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映画「PERFECT DAYS」で感じた違和感

「PERFECT DAYS」やっと見ました。とてもいい映画でした。「音楽映画」って感じで、ラストシーンにはグッときました。

さて、とても感動したのですが、それとは関係ないところで、私なりに違和感を感じた部分があったので、それを記録しておきたいと思います。

「ネタバレ」につながるところもあると思うので、本編未見の方はご注意を。

①朝仕事に出かける時、玄関の鍵を閉めない。

まず最初に「あれ?」と思ったのは、主人公(役所広司)が朝、仕事に出かけるとき、玄関の鍵をかけて行かないことです。ドアを閉めて、そのまま自動販売機でコーヒーを買い、車に乗り込む。朝の出勤シーンは何度も出てきますが、全く鍵をかけません。でも、家出してきた姪っ子が母に促されて自宅に戻るとき、荷物を主人公の家から取ってきて、出てくるところでは、しっかり、姪っ子が鍵をかけます。何か演出として意図的なものがあるのでしょうか。そういえば帰宅して鍵を使ってドアを開けるというシーンもなかったと思います。

②1日トイレ掃除で着ていた作業着をそのまま脱いで寝室に保管する

これについては「あれ?」ではなく、「おいおいおい、それはないぞ」と心の中で叫びましたw 1日トイレ掃除で着ていた作業着をそのまま脱いで寝室の鴨居かなにかにハンガーに掛けておいておくのです。いくらなんでも、最低もう一着は同じ作業着が供与され、毎日、すぐに洗って干し、翌日は、もう一着の清潔なものを着ていくのが常識ではないでしょうか。万が一、翌日も同じものを着ていく羽目になったら、寝室にはかけておかず、別の場所に置いておくのではないかと思いました。

映画の中で、主人公が週末にコインランドリーに行くシーンがあります。ということは、汚れる仕事をしていながら、週に1度しか作業着を洗わないということになります。普通はこういう仕事をしていたら、頻繁に洗濯ができるよう、自宅に洗濯機くらい持っていると思いますが・・・。そもそも、主人公の部屋は整理整頓がキチンとされて、掃除もしています。そういう人がトイレ掃除に使った作業着を週1でしか洗濯しないってありえないでしょうww

③いくらギターの伴奏があったからって、いきなり「ほぼアカペラ」で歌いだすスナックのママはいない

これは主人公が5年通っているスナックでのできごとです。小さなしゃれたスナックで、ママは石川さゆり。そのママが、客に促されて、客のしょぼいギターの伴奏で、「しかたないわね」なんていいながら「朝日のあたる家」を熱唱します。こんなママは、まずいないし、こんな店もないなと思いましたww 多くの場合、ママが仕方なく歌うのは、客にカラオケを使わせるためです。ただ映画の中のスナックのカウンターにはいまどき珍しく、手作りらしき「お惣菜」が並んでいて、いいなあって思いました。

④日本の初老のおっさんが、戸外で妹と姪にハグはしはい

詳しい背景説明はないのですが、主人公が家出してきた姪と迎えに来た彼の妹(麻生祐未)とそれぞれ玄関先でハグをするシーンがあります。とくに妹には、主人公自らが歩み寄り抱きしめるのです。個人的には、いくら何十年ぶりであっても、日本のおっさんがこんなことはしないだろうと思いました。それにしても、妹が主人公に「本当にトイレ掃除をしてるの?」と尋ねるシーンは、グサッと刺さるものがありました。そのときの麻生祐未の複雑な表情がきついです・・・。

⑤いくら女子高校生が「泊めて」といってきても、姪なんだからw

予告なくかわいらしい女子高校生の姪が訪ねてきて、男やもめの家に「泊まる」ことになっても、何も階下の狭い場所で寝ることはないw 障子を挟んで彼女の寝室のとなりに部屋があるんですから、そこで寝ればいいじゃないですか。しかも朝植木に水をやるために、抜き足差し足で気づかれないように空いている二階の部屋に上がって行くって、ちょっと意識しすぎ。かえって「変なこと考えてる」と思われるよねw 考えてるって設定なのかなw 普段はほとんど泰然自若としている主人公がこのときだけ、異様にコミカルになっていて、あり得ないなと感じてしまいました。たぶん、監督にとってはそんなに重要なシーンではなかったのでしょうね。

⑥音楽好きなのに最低限の技術トレンドの変化に無頓着

「音楽映画」と言いたくなるような作品で、主人公も音楽が大好きな設定なのに、いまだにカセットテープを聞いている。こんな人、います?ww 音楽は好きだけどデジタル革命という技術革新には無頓着ってことなんだろうけど、80年代のCD革命には最低でも影響されてないとおかしいですよねw 音楽なんかまったく聞かない人ならわかりますけどね。考えられるのは、CDが登場する以前の時代で、彼の外に対する興味関心が断たれているということですけど・・・。付け加えると、主人公の車はそんなに古い型式のものとは思えないのに、いまだにカセットプレーヤーが付いているって・・・。

考え出すと、いろいろ「変なところ」が出てきますけど、それは別にこの映画の本質的なところとはあまり関連しないですね。こういう細かいことって「細部に神々は宿る」とか言って作品そのものの評価に直結したりすることはあるけど、この映画は関係ないような気がします。

気にはなるんだけどねw ほかにもいろいろありますよ。いちいち客が購入する本の作者についてコメントする古本屋の主人とかw あと席に座ると「おつかれさまーー」ってなんにも頼んでないのにチューハイもって駆け寄ってきてくれる居酒屋の大将とか。好きですけどね、こういう人ww

で、その本質的なところについて、いろいろ考えるけど、それは、1人でじっくり考えて、味わって、さらに考えてというのを繰り返していきたい。そんな大切なものを他人とは共有したくないです(笑)。ほんとに大切なことは、他人には言わないw  そんな気持ちにさせる映画でした。

あー、面白かった。

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