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ひとりそら

小さな旅の夜に
ひとりそらへ昇る
声を飲み込みながら
薄明かりに融ける
想像上でしかない
失いそうな事がらに
哀しくなって
なくんだ
ひととき舐めあげる
恍惚が蜜のようにからまって
もういちど

文学的なまじわり
しなやかな身体つきと
珈琲に酔いながら
真昼も忘れて
ひかりの乱反射を信じていた
日や
くるおしい再会の
静かな部屋に
こだまする透明な囁き
伝えたくて何度も
奥のほうが震えた
日も
命の匂いを求めただけ
道を辿る指さきの戸惑いをうち消して
呼びよせる煌めき
記憶を乳房にかくまって
旅の無事を祈る
ひとりそらへ
ないて

20190328
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暗喩が好きです。
一、二、三人称を、なるべく避ける主義です。
避けていかに生々しくするのか。
艶めかしくするのか。
奥のほうが震える言葉を囁くのか。
あなたが好きって、あなたが好き以外の台詞で伝えるのか。

絵は13年前の。
ヘモグロビンと植物細胞が重なっている感じ。
引きで見ると、女子(おなご)がいますが、全体像は載せない気分。

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