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サンマ

今年の初物のサンマを食べた。
外のウッドデッキ、七輪を引っ張り出して焼いた。炭火で焼いた。
昨日が中秋の名月だったが、今夜も月がきれいだ。
酒飲みは、たいてい季節の初物に弱い。スーパーで、季節を象徴するそれら食材を目の当たりにすると、当然その日の夜の献立は、それ中心に組み立てる以外の方法を見失う。初鰹やホタルイカ、鰻や牡蠣など。サンマなんて、初物が売りに出されたというニュースを見ただけで落ち着かない。買うまで落ち着かない。食べるまで落ち着かない。
で、買ってきた。昔は1匹100円しないのが当たり前だったこの魚、ここ数年は毎年その値段の変動で世間を騒がせ、今年は200円也。数年前、1匹500円ほどの狂騒時代もあった。それに比べたら安いが、昔は100円しない魚だったのに。
ぱちっ!油が弾ける。炭火がばっと力強く燃え、瞬間的に炭の匂いが煙を上げて広がる。この繰り返しこそが、炭火の魅力。焼きながら、魚がスモークされていく。ガスで焼いた魚との、1番の違いはこのスモーク臭を纏うところにある。

焼き上がりを大根おろしと共にいただく。炭火ならではの香ばしさが口内にひろがる。日本酒を含むと、さっと魚臭さが浄化され、次の一口を求めてしまう。ほろ苦さ、秋だ。
今年も何度かサンマを焼くだろう。ただなんにせよ、その年の初めては、格別だ。
今年も正しい秋を食せたことに、感謝。

こちらもこの季節の楽しみのひとつ。茹で落花生。
静岡出身の私には当たり前のこの食べ方も、決して全国区ではないらしい。
食べ出すと、止まらない。

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