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経験による発見、またはトマト記念日

「いたいよう・・・」

冷やし中華を食べていた娘2歳が、右手の親指を見せてきた。爪のまわりが逆剥けのようになって、赤く腫れている。
つかんでいたトマトを皿にもどしこう言う。

「トマトをたべるといたいんだよ」

たしかにトマトは傷口にしみる部類の食べものだ。他の食材ではなくトマトが傷を痛める原因であることを、2歳でも知っていることに感心した。これまでも何度かトマトで痛い目をみたのだろうか。それとも今日、キュウリでもなく卵焼きでもなくトマトをつかんだとき特に痛いことに気づいたのだろうか。

「たしかにトマトが傷にさわると痛いよね。」

わたしが応えると、娘はしばらく考えて言った。

「タネがはいっちゃうんじゃない?」

なるほど。食材の成分の違いでしみるしみない、なんて想像もつかないよな。わからないなか想像を働かせ、おもしろい仮説をたてた娘には拍手。

かくいうわたしもトマトの何がしみるのかを具体的に知らない。ただ、トマトは口内炎にしみる。ポン酢もしみる。それを体験的にわかっているだけだ。(酸が原因か・・・?と今書きながらハッとしたが)

わたしがいつの間にかしていたように、トマトがしみることを発見した2歳児。ささいな違いに気づいて、疑問をもって、頭で考えて「トマトはしみる」を身体と頭に落とし込んだ。

教えてもらうより、自分で世界を知りたいよね。ときどきやってしまう、失敗を防ぐため先回りする、「これしたら?」「やめといたら?」とこちらの勝手で提案するなど。ほんと失礼なことだな。

あらためて、きみに敬意をはらいたいと思わせてくれたから、今日はトマト記念日。


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