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子供を大きく伸ばすための「スポーツ界のその道一筋からの脱却③

さて、前回までアメリカではなるべく小さいうちから子供たちには複数の競技を経験させるというお話しをしました。
彼らは大学に入ってからも、2種目行うことが多く、シーズンに応じて野球とアメフト、野球とバスケット、野球とアイスホッケーなどと野球オンリーにはなりません。中にはゴルフを選ぶ選手もいます。

その結果、日本では信じられないことですが、複数のプロスポーツからのドラフト指名を受ける選手がたくさんいるのです。古くはヤンキースのデーブ・ウィンフィールドがMLB(野球)、NFL(アメフト)、NBA(バスケット)それぞれからドラフト上位で指名を受けています。彼の場合は野球を選び、マイナーを経験せずメジャーで大活躍をしました。

また複数の指名は受けていませんが、ラリー・ウォーカーという選手は、アイスホッケーの選手で野球の経験はほとんどないのですが、なんとMLBから指名を受け入団しています。そして、後に首位打者のタイトルを獲ります。

また有名なところではボー・ジャクソンが、MLBとNFL両方でプレーし、そのどちらもでオールスター出場を果たしています。これぞ、まさに二刀流、いや、ウィンフィールド選手に至っては3刀流です。

そんな選手がアメリカには多くいます。この話を日本に置き換えるとNPBとJリーグの掛け持ちでプレーするようなもので、それがどれほど夢のあることかご理解いただけるか、と。

このような複数の競技でプロになるようなとんでもない能力を備えるには、やはり早くから他種目の競技をこなしてきたからである、と言えます。

私は日本でも多くのスポーツを経験できるシステムの構築が急務であると思っています。多スポーツ推奨は前回お話しした巧緻性を伸ばすだけではありません。日本では野球なら野球のみで、野球で大成出来なければ、その選手はアスリートとして大成できなかったとなります。ところが、多くのスポーツをこなしていれば、仮に野球でダメだったとしてもサッカーや他の種目で活躍する可能性が残ります。

もともとは野球が一番好きだったけど、サッカーの方で躍進していき、その結果サッカーが好きになっていくということだってあります。もちろんその逆も、またしかりでしょう。
つまり、その子供の可能性が広がるということなのです。

そのためにはその2でお話ししたように「目先の一勝」を捨てなければなりません。目先の一勝を優先すると一年中野球やることになります。日本でも、複数のスポーツを年間を通して行える少年少女のチームを作って欲しいと思っています。

例えば春から夏まで野球チームとして活動し、秋から冬にかけて、サッカーチームとして、冬から春にかけてバスケットチームとして活動する。そして、中学の部活もシーズン制にし、2つの部活を可能にする。

このことにより、過度に同じ箇所に負荷もかからず、また様々な動きを求められるので、巧緻性が伸びる、また子供達がスポーツで活躍する可能性が高くなるのです。

とはいえ、望み通り将来このシステムが出来たとしても、いま現在の子供達には間に合いません。今の子供たちにアドバイスするならば、野球チームなら野球選手のまま、サッカーはサッカー選手のまま活動し、時々数人ずつ選手を入れ替えて、短期サッカー留学、野球留学を行うと良いのではないでしょうか。

あるいは、より現実的に明日からアップの中に他種目のスポーツを取り入れたり、練習中に日替わりで入れてみたり、も良いと思います。

一年中同じスポーツを行うと、当然早く上手くなりますが、この時期にしか伸ばせない巧緻性が最大に伸ばされず、伸び悩みになってしまう可能性があります。

今上手いかではなく、いかに大きく伸ばすかを考えるべきではないか?という日本のスポーツ界への私からの提案です。そのためには、目先の一勝は捨てましょう!

そして、子供のスポーツの指導者の方は、この子が成人する頃に、どれだけ良い選手に成長するのだろうか?という楽しみを持ちましょう!

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