緑のフィーカの会(第7回2024/07/07)〜感動とは、どうしたら感動し続けられるのか〜

久しぶりに第7回の会を開催しました。私が旅をしていてなかなか開催に至れていませんでしたが、少し落ち着いてきたこともあり開催に至りました。

さまざまな国を旅する中で日々感じていたのは、この社会、世界がどうしたら感動的になるのかということでした。そうした私の旅の経験も踏まえ、感動というものについて、この会のメンバーで考えていきました。

久しぶりということで最初は近況の共有から始まりましたが、クライメートテックについて話題が出たので少し共有します。

クライメートテック

私の会社では気候変動やクライメントテックに関するファンドの投資先のベンチャーを見始めています。直接投資を検討しているところです。

私も含めて3年上の先輩と一緒に投資先を見て、上の人に提案し決定します。会社では4、5人でクライメントテックを担当しています。

注目している分野は?

具体的な投資先は言えませんが、ブレイクスルーエナジーというビル・ゲイツがやっているファンドや、PCU(二酸化炭素を使って化学製品やコンクリートを作る技術)、水素関連の技術、水電解の膜、バイオ燃料、合成燃料などを注目しています。

EVやトランスポーテーションに関する投資が多いようですが、CO2の排出量を考えると、今後どうなるか気になります。

EVは確かにCO2の排出が問題ですが、技術革新が進めば環境に良い影響を与えると思います。ハイブリッド車や全固体電池の技術革新が必要です。

リサイクルについて

重要な問題ですが、現状ではあまり注目されていません。サーキュラーエコノミーの重要性は高いですが、ファイナンシャルリターンが低いため、金融的には盛り上がっていない感じです。

リサイクルメーカーの観点からも、資源循環の重要性が高いが、優先度が低いと感じます。

テーマとしては今後盛り上がってくると思いますが、資金供給の環境整備がまだ整っていない印象です。

クライメントテックの定義にサーキュラーエコノミーは含まれますか?

クライメントテックの中にサーキュラーエコノミーが含まれるべきだと思いますが、金融的にあまり盛り上がっていないのが現状です。サーキュラーエコノミーはテクノロジーというよりもカルチャーな気がしていて、投資の仕方も気候変動等と比べてだいぶ変わってくる気がします。

確かにサーキュラーエコノミーは一つの概念でこれまでの資本主義の文脈とは別のものかもしれない。一方で太陽光パネルのリサイクル問題などはずっと前から問題となっていて、今後のテック業界でも重要な課題となるでしょう。


感動とは、どうしたら感動し続けられるのか

私平澤の方から話題提供です。

世界一周してきました。5月1日から6月15日にかけて、インド、ウズベキスタン、トルコ、ドイツ、アイスランド、スペイン、モロッコ、ペルー、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアを回りました。

スポットとしてはグランドキャニオンが非常に良かったです。国としてはスペインは観光地として無難で、ご飯も美味しいですし、サグラダファミリアがすごかったです。ペルーはご飯がめちゃくちゃ美味しくて、アンデス山脈の中にあるマチュピチュは大変感動しました。

旅をしていて色々考えることが多かったんですが、今回のテーマは『感動をどうやって持ち続けられるのか』です。大人になると普段の業務に忙殺されて、なかなか毎日ワクワクして生きていくのは難しいです。旅をしていてもだんだん感動に慣れてくるので、非日常って日常の中にあってこそ大事なんだなと思いました。

その中でも記憶に残ってる体験ってどんな時だったかと思うと、素晴らしい景色を見た時というのもあるけれど、身体性が伴ったときではないかと思うことがありました。五感を使った時ですよね、匂いとか、食感、ご飯なんかはまさにそうですが、あとは自分で体を動かしたとか、触ったとかそういう瞬間が1番記憶に 残りやすいなと思っています。

そんなことを考えながら旅をしてきましたが、普段の生活をしながら、どうやって感動的な経験を得ていくのかというのをみなさんと色々深ぼっていきたいなと思います。


立ち止まるって大事なんじゃないかなと思ってます。どんなに忙しくても、一度止まってみることが大事です。最近、東京近辺の山を登るようにしてます。日曜日も絶対作業した方がいいなと思いつつも、山に登ります。帰ってくると、行き詰まってたところがうまくいったりします。電車に乗る前に本屋さんで本を買うなど、立ち止まることが大事だと思います。

山はどこが良かったですか?

丹沢に3月に一人で登ったんです。ランニングシューズで登り始めたら雪が積もってて、絶妙な達成感がありました。

また、自然は拡大してみても生き物がいてダイナミックスがありますが、人工物は拡大してみたときに構造が決まってます。それは自然と人工の大きな違いで立ち止まって自然に入るということが大事な気がします。

観察が大事ですね。普段の生活の中で物事を観察する習慣が減っているかもしれないです。自然の中はいろんな発見ができます。

あと、クリエイティビティにも関わりますが、不便さっていうのがセットになるんです。例えば、料理をする時、自分で火を起こして、それを焚いて自分で作って食べる経験の方が記憶に残りやすいです。みんな不便さを求めてキャンプに行くこともありますが、田舎にいればそれが日常でできる。不便さを取り入れると変わることがあるのかなと思ってます。

自然に触れるとか、観察するとかってすごく共感するんですけど、やっぱり、世界の見方を変える機会を持つことが大事だなって思います。例えば、小説を読んだり、ポッドキャストを聞いたりすることですね。
ポッドキャストをよく聞くんですが、それで世の中を観察する目をいくつか持てるというか、いろんな視点で見ることができるんです。例えば、歴史的な目線を得たり、生き物や文化について考えたり。そういうことをすると、見えてくる世界が変わって、感動が増えるなと思います。
この会もそうだと思います。みんながちょっとずつ違う観点で世界を見てるから、話すとすごく面白いし、新しい見方を得られます。そういう対話の機会を持つことで、感動を持ち続けることに繋がっていると思います。
フィールドワークでも、農村に行くと自分とは全く違う暮らしをしている人たちがいる。そういうところで、ちょっとした感動がたくさんあります。

例えば、みんなが本やポッドキャストを読むようになったら、感動を持ち続けられるようになるのでしょうか。それとも、感動を持ち続けるためには、もっと根本的なところで、自分自身の生き方や価値観を変える必要があるのか。どっちなんでしょうね?

それは現実がキーポイントかなと思います。コロナのとき、生活必需品だけが重視されて、演劇などが切り捨てられました。でも、芸術は必要だと思うんです。芸術に触れることで、見方を変えることができるんじゃないでしょうか。

そうですね。文学も含まれますよね。


感動を持ち続けるにあたって、芸術は体験するだけで充分でしょうか。それとも趣味のレベルまでに昇華させていく必要があるでしょうか?

確かに体験することは重要ですよね。デジタルデバイスだけで得られる情報が多いけど、それは触覚としての情報が限られている。触覚の情報が少ない現代社会で、触れることは大事だと思います。

スポーツも五感を刺激するので、大事だと思います。体の細かい動きや感覚を使うことで、感動や生きている感覚に繋がる気がします。

スポーツや芸術の重要性は昔から言われていますが、普段の生活に取り入れるのは難しいですよね。忙しさや他の要因で遠ざかっている感じがします。どうやって日常に取り入れるかが課題です。

芸術やアートの体験で感動を得ることもありますが、日常のささやかなことから感動することもありますね。友達からのプレゼントとか、日々のありがたみから感動することも大事です。

整理すると、新しい体験から得られる感動と、日々の中で感じる感動の2つがある気がします。

そうですね。今日は天気が良かったとか、道端に綺麗な花が咲いていたとか、そういうささやかなものへの感謝も感動の一部だと思います。


感動する体系

そもそも感動する体系について皆さんはどんな時に感動するのでしょうか。ご意見を伺いたいです。

祭りって重要だと思うんです。祭りは人々を巻き込みながら踊ることで、人と関わりながら遊ぶ時間があるんですよね。祈りや願いを込めてみんなで交わるという遊びが最近では少なくなってきていると感じます。

世界一周した時に色々な祭りに出会いました。ペルーの祭りは特にすごかったです。

人が成長した瞬間や久しぶりの再会は心が動きますが、なぜそうなるのかはうまく説明できません。

自分が関与していないものが成長するのを見ると感動するということでしょうかね。もしくは予想外の出来事や偶発性が感動を生むのではないでしょうか。驚きが感動に繋がるのかもしれませんね。

知っている本で「なぜ働いてると本が読めなくなるのか」という本があるのだけど、やっぱり働いている時に、隙間時間も電車とかあるはずなのに、本じゃなくてスマホとか見ちゃうという現象があって、それはなぜなのかというと著者曰く、得たい情報を求めるという癖がついてる現代人が多いみたいなのがあって、そういう意味では、読書とか、 多分アートとかもそうなんですけど、「ノイズ」、自分が求めてるもの以外の情報っていうのを結構排除しがちになっていて、どうやったらノイズを取り入れることができるんでしょうか。

本を読むことがノイズになるのですか?本を読むことはノイズというより得体情報を得るためという意味合いが強い気がしますが。

この著者は、読書をノイズとして位置付けています。現代人は目的思考になりすぎているのかもしれませんね。

心の赴くままに動くことが重要ですよね。もっと率直に、自分がどういうところにフックがかかるのかを見てみこと。目的は自発的なものじゃないですよね。

そのためには余白を作ることが大事ですね。余白ができると自分の心が動くことを自然とするようになります。

振り返ってみると、余裕がないからなのか、時間がないからのか、時間はあっても、結局仕事の方に意識を取られてしまってる。目先ではあんまり重要でないこと、例えば、今演劇見なくていいかとか、今小説これ読まなくてもちょっとこっちの仕事やらないといけないとか、そのような態度をとってしまうが、意識的にこのような習慣は変えていかないといけない。

余白というのがファーストステップになるように思う。2ステップ目として余白ができたら、ほんとにそのノイズを得るということをするのか。多分、現代だとほとんどが、youtubeを見るとか、漫画を読むとか、娯楽の方に流れるんですけど、なんかそれが果たしてこう感動に繋がるのかっていうと、ちょっとそれは違うんじゃないかなと思っているというところです。

例えば任天堂はゲームを通して、家族の団欒を作るとかそういうミッションを掲げてたような気がするんですけど、 なんかそれ自体は非常に間違ってない気がするんですが、ゲームやっていると、なんというか、憂鬱感がこう増していくみたいな、そういう現象が個人的には多分起きる気がするんですよね。なんかそこの 差は一体なんなのかは確かにあんまり言語化できないですね。

そうですよね。別に小説ずっと読んでて憂鬱になってもいいはずですけどね。

カルセルニューポートって人のブログ読んでて印象的だった話があって、現代の食べ物と現代のyoutubeとかのコンテンツがすごく類似してるんじゃないかということを言ってて、 現代の食べ物って基本的に化学、既存の食べ物とかを化学物質のように分解して、そこから人が欲しくなるように再構成している。youtubeとかのコンテンツもそうで、色々現実から、写真とか映像を持ってきて、それを人を刺激するような構成し直すような形になっている。今あるものを たくさん分解して、人の興味に対して選べるように再構成しますというのが現代の特徴になっています。

ようやくすると、現代のコンテンツや食べ物は人々を刺激するように再構成されているのではないでしょうか。作り手の意図が受け手の感情に影響を与えるのだと思います。

少し話を戻すと、 ゲームと本が何が違うのかというと、刺激と感動の違いがあると思います。刺激は一時的な幸福感をもたらしますが、持続しません。感動はもっと緩やかで、日常に自然に入ってくるものだと思います。

刺激と感動の違いは浅さと深さの違いではないでしょうか。感動には文脈や深みがあり、それが心に響くのだと思います。

僕はちょっと違って、その深みとかの刺激と感動ですね。ゲームでも感動する時とか、継続して「このゲームすごいな」と思う時はあるんじゃないかなと。やっぱ違うのは、自分の感受性が受け身かそうでないかかなと思うんですよね。ゲームって結構世界観が決まっていて、設定も決まってるじゃないですか。そこをうまく攻略していく感じなんで、感受性が受け身だなと思って。でも小説の時は、文字を読んでどういう世界観か自分で考えますし、自然とか景色を見るときも、この地形がどうやってできたのか、どう成り立ってるのかとか、結構思いを自分から馳せることが多いのかなと。

その違いが結構大きいのかなと勝手に思ってます。

そこにいいとか悪いとかってあると思いますか。例えば、主体的な方がいいとか、受け身だと悪いとか。

主体的な方が、自分の経験とか学びとか感動に繋がりやすいかなと。受け身だと、受け取った情報を処理してるに過ぎないんで、何も考えなくてもいいんですけど、ゲームをやってる時も頭の使い方が違うと思ってて。小学校の塾の先生が言ってたんですけど、年を取ったらテレビよりもラジオの方がいいよって。それは、テレビはぼーっとしてても見れるけど、ラジオだと音しかないから、自分でイメージとか考えを膨らませる。それが老化防止に繋がるってことで。
受動的に情報を受け取るのと、イメージを膨らませるのって多分違っていて、イメージ膨らますと、それが正しいのかなとか、やっぱこういう気がするなって思う。記憶にも残りやすかったり。そういう頭の使い方って重要なのかなと思ってて、多分そっちの方がいいのかなと思ってます。ただ、ゲームとかテレビも否定するものではないですけど。

面白いですね。自分が言った不便さみたいなところにもちょっと繋がってくる気がして。今は文字とか音声だけの情報って、情報が薄いと言いますか、保管しないといけないところが非常に多くて、テレビとか映像コンテンツはわかりやすいし見やすいけど、保管するところが減ってきて、そこに主体性が減ってきてしまう。主体的な方が、経験に繋がりやすく、ある意味クリエイティビティが働いて、感動につながるみたいな、そういう感じですかね。

そういう意味で、感動って受動的な行為じゃないかもしれませんね。やっぱり能動的に、自ら起こすものっていうか。どんなに外部から情報が積み込まれても、感動できるわけじゃないというか。

難しくないですか。それ。映画で感動することも普通にあるじゃないですか。映画とか、景色を見ることって受動的なのか能動的なのかってなると、どっちかというと受動的な感じがするんですけど、そこら辺はどうなんですかね。

割と能動的な行為だと思います。同じ場所に10人いて、同じ景色を見ても、それぞれ考えていることが全然違います。例えば、外国人の旅行者と東京タワーに行くと、僕にとってはよく見えるけど、外国人の旅行者にとっては違う感じ方をすることがあります。自分で選んで始めるという行為があるんです。例えば映画を見るときも、何を見るかは自分で選んでいると思います。だから、主体性と感動はとても関連しているように思います。自分の決断や判断が最初のきっかけとしてあるんじゃないでしょうか。

YouTubeも選ばされている可能性が高いですが、一応選んでいると言えますね。YouTubeショートみたいな短い動画は、本当に時間だけ流れる感じですけど。あれは脳をハックしかかってる感じがしますよね。割と勝手に出てきますね。


みんなの感動体験<2セット目>

スイスの山が素晴らしかったです。マッターホルンには行けなかったので、また行かないといけないなと思いました。日本アルプスに似ていて、本当にすごかったです。僕と人事部長はずっと山を見てましたけど、他の人は写真を撮っていなくなりました。感動するタイプは人によって違いますね。

山とか景色で泣いたことはないです。でもアニメを見て泣いたことはあります。泣くことがデザインされているかもしれないけど、そういうことはありますね。

確かにアニメ。最近の感動エピソードは、本を読んで泣けるものがありました。その本はエッセイで、その人の人生観に感動しました。

今週の木曜日、電車の中で「虫の日本」という本を手に取ったんですけど、それがすごく良かったです。今までうまく言えなかったことをうまく言語化してくれる感じでした。それが文庫サイズでポケットに入るので、電車の中とかでスマホじゃなくて本を手に取るようにしていて、すごく充実しています。

感動したことがあったかなって振り返ること自体、普段はあまりしないですね。小さい感動とかは日常で流してしまうことも多いです。上司や友達からのフィードバックで嬉しいと思う瞬間もありますけど、そういうのを心にとめておけたら良いなと思います。

そういう意味では最初に話が出た「立ち止まる」ということが大事だと思います。日々を過ごす上で重要かもしれないですね。毎日瞑想するのも良いかもしれません。

本日の感想

感動の話の中で、目的思考や遊びの要素が出てきましたが、僕は研究や仕事の中でどうそれらを両立させるか考えたいと思いました。

感動という言葉にいろんなことが含まれていると感じました。知的興奮や自然の中での五感の動き、人との繋がりの中での喜びなど、感動の要素が多様だとわかりました。また、「退屈の倫理学」という本の話を思い出しました。消費的な時間の使い方と浪費的な時間の使い方の違いを考えると、感動に繋がるのは後者だと思いました。

会社ではあまり出てこない話題で、右脳的な話が多かったと思います。普段仕事では左脳的な人に囲まれていますが、右脳的な考え方も大事だと感じました。仕事や人生を考える上で、右脳的な視点を持つことは重要ですね。


総括

こんな感じでさまざまな形で話が展開していきました。いくつか重要なキーワードが出たと思います。能動的、受動的、浅さと深さ、余白、偶発性、日々のささやかな感動と圧倒的な景色を見た時の感動、身体性や五感、スポーツと芸術。

キーワードだけあげてもこんなにさまざまな話が出ました。

この会は何かの結論を出すわけではなく、さまざまなテーマをとにかく考えてみる。ということが重要だと思っています。ネガティブケイパビリティですね。

"sense of wonder"を大事にしている私としてもさまざまな気づきがありました。

次回は教育について話してみます。誰もが通った道で誰もが意見を言える立場だからこそ、どんな話に展開していく未知数ですが次回も良い議論ができることを楽しみにしています。


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