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【登山記】愛鷹山中は水のリズムに足取りを合わせて登ろう

愛鷹山は愛鷹山塊の一部

愛鷹山に登ると聞くと、どの愛鷹山? と聞き返してしまう。
一口に愛鷹山といっても、本当に愛鷹山なのか、愛鷹山塊のうちの位牌岳のほうまで目指すのか、それとも裾野の十里木方面から、越前岳を目指すのか。
位牌岳を目指すコースを行くなら、それなりに大変だ。
日帰りはもちろん可能だが、6~7時間は見ておいた方がいい。だが、荒涼と聳える位牌岳は、一見の価値はある。
また、そこから尾根を下っていくつかの名前の付いたピークを経由して、南の愛鷹山に至るのも気持ちがよい。

今回は、位牌岳ではなく、長泉町の桃沢の水神社から最短距離で愛鷹山を目指した。つまり、愛鷹山の登山道のもっとも一般的なコースである。

駐車場もあるスタート地点の水神社 その名の通り水の神を祀る神社で、少し激しい川の音が気持ちよい。小学生がこの日は遠足だろうか、たくさんいた。

水神社から愛鷹山への登山口は林道を経由し、いくつか登り口はあるものの比較的わかりやすく道に迷うことは少ないだろう。
ところどころにピンクのテープが巻かれており、目印となっている。

ところどころにテープが巻かれている。
このはしごの先は、愛鷹山の北、一服峠というところに出る。メジャールートとはまた違う。
愛鷹山登山口の印

林道を歩き、ちょっと飽きたころに登山道が現れる。

水神社からのルートは、30分ほど林道を歩き、やっと現れる写真の階段のようなところからが本格的な登山口のスタートとなる。
一応気を付けておきたいのが、この手前に二ヶ所ほど別のピークや鞍部につながる登山口があるということだ。
そのいずれからも、結局は愛鷹山には登れるが、ルートとしては異なるので、注意が必要だ。

整備されているが、とても歩きにくい。
ガラの道が続く、途中分岐が少しわかりにくい。

沢沿いを歩く、水の音が心地よい。

木の階段の先はしばらくガレ場が続く。
足元をとられるので少々歩きにくい。漸くそこを抜けると歩きやすい山道となり、途中は沢が横を流れせせらぎの音を聴きながら進むことができる。
途中の素晴らしいルートの写真を撮り忘れたことがなんとも心残りだ。タイミングがよければ、山の植物や花を愛でながら、ゆったりとハイキング気分を楽しむこともできるだろう。
手元の記録を見ると、先ほどの木の階段がある登山口から愛鷹山の頂上まで2時間50分となっている。途中休憩を結構取ったので、正味2時間くらいが登山時間と言えると思う。
この日は少し曇っているくらいで、あまり暑くなかっため体力の消費も大分押さえられた思う。しかし前日の雨により粘土質の場所は滑りやすく危険だった。登山靴はしっかりと足首まであるもので、靴底もすり減っていないか確認してから登るとよい。

漸く餅の中の登山道を抜け、馬場平へ。霧がなければきっと位牌岳が見えるはず。

森林の中を沢沿いに少しずつ登っていくため、距離的にはかなりあるように思うが、ともかく歩いていけばやがて馬場平という場所につく。

ここから一踏ん張りで愛鷹山へ

さて、馬場平は目的地ではなく、そこからすぐ南側に見える愛鷹山が今回の目的地だ。
ここまでの長さに比べればあと一息、程度の距離なのだが、この最後の一踏ん張りが意外ときついかもしれない。
滑りやすい粘土質の山肌を周辺の木や草に掴まりながら体を引き上げるように登っていく。
息が切れる頃、見えてくるのが頂上だ。

山頂より富士山川を望む

愛鷹山は日本二百名山に選ばれている。
またここの三角点は一等三角点である。全国には1000近くの一等三角点があるようだ。

一等三角点を踏む

この愛鷹山からは、沼津側からは拝めない富士山の姿が見られる。沼津側からは、いつも愛鷹山が富士山の大部分を覆い隠し、愛鷹山の上から富士山が覗いている。
その愛鷹山の上から富士山を見るのだから、いつもと違った姿が見えるのは、沼津市民にとってはちょっと感慨深いものがある。

荒々しい富士山


愛鷹山の山頂には、祠がある。
愛鷹明神桃澤神社奥宮というのが正式名称のようだ。
かなり古い神社で、祀られているのは、
ニニギノミコト
コノハナサクヤヒメ
タケミナカタノカミ
の三柱である。
タケミナカタノカミが祀られているところから武芸との関係もあるのかと思うが、愛鷹は牧があり馬が放牧されていた歴史もあるので、その辺りも絡んでくるのかもしれない。
いずれにせよ、地元の崇敬が篤い神社である。

ここからの下山道はピストンではなく、柳沢方面に下るルートをとった。この柳沢ルートが地元の人使う道のようだが、結構骨が折れるルートだった。というのも、粘土質の場所が多く、雨上がりの下り道は、滑って危険なことこの上ない。それなりに登山経験がある私であったが、2回ほど尻餅をつくほど転んでしまった。とちゅう滑り止めのシートが敷かれていたが、その上を既に流れ出た土が覆いはじめており、使い物にならなくなりそうだった。ただ、林道までの道は、迷うことなく一本道なので、気を付ければ問題ない。

林道に合流してからは、そこを突っ切る形で裾におりていくことになる。途中標識が見えにくくなっているところがあり、注意が必要だと思った。

所々見えにくい標識がある。青いテープ見えるだろうか。

登りの時間が遅かったこともあり、下りはかなり急ピッチで下った。それでも登りの2時間に対して、ほぼ同じくらいの時間が掛かったので、結構しんどいコースだった。

沼津や富士側から愛鷹山を目指すルートはいくつかある。また殿ピークを目指すかによって、選ぶ楽しみもある。
季節ごとに山の景色が変わり、登る楽しみ方も少しずつ変わる。私も今回で5回目の愛鷹山登山である。
これからも、登る機会はきっと訪れるだろう。その度に新しい感動がある山であり続けるだろう。

花も楽しめる

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