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泳ぐのをやめたらしんでしまう(逃走反応)

闘争、逃走、フリーズ、迎合の4つの防衛反応のうち、迎合と並び一般的に問題とみなされにくいのがこの逃走反応です。
迎合反応は一応優しすぎて本人の損になっている、という見方になることも多いのですが、逃走反応は一見生産的であるため本人に害があるようには見えないことも多いです。

逃走とは言いますが、逃走タイプは最初から逃げているわけではなく、むしろ反対に問題に対して突っ走っていくような傾向すらあります。ただ努力の方向性が微妙にズレている。これは4つの防衛反応全てに言えることですが、問題を根本的に解決するのではなく、努力を本来の問題を考えることから逃げることに使ってしまう。

闘争反応は泳ぐのをやめたら死んでしまうサメのようなものです。ちなみに私は逃走反応が一番強く、このポストは非常に私情がこもっています…。私は逃走・フリーズの複合タイプなので、複合タイプについてもあとで書こうと思っています。(仕事と趣味に没頭し続けるタイプですね…)

例えば親に「お前は頭が悪いからダメだ」と言われて育った人がいるとします。闘争反応は「頭が悪いのはお前だ」と怒る。フリーズ反応はゲームや動画などの楽しいことに没頭し忘れる迎合反応は「そうだね、ごめんね、あなたは頭が良くて羨ましい」と相手のケアに回る。そこで逃走反応は頭が良いと言われるような実績を得て愛を得ようとします。勉強を頑張って資格を取ったりですね。

ある意味一番生産的ですよね。しかし、本人は別に勉強が好きなわけではないのに「頭がいいね」と言ってもらうためだけに走り続けるのです。しかもそもそも「頭が悪いね」なんて言ってくる人は高確率で成績が良くなっても難癖をつけてきます。もし成績がよくなったら手のひらを返したようにかわいがっていたとしても、そうなったらそうなったで「自分の価値は成績が良いということだけだ。成績が悪くなったらどうしよう」という強迫的なつらさを抱えることになります。

なので逃走反応は走り続けます。「自分には本質的に価値がない」というその人にとっての「真実」から逃れるために、「結果を出せば愛されるんだからいいじゃん!もっとがんばらなきゃ!」という自分が作り上げた幻想に向かって走り続ける。

このタイプは表面的にはちゃんとしていることが多く、成功している間ははたから見ると羨ましいくらいに幸せそうなことも多いのですが、成功していたらしていたで「いつか自分には本当の価値がないと露呈してしまうのでは。そうに違いない…」と言う恐怖がどんどん膨らんでいき、かつ自分などにできることにはなんの価値もないとできることが増えるたびにどんどん自分でハードルを上げていく地獄にハマり、最終的に突然表面的にはうまく行っていた仕事を辞めたり友達と連絡を絶ったりします。

このタイプ、生産的だし一人で頑張っているだけなら害はないのでは?と思うかもしれませんが、もちろん例に漏れず人間関係における弊害もたくさんあります。近しい関係になると人間関係にこれらの支障が出てくることが多い。

  1. 受容、共感よりも相手の問題を今すぐ解決してあげなきゃとアドバイスに走りがち

  2. 近しい人との関係についての議論になった際、自分の感情について話せず、すぐに解決策を求める(わかった、〇〇すればいいんだよね?など)

  3. 感情を感じる時間を作らないことが目的なので、あまり重要でないタスクにも執着してしまい、結果的に効率的でないことも多い

  4. 自分がいつも走り続けているため、他者にも多大な努力を求めてしまう

  5. 自分が求めている評価が得られないと精神的に不安定になりがち(しかし本人はさらなる逃走反応に走るためにそれにも気が付かないことも多い)

  6. 他者がつらい気持ちを吐露していると、努力をせず文句を言っている、と受け取り憤りがち

  7. 本人は生きていても許されるべきラインに到達するために頑張っているという意識なので、自分にできることはみんな他の人にもできることだと思いがちで、できない人に対しての思いやりが持てないことも多い

なので逃走反応が強い人は、仕事や特定の分野では頼りになるけれどプライベートだと自分の気持ちを話したりはできないな…といった立ち位置の存在になりがちで、それがさらに『じゃあ仕事で価値を示さないと!』という悪循環になりがちです。

逃走反応が強い人は、ワーカホリック、アドレナリン中毒、ADHDや強迫性障害のような症状が出ることが多いです。これらの指摘を受ける、または診断を受けたことがある方は、一度複雑性PTSDのレンズで分析してみるとまた違った視点が見えてくるかもしれませんね。私自身、一度ADHDの診断を受けましたが、どこか違和感を持つことも多く、今はその症状の多くが複雑性PTSDからのものだったと理解しています。(軽いADHDもあるかもしれないですが…)




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