COP25を振り返って

  COPとは、Conference of Partiesの頭文字をとったもので、締約国会議という意味です。 その中で最も有名なのが、私が参加してきた気候変動枠組条約締約国会議で、気候変動対策や環境に関するあらゆる取り組みについて話し合う国際会議です。そして今回のCOP25はチリ共和国での開催が予定されていましたが、電車賃引き上げにより起こったデモのため安全上の理由から急遽スペインのマドリードで開催されることになりました。

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COP25は、12月2日から12月13日の約2週間によって開催されました。前半の1週間は事務レベルで細かな交渉が行われ、後半の第2週目に開かれる大臣クラスの会合にトスアップします。COP25の注目ポイントの1つ目は、2020年から始まるパリ協定を目前にGHG削減目標を引き上げる機運をどこまで高められるのかということでした。また、トップダウンとボトムアップのアプローチ、市場メカニズムと非市場アプローチがまとめられたパリ協定第6条を焦点に各国がどこまで取り組みを強化できるのかという点です。

詳しい結果は各組織がまとめています。
国立環境研究所→http://www.nies.go.jp/social/topics_cop25.html 
環境省→https://www.env.go.jp/press/107538.html 
WWF→https://www.wwf.or.jp/activities/activity/4203.html

ご機会あってClimate Youth Japanの一員として今回COP25に参加させていただいていました。
近年はグレタ氏の国連での演説やグローバル気候マーチ、台風の影響などで気候変動への関心が日本だけでなく世界の大きな関心事として認識されている中での今回の開催でした。

我々ユースの役割として①日本ユースの声を世界に届ける、②現場の生の声を日本に持ち帰り発信する。
この2つを主な役割として現地での活動、参加してみての感想をお届けできればと思います。

現地での活動


実際の交渉が行われている会議室内での議論はもちろんのこと、会議室の外での動きもルール作りにおいて大きな影響を与えます。その1つは言うまでもなく、各国のパビリオンブースです。私は直接会議の場に参加できたわけではありませんでしたがこうした国ごとのブースで直接世界の現状を見聞きし、アクションや議論を通して気候変動への解決を働きかけました。

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意見発信というものにおいては、パビリオンブースが非常に効果的でした。

私自身は二度、団体としても数度にわたって登壇し、日本の環境界隈、世界の人たちに向けて日本のユースの意見というものを発信していきました。

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世界から強い批判が集まる石炭火力を進める国、日本。そのユースたちの言葉には少なからず関心を寄せる人がいました。

・私たちとしては、この気候危機に直面している中、火力というものに非常に問題意識を持っている。しかし、実際のところこの問題認知は進んでいない。
・ステークホルダーとの連携は欠かせない。日本国内および世界の人たちと手を取り合って初めて解決に向けて進んでいける問題である。

こういったことを世界の人たちと議論する中で発信をしていきました。

そしてメイントピックは2020年東京オリンピック大会に向けたサステナビリティについてでした。我々は持続可能なオリンピックの達成に向けて様々な活動をしてきたのでそれを発表し、次のオリンピックへレガシーをつなげることを目的として登壇しました。

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実際に東京オリンピックで行われている持続可能性に向けた取り組みを紹介し、次の大会をよりサスティナブルなものにするため、2022年冬季オリンピックが行われる中国のユースもお呼びし、連携の可能性を探りました。

さらに直接小泉環境大臣をお呼びし、サスティナブルな東京オリンピックに向けた提案もしました。

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結果的には、様々な人と連携をとりながら発表することができ、非常に価値のある登壇イベントを作ってこれたのではないかと思います。

登壇以外の活動

2週間あるうちでもちろん登壇以外にも様々な活動をしてきました。その一つが様々なアクションです。

上述したようにCOPの会場で行われるイベントが会議に与える影響は非常に大きいです。

IFEMA外

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上の写真は日本の石炭火力の廃止を求めたアクションと気候マーチの様子です。
日本は先進国の中で唯一石炭火力の新設計画をもつ国ですので、世界から避難の目が向けられています。
やはり、解決のために一歩前進する必要性をこのようなアクションを通して伝えてきました。

各メディアからもその様子は発信されました。
日本経済新聞
毎日新聞
など

気候マーチは日本のものと当然ながら規模感が大きく違いました。日本は9月に行われたものが最大で全国で5000千人程度でしたが、マドリードで行われたマーチでは50万人と100倍程度に差がありました。

マーチの様子もずいぶんと華やかで、東京でいえば丸の内のメインストリートを貸し切りにしたような状況でお祭りのような雰囲気の中で行われていました。

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やっぱりやるからには楽しくないとね!世代も子供からお年寄りまで参加していて楽器や音楽などもついて、ヨーロッパらしい雰囲気も感じられました。

また、世界の若者での会議のようなイベントもありました。

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世界各国から集まったユースたちが自身らの意見をまとめ、会議の方に提出するというような集まりで大きな会議室にものすごい人数の人が集まって話し合いをしました。
参加者の主体的な態度にはいつも感心させれました。


参加しての感想

石炭火力への強い批判
 会議またはアクションで強く目立ったのは石炭火力反対に対するアクション、そして具体的な解決を求める若者の声です。
 日本のニュースでも大きな話題になりましたが、日本は3年連続で不名誉な化石賞を受賞しました。

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↑化石賞受賞の様子

世界が再エネ化、脱炭素化に向けて大きく動く中で経産大臣の石炭を選択肢として残すという発言が非常に問題視されているようでした。

今回私は実際に受賞の現場にいましたが、気候変動という日本だけでは片付かない問題を前にして、このような賞を受賞するというような評価をもらっているということは非常にショッキングな話でした。

国連事務総長のグテーレスさんは会議のはじめに石炭中毒といったかなりパワフルなワードも使っており、現代への危機を知らしめる会議になっていました。

原子力への感覚
みなさんご存知の通り、気候変動問題の解決には発電システムの脱炭素化が重要なポイントとしてあげられます。
そして、その中でも大きく議論になるのが原子力の扱いです。
IPCCでは、原子力を脱炭素化の重要なファクターと認めながらも再エネが台頭してくる中で、その他の放射線や廃棄物という問題を抱えた原子力発電が推奨されるかは疑問であるというような意図の発言をしています。
これは気候変動対策の中で大きく意見が割れるとこでもあり、各国によっても政策が大きく異なっています。
日本では、一時原子力を全てストップしながらも、再稼働を進め2030年には電力需要の30パーセント程度を補おうとしています。
原子力機関が主催のワークショップに参加してきましたが、当然ながら彼らは気候変動解決において原子力は重要なエネルギーという見方を示していました。
特に電力を使えない人がまだ1億人程度いる。今すぐにCO2を無くさないといけないというときに原子力を減らす方向に動くのは現実的なのか?
未だ安い電源である。ということが非常に印象的な話でした。
また、日本の感覚とは違い、世界は原子力はしっかり管理すれば安全という常識も見受けられました。

世界と日本の隔たり
今回の派遣の最中にNGO+ユースと政府が激しくぶつかり合う光景を見受けました。

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実はこれは若者が会議を乗っ取って意見を発信している様子です。"What do you want?" "Climate Justice!" "When do you want it?" "Now!"「何がほしい?」「気候正義」「いつやるの」「いまでしょ!」

という掛け声が会場に響き渡りました。

正直に言ってマーチだけでも一歩引いてしまうにことがある我々日本人ですが、このような発信の仕方にある意味で疑問ももちました。

やはり、一方的な意見の表明だけではより良い世界を作るのは難しいような気がします。お互いが意見を述べ合い、その中で最も有効な手段を模索していく、対話のような形が今後より一層重要になるような気がしました。


今回、Climate Youth Japanを通してこのCOPに参加していました。本当に貴重な機会をいただき感謝の気持ちしかありません。
より詳しいことはClimate Youth Japanのブログを通していろいろ発信しています。
ぜひとも、気候変動に関心を持っていろいろ情報を吸収していただければと思います。

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