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渡辺拓朗(わたなべたくろう)
2023年4月5日 19:15
僕が初めて、BARの扉を開いたのは、お酒が飲める様になってすぐの秋だった。群馬県高崎市問屋町。当時アルバイトをしていたカラオケスナックの給料が、少しだけ多く出た月に、思い切ってその扉を押した。その店は、僕が大学進学の時から一人暮らしを始めたワンルームマンションの一階にあった。店名は「BAR JEREZ」(シェレス)店内は薄暗く、香の香りに満ち、蝋燭の炎が優しくゆらめき、深い影を作っていた。BA