメジの目の前で結晶スリケンを生成してみせる!35

「アイエエエエ……」カメジはしめやかに失禁!ナムサン!目の前の男はソウカイヤと懇意のニンジャである!「し…しかし…正式な所属…」「上には秘密にしてくれ…!家紋タクシーは実際ハヤいから、寄り道して時間が遅れたって何とかごまかせるだろ!?」36

そう言いつつ、マインドセットは子供から聞き出した住所を書いたメモ用紙と共に、万札三枚をカメジの胸元に突っ込む!「運賃と口止め料だ!何かあったらメモにある番号に電話してくれれば良いから!スマン!」そう言いつつ、彼は子供を後部座席に乗るように促す…「おじさん!」37

窓越しの唐突な子供の一言にマインドセットは振り向く。「あ…ありがとう…」…絞り出された感謝の言葉に、彼は一瞬答えあぐねる。「……気にするな。ただの…お節介だ。」彼がゆっくりとそう告げると、家紋タクシーは発進した。38


ネオンサインに消えていく赤いテールランプを、彼はじっと見送る。……こんな事をして何になる。ただの気休めだ。いくら助けようがやがてまた彼は暗黒社会に飲み込まれる。…こんな事を続けようが、ニンジャとしての邪悪性が消える事は無いというのに。39

疑念が、悔悟が、光化学スモッグ雲めいて、マインドセットの中で渦巻く。1か月前。マルノウチの悪夢。激しい抗争。子の死体の前で泣き叫ぶ親。親を捜し求めて歩き続ける子ら。……自分は無力であるという現実。慟哭。目を閉じれば今も、先程のことのようにはっきりとフラッシュバックしてくる。41

「……それでも。」それらを断ち切るように彼は呟いた。「そう生きていくと決めたんだ……そう生きたいと願ったのは俺だ…」マインドセット……タニマチ・ギンジはやがて踵を返して歩き出す。仕事の報酬は先程若干減った。ソウカイヤに戻れば、またさらにピンハネされるであろう。40

(((実際難儀な仕事だ。フリーのニンジャエージェントだなんて。)))タニマチは心中で独りごちる。(((……だが、仕事の中で、出来るだけ多くのカタギの人間を助ける事が出来れば。…助けねば。)))やがて、彼の影はネオサイタマの闇に消えていった。41

ネオサイタマの明けない冬に、今宵も相変わらず冷たい重金属酸性雨が降り注ぐ。…その片隅で、家紋タクシーの横で再会の喜びに涙を流す家族が居た事に気づく者は、誰一人として居なかった。42

「ア・ロー・ペイイング・ジョブ」

◆完◆


◆忍◆
ニンジャ名鑑#XXXX
【マインドセット】
ネオサイタマの武装ジャーナリスト、タニマチ・ギンジにニンジャソウルが憑依。憑依したソウルの影響か、モータルの頃の善性や人間臭さをそのまま保持する。現在はフリーのニンジャエージェントとして糊口を凌ぐ。つばの広い中折れ帽に丸ゴーグルが特徴的。
◆殺◆



タニマチが家路につこうと路地裏に足を踏み入れると……突如として悲鳴が辺りに響き渡った!「ナンオラ……アイエエエエ!焼けるゥ!燃えるゥゥゥ!」異様なアトモスフィアを察知!彼は赤々とした光の射す方へ走り出す! 43

「アバッ……アババ……サヨ、ナラ!」遅きに失した。悲鳴を上げた男は、タニマチが現場に着く間も無く爆発四散!…爆発四散?そう、彼はニンジャであった!そして爆発四散痕を前に立ち尽くす、彼のイクサの相手もまた、ニンジャ! 44

2秒遅れてタニマチがその現場に着く!彼はそのニンジャの異様な風貌を、見た。華奢な体躯の少女。所々が焼け焦げた、質素な灰色の洋風のドレスに赤いエプロン。二つ結びにされた灰色の髪。フードめいて目線を隠す、白い頭巾。45

女ニンジャは、先程爆発四散せしめたニンジャのメンポを拾い上げると、軽く内側を拭き取り自らの顔につけた。そしてタニマチの方に体を向ける。彼はその瞳を目の当たりにし、戦慄した。深い絶望に縁取られ、燃えるような怒りに歪められた鋭い瞳。46

「ドーモ……レッドブロッサムです……」女ニンジャは手を合わせ、憤怒を圧し殺したような声でタニマチにアイサツした。タニマチもまた、静かにスカーフを目元まで引き上げ、アイサツする。「……ドーモ、マインドセットです…」47



そこに善も悪も無く、行為とその結果が残るのみ


◆STILL‘A’LIVES SERIES ** #1 **◆

◆NEXT… ”STRANGER AND FLAME GIRL“

◆つづく……◆最後までありがとうございました◆

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