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ハンデと親友になる生き方とは①

今日は少し個人的なお話です。ここでいう「ハンデ」とは障害や慢性疾患、精神疾患など、とにかく普通の人よりちょっと面倒なもののこと。そうしたものを抱えながら生きていくには、どうしても特別な感覚が必要になると思います。でも、誰かを幸せにできる生き方に変えることもできるはず。

今回は、個人的に抱えているハンデについて、少し。決して不幸自慢ではありませんが、「なぜそう思うのか」を理解していただくために、流し読みしていただければ幸いです。

止血能力が欠けている体

私自身が抱えている疾患は、血液凝固因子のひとつが1%未満しかないために、出血が止まりにくい病気です。「出血」と聞くと、外傷を思い浮かべるかもしれませんが、やっかいなのは内出血や内蔵出血、筋肉内の出血など、「内側の出血」。

もちろん、外傷も止まりにくく、幼いころマーブルチョコレートが入ったアルミの包装で手をシュっと切ったときは、1週間血が出続けていましたし、歯を抜いたときは2週間かかりました。一度かさぶたになっても、内側では出続けているので、なかなか綺麗になりません(笑)

内臓などはもっとやっかいで、ウイルス性腸炎になったときは、抗生物質で症状が治まった後も、1ヶ月血便が続きました(トイレが綺麗な赤色に染まります)。

産まれてから病気がわかるまで

この病気は遺伝性で、祖父が同じ病気。疾患のある人の女児が「保因者」となり、その人自身に症状は出ませんが、その「保因者」の子どもが男の子であれば、50%の確立で発症します(X染色体に遺伝情報があるため)。孫が女の子であれば発症しないので、基本的にこれは男児・男性の病気です。

が、突然変異で発症することもあれば、疾患のある者同士の子どもであれば、女児でも発症します。また、私の場合は止血因子の第八因子が不足している症状ですが、他の因子が不足しており、同様に止血能力が限られているケースもあり、それぞれ異なる疾患名です。

産まれから小2くらいまでは、この病気だと母も知りませんでした。ただ、祖父はその可能性があるとわかっていたようで、「病院に行ってみてもらえ」というのが母への口癖だったようです。しかし、あまりにも血が泊まりにくいということで、病院で検査し、慢性疾患が判明しました。

薬害リスクと関節症状

なぜ祖父がすぐに病気について教えなかったのか、母も首をひねっていましたが、個人的には薬害リスクがあったのかもしれないと考えています。当時、非加熱の薬による薬害エイズ事件があり、世間を騒がせていました。祖父はそのこともあり、「もっといい薬ができるか、リスクのない最新の薬を医者から」と思ってのかもしれません。

実際、病気が判明したタイミングで、新開発された薬を使わせてもらうことになり、かかりつけの病院では、その新しい薬を使った第一号が私でした(笑)

しかし、治験とはまではいかないものの、その薬を使いながら、どう生活していくかは、医者も探り探りなところがあったので、幼いころから何度も悪くしていた右足首の関節は、年齢を重ねるごとに症状が悪化し、今は身障者6級です。

6級は一番低いですが、あくまでもそれは関節症状に関してであり、出血が止まりにくい病気は考慮されていません。ここが難しいところ。

関節内出血と軟骨

血液には、赤血球、白血球、血小板などが含まれています。よく、「血が止まりにくい」と言うと、「血小板が少ない」と勘違いされますが、血小板は「血を止める道具」のようなもので、私の病気で不足しているのは、その道具を使う作業員(凝固因子)です。

さて、出血すると、白血球も一緒に出ます。これは、体に悪いものをやっつけてくれるファイターですが、実は多量の白血球は軟骨を溶かしてしまうというリスクも。

右足首に何度も関節内出血を起こしていた私の、右足首の軟骨はほとんどなくなっており、クッションが無い状態。骨と骨がぶつかり合って、ヒビわれて何か所かに穴が開いている状態です。

それだけ聞くと、6級なの?と思われるかもしれませんが、ヒザなら5級だそうで、ようは、「関節症状と日常生活への影響」も級に関係しています。(が、慢性疾患は加味されないという汗)

しかし、今の同じ病気の子供たちは、この症状がほとんどありません。というのも、今は私が探り探り使ってきた薬を初めから使い、関節症状のリスクを下げて生活しているからです。

痛みがあるときに使うという方法でやってきた私の世代は、こういう関節症状がある人も少なくありません。軟骨は元に戻りませんので、基本的には、今の子どもたちのほうが、健常者と変わらず生活できています。

日常生活上の難しさ

この病気と関節症状で難しいのは、「関節の状態が悪いので関節内出血しやすい」ことと、「出血するとさらに関節の状態が悪くなっていく」ということ。出血と関節症状の悪化が、互いにリスクになっているため、ちょっとした負荷でも、悪化につながります。

半分骨折しているような状態なので、常時足の痛みはあると言えばありますが、多少の運動や長距離・長時間でなければ歩くこともできます。ただ、自分の感覚では「まだ大丈夫」と思っても、足のほうが大丈夫でないときもあり、30年以上生きていますが、自分の体のコンディションを完璧把握するのは難しいものです(笑)

しかし、外見上はまったく障害者には見えません。なので、傍から見ればサボっているようにしか見えないのが現実。病気の説明をしても、なかなか難解。「痛くても頑張って」と言われたことは何度もありますが(相手に悪気はなく)、「頑張ると症状がひどくなる」のがこの病気です。

私自身、頑張りたいけど頑張れない、ということにずっと苦しんできましたし、そこを「頑張ってない」という見方をされるのは、精神的に辛く感じていました。

でも、おかげで「目に見えるもの」より、「目に見えないもの」について考えて人と接することができるようになったと思います。

そのあたりのお話は、また次回させていただければ。


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