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白い色紙を6冊もらった。笑顔の似顔絵つきで。

2024/04/13

私はいくつになっても嫌われ者

子どもの頃は、親の仕事の都合で『転校する』ということがよくある。
親がまったく転勤のない仕事だったら、生まれたその土地で大人になるまで過ごせるので、幼馴染もいるはずだし、親友もいるだろう。
我が家は転勤族だった。

学生の頃の転校には、色紙がつきものだ。
みんなで寄せ書きを書いて、転校当日に渡す。
今は色紙用のシールなんかが売られていて、そのシールを配って回収して貼ればいいようになっている。
考えれば思いつきそうなものだが、思いつかなかったんだろうな。
昔はノートよりも大きな色紙を回して、しかも本人にはバレないように回していたから面白い。

社会人になってから、一度退職するときに貰った寄せ書きは、みんなに配って書いてもらうタイプで、フォトアルバムに寄せ書きカードが挟まっていて、写真なんかも飾られていて、貰った時にはとても嬉しかった。
書いてあることも、私に対する感謝が並んでいて、たくさんの後輩たちに仕事を教えてきてよかったと、思った。

でも、辞めて少したったら、それが社交辞令だったと気づく。
私抜きのLINEグループを作られることにも慣れた。
結婚式に呼ばれないのは面倒くさいからいいけど、あの色紙に書いたことはみんな嘘だったのかなと思った。
一度同窓会飲みみたいなものに誘われて行ったら、私抜きのLINEグループで話していたことをみんなで話し始めたので、もうこんな飲み会には絶対に参加しないと決めた。
その人のパワハラが原因で辞めた上司も来て、ずっとストレスに潰されそうな飲み会だった。
帰ってから、貰った寄せ書きを捨てた。

白い色紙を貰ったことがあるか

小学生の時だった。
私が転校する時に、例に漏れず色紙を用意されていたのだが、なぜかクラス全員で1枚ではなく、班ごとに用意されていた。

嫌な予感しかしないんだが……。

転校当日、集まってくれたのも近所の数人だけだった。
そして渡された6つの班による6枚の色紙。
中身は、ほぼ白だった。

仲良くしていた友だちなんて各班に1人くらいしかいない。
男の子はまあ、みんな平等に仲良くするタイプが多いので、短文だが一言書いてくれていたが、問題は女の子だ。
女の子ってすごいよね。
嫌いとなったらイジメみたいな仕打ちを簡単にやってくるんだから。

ドラマでよく見る、殴る蹴るとかパン買ってこいとか、そういうオープンなイジメよりも悪質だ。
精神的にくるほうが、私は耐えられない。

女の子の大半から嫌われていたらしく、左上に仲良くしていた子が一言書いてくれていて、あとは白。

このスペース邪魔すぎない?
これ1枚にまとめられない?
これをもって引っ越すのか? 私は。

全てに、『たちもりさんへ』と書かれていて、似顔絵が書いてある。

日月さん、6人もいる説。

その似顔絵は、全て笑っている。
子どもの描くイラストなので、歯はない。w
私が歯茎のことでからかわれはじめたのは、転校先の小学校からのことだ。
転校前はそんなこと言われたこともなかった。

それにしても、全員笑っている……。
気持ち悪い。
私はそんなに、学校で笑っていたのだろうか。
それともみんな絵が下手くそで、ニコニコ少女マンガの顔しか描けなかったのだろうか。
髪の毛をふたつに縛って、黒縁メガネをかけて笑っているキャラだったのだろうか。

「むこうに行っても元気でね」
「手紙ちょうだいね」
「電話ちょうだいね」
「遊びにこれたらきてね」

定型文が並ぶ白い色紙。

これしか書かれていない色紙を親に見られるのも恥ずかしく、隠していた。
どうだ、あなたたちの子どもはこんなに友だちがいないんだぞ。

白い色紙を貰った学校の卒業アルバムに載らなくてよかった。

卒業アルバムや文集は全て捨てた

ものを減らしたくて、いろいろ整理をしていたら、卒業アルバムや文集が出てきた。

幼稚園。
ブサイクすぎて信じられない。
本当に人間から生まれたのかこいつは。
何を無邪気に笑っているのか。
まあ、そんな無垢な時代が幸せだったのかもしれない。

小学校。
転校先のブス。
髪の毛どうしたんだ? 実験に失敗したのか? というレベルのくるくる癖っ毛。
1年しかいなかった学校で笑えと言われても固い笑顔しか出ない。
私はこの学校でからかわれ始めたのだから、なおさら笑いたくなんかない。

中学校。
これも転校先のブス。
少しはマシになったし、受験に使う写真と同じだというので全員が無表情。
助かった。
たくさん勉強した思い出はある。

高校。
おしゃれに目覚めて無理矢理可愛く写ろうと必死。
まだ誰もしていなかったカラコンまでしてる。
撮影前にメイクも軽くした。
入学した学校で卒業したのは高校のみ。
歯茎が出ないように笑っている。

文集。
小学校の時はよく文集を作っていた。
書かれている作文は読むと思い出せる。
将来の夢はずっとバレリーナだった。
でも文集なんて、本人のところしか見ない(好きな人と)。
親も自分の子どものことろだけ見るはずだ。

これらを全て捨てた。
アルバムなんかは捨て方に困ったけれど、申し訳ないがそのまま燃えるゴミに捨てた。
本当に燃やしてくれていると信じたい。

卒業アルバムの後ろって、白いページが付いてて、そこに寄せ書きするようになっている。
それも左上に誰ががちょこっと書いてくれるだけで、白かった。

寄せ書き風習、嫌いだ。

自分の卒業アルバムを未だに持っている両親に、捨てたことがバレないかヒヤヒヤしている。
絶対に怒られるから。
捨てるか捨てないかは私が決めることなのだけど、絶対に怒るはずだ。
正直持っていたところで、死んだら誰が処分するんだって話だし、元気なうちに捨てておいた方がいい。

歳をとった時に、白い色紙なんて見たくないもの。

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