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同期の嘘を見抜けない会社は、最後までバカだった。

2024/04/11


苦労せずに生きた女、就活で蹴られまくる

長らくフリーターをしたり、体力勝負の仕事をしたりしていたが、夫と出会ってからは金銭的にも体力的にも限界を感じ、30歳で転職活動をした。
まぁ、ちょっとしたパワハラもあったし。

確か、私が21歳くらいの頃に東京ディズニシーが開園し、その前にフロムエー(当時は紙媒体でコンビニにてフリーペーパーとして置いてあった)でオープニングキャストを募集していた。
とてもとても行きたかったのだが、年齢が20歳までという、超鬼畜設定だったような気がする。
年齢で諦めたのは確かだ。
今ではオリエンタルランドも、子育て終了後のキャストを募集していたり、だいぶ緩くなったはずだ。
その後、求人情報に年齢制限を記載してはいけないというルールはできていたが、面接に行くと必ず落とされた。

就活スーツを用意し、真夏の暑い日差しを浴びて汗だくになりながらいろいろな会社へ出向いた。
脇汗パッドも人生で初めて使った。
それでも、軽く30社は落ちたと思う。
最後の望みで受けた会社も落ち、「ここがダメだったらここを受けよう」と決めていた会社の面接を受けた。

そこは今回就職活動をしていた中で1番月給が安かった。
だから最後の最後に受けたのだ。
一応正社員なのだが、固定給で月15万円。
前の会社だと残業に残業を重ねて16、17万円くらいだったので、時間的にはいい方か。

入社1カ月で持った不信感

その会社の面接は、もう1人女性が一緒に受けた。
入社が決まってから知ったことだが、一緒に面接を受けて同時に受かることは珍しいという。
私は初めて、『同期』という存在ができた。
今まではアルバイトだったし、準社員もアルバイトからの昇格だったので、いつも1人で面接を受けて1人で入社していたので、『同期』という存在に憧れていたので、なんか妙に照れ臭く、嬉しかった。
彼女は私より5歳年上で、事務職経験のあるIさんという人だった。

1年ほどは新人扱いを受けながら、いろいろと先輩に聞きながら仕事をこなした。
私は好きな仕事だったので、疲れていなければ残業もしたし、遅刻もしたことがなかった。
厄年と重なったからなのか、少し大きい病気をして休んだことはあったけれど。

満足に働いていたのはその頃まで。
徐々に、会社に対する不信感が募っていったのだ。

社長→部下であっても、宛名に呼び捨てはNG

初月から変わっていないが、給料明細を社長が手渡ししてくれる会社だった。
その封筒にはメッセージが一言書いてある。
その宛名が、毎回、『日月へ』。
名字呼び捨てなのだ。
社員はあなたの駒なんですね、と初月から思った私。
『いつも笑顔の挨拶、素晴らしいです』
……子どもの通知表か何かなのか?
この会社は毎週金曜日に勉強会がある。
勉強をしてお金を貰えるというのが、私には理解できなかったし、もっとやることがあるのではないかと思った。

ずるい考えを持つ人が大嫌い

それから、私はIさんのずる賢さが気になって仕方なくなった。
急遽入った原稿があっても、
「私今日用事があって定時なので上がりま~す」と定時ぴったりに退社していく人だった。
ランチ休憩も、ホワイトボードに1時間後の戻り時間を記入する際、5分増しで記入するような人なのだ。

私の性格は、実は超がつくほどクソ真面目だ。
その上相手が何を考えているか察しすぎてしまうHSP持ち。
もう、生きづらさといったらこの上ない。

それに比べてIさんは、バレなきゃいいという考え。
常に楽な方を選び、言い訳をして辛いことを逃れ、ミスを指摘されてもなかったことにする人だった。

ある求人雑誌の原稿を書く仕事だったのだが、文字数は少ないけれど件数が多い。
次から次へとこなさなければ納品時間に間に合わない。
朝、出勤すればもう午前中納品のものがたくさん積まれていた。

ある日の朝礼後だった。
朝礼が終わってすぐに原稿に飛びつく新人たち。
私もそのうちの1人だ。
早く始めて早く納品しなければ。
その一心で。

それなのにIさんときたら、朝礼後に再び椅子に座るのだ。
何か忙しそうにパソコンをいじるのだ。
Iさんは業務中に友達とLINEをしたり、パソコンで何か違うことをしたりする人なので、朝礼後に椅子に座るのは午前中納品の原稿を取らないようにするためだとすぐにわかった。

少し遅れて原稿を取りに行けば、午前中納品のものは新人たちがもらっているので、残りは午後納品になる。
それを狙っていたのだ。
そのうちリーダーもわかってきて、
「Iさんこれお願い」なんて手渡すも、
「はぁ〜〜〜い」と間延びした返事をする。

同期が私に校正を頼む理由が衝撃的だった

書いた原稿は先輩や周りの人に校正をしてもらい、OKが出たら納品する。
Iさんは、いつからか私に意地悪するようになっていて、こちらが納品時間に間に合わなさそうな原稿を書いていても
「日月さん、これ校正お願いできる?」なんて言って渡してきた。

これにはIさんなりのずるい理由があった。
私は年下だし同期だから、私がミスを指摘しても言い訳をして逃れたり、ミスをした証拠を隠滅できるからなのだ。

この会社はどうもミスが多く、それをなくそう運動みたいなものが始まって、ミスの少なかった人を毎月表彰するようになった。
だから、半分LINEをしながら仕事をしていてミスが多いIさんは証拠を隠滅して、自分がミスした回数を表面上減らしたいのだ。
でも、先輩に校正を頼むとミスしたときに証拠隠滅ができないものだから、証拠隠滅をしても何も言わなさそうな私に校正を頼むのだ。

ミスをしたら付箋を貼り、誰が何回ミスをしたか集計する手筈になっていた。
私はルール通りにIさんの原稿のミスに付箋を貼り、ミスを伝える。
直して持ってきたときに、先ほど貼った付箋が剥がされているのだ。

え? という顔で私は一瞬止まるのだが、
「あ、付箋ね、直すのに邪魔だったから剥がしちゃった。後で貼っとく〜」とIさんは言う。
そして、もちろん貼られることはなく、Iさんのミスは無かったことになる。

その月の表彰で、Iさんは1位になった。
「今月のミスなし1位はIさんです!」
拍手の中、ぺこぺことお辞儀をしてニコニコしているIさんを、私は直視できなかった。

試験では私のノートをカンニング材料にしようとする同期

原稿を書くにあたり、民間の試験のようなものを全員で受けた時もそうだ。
自分のパソコンから空いた時間に受けられるものだったのだが、私は社会人になってこういう試験のようなもののために勉強をするのが久しぶりだったので、満点を取りたくて頑張って勉強をした。
何度も繰り返し練習問題を解いて、もう満点が取れるかなと思った時点で受けようとしていた。

そんな時、IさんからグループLINEがきた。

「日月さん、あの試験の勉強ノート貸してよ。なんかすごい勉強してて偉いよね。カンニング用のエクセル作るからノート貸して。みんなでカンニングしようよ」

信じられない内容だ。

私は絶対にこの人に加担したくなかった。
「でもバレそうじゃない? 私も勉強したいし、ノートは貸せないかな」
カンニングに使われるなんて死んでも嫌だったので、私も勉強するという嘘をついて、ノートは貸さなかった。
実際にはもう勉強は完璧だったので、ノートは必要なかったけれど。

「バレないって! 誰が来たら閉じればいいんだから。自分のパソコンで受ける試験なんてカンニングし放題じゃん」

この人、どんな甘い人生を歩んできたのだろう。
女だから、若いからとチヤホヤされてきたタイプなのだろうか。

「ごめん、私は真面目に受けたい」
Iさんとの関係が悪くなることを覚悟で言った。

その後、試験を終えて点数が発表された。
私は真面目に受けて98点だった。
正直、勉強していたので悔しかった。
「そして満点が1人います! Iさんです!」
と、ここでもチヤホヤされるIさん。
これはカンニングで取った満点だ。

カンニングに誘われた後輩が共犯なのかはわからないが、頭のいい子ならカンニングしても数個は間違えておこうと思うだろう。

社員の不正を見抜けない会社はクズだ

その時点で、私はこの会社を辞めることを決めた。
この会社は、社員のずるさや嘘も見抜けないのかと。
ちゃんと社員を見ていない証拠だ。

契約更新の面談で、辞めることを伝えるとかなり上司は驚いていた。
そりゃそうだと思う。
真面目に働いてきた私が辞めると言うのだから。

「それはどうして? なにか理由があるならなんでも言ってほしいんだけど」
上司はそう言ったけれど、私はこの会社によくなってほしいとも思っていなかったので、
「とくにないです」と笑って答えた。
一生、社員のずるさや嘘に気づかないで数字だけで褒めることをやってろ、と思った。

その後、契約満了まで数ヶ月というところで心の不調で出社できなくなってしまった。
散々引き留められたが、もう私には復職の気持ちなど蟻の口ほどもなかった。
ロッカーに私物が少しあったので、それを持ってきてくれると上司が言った。

約束の日、なかなか上司が来ない。
すると電話が鳴った。
「今◯◯駅に着いたんだけど、日月さんの家ってこの駅だよね?」

それは、引っ越す前の住所だった。
呆れた。
鬱で辞める社員のことを、こんなに気にせず、引っ越したことも知らずにわかっている風を醸し出していたのか。
「違います。●●駅です……」
「ええー!? あ、引っ越したって言ってたっけ? あーまいったな、今からじゃ間に合わないや。荷物は宅急便で送るわ」
そう苛立った声で言い、上司は戻っていったようだ。

後日届いた私物の中には、なんかいろいろものが足りなかった。

もっと社員を見て、一人一人の特徴を押されている今の組織の方が素晴らしいも思う。
Iさんに関しては、今後絶対に人生において引っかかることがあるだろうし、それを助けてくれる人はいないだろうなと思った。

あと会社に言いたいのは、助けられないくせに「なんでも話して! 力になるから」なんて安易に言わないこと。心の病は素人には受け止められないことが多いので、安易に手を差し伸べると逆方向に行ってしまったり、取り返しのつかないことになったりする。
「うちの会社はメンタルヘルスに理解があって居心地がいい」アピールはしないほうがいい。

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