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(案)SNSにおける誹謗中傷の抑止機構

注記1:この文章を書いている人物は法律の専門家ではありません。
個別具体的な事例は下記の文章を鵜吞みにせず、まずは弁護士などにご相談ください。
注記2:この文章を書いている人はGoogleの回し者ではありません。
個別具体的な仕様は下記の文章を鵜吞みにせず、まずはFAQを検索してください。

問題提起

SNSでの誹謗中傷に関して、大変痛ましいニュースを目にしました。
他人の不幸を自説の修飾に使うのは好みでないので固有名詞は避けます。
すでに多くの前例もありますしね…。

誹謗中傷は言葉による暴力であり、可能な限り抑止すべき行為と考えます。
刑法にも規定があるほか、民法上の不法行為として損害賠償請求が認められたという判例も多くあります。
立法府も匿名による不法行為を問題視し、発信者情報開示の請求に関する法律を改正するなど対応に努めてきました。
この発信者情報開示請求によって、裁判所に対して明確な根拠を示すことで法的手続きは迅速に進むようになりましたが、今度は裁判所に示す根拠の収集と保全が課題になっているかと思います。

SNSによる誹謗中傷

特に多数の匿名アカウントが一斉に誹謗中傷を始めた場合、被害者としてはおそらく明確な誹謗中傷を繰り返した個別のアカウントを優先して対処することになるかと思います。つまり、単独では誹謗中傷かどうか曖昧な、1件から数件の投稿を行ったアカウントは後回しになり、お咎めなしになる可能性が高いわけです。
仮にですが、「単一の人物ないし団体が多数の匿名アカウントを運用し、攻撃の意図が不明瞭な、1アカウントとしては少数の投稿を、同時多発的に行った」場合、より悪質性が高いと考えます。が、お咎めなしになる可能性が高い。

被害者が単独で対処しようとすると手が足りない

SNSにおける誹謗中傷を抑止するうえでは、多数の匿名アカウントが同時多発的に行った誹謗中傷に対して個人が逐一証拠保全を行うことは困難であること、これが現時点で最大の課題であると考えます。

解決策の提案

では解決策は何か。
すでに試みている著名人もいらっしゃるのですが、逆に被害者側も「匿名の多数に支えてもらう」というのが良いかと思います。
これは応援の言葉をもらう、とか、誹謗中傷とみられる投稿を行ったアカウントに対して攻撃的な返信をつける、とかではなく証拠保全の労力を分割して代替してもらう、ということです。
多くの証拠が収集されていれば、それを法律事務所に持ち込んで見てもらい、専門家が内容を精査したうえで開示請求を行い、刑事告訴なり民事賠償訴訟なりにつなげることができます。

協力者への対処でさらに消耗しかねない

ただし、この場合「匿名の多数」はバラバラです。善意で協力を行おうとした結果、一斉に被害者へ「こんな悪意がありました!」という情報提供が殺到し、ただでさえ疲弊している被害者の精神と時間と労力をさらに消耗させるリスクがあります。

そこで今回はご提案です。
Googleアンケート機能を使いませんか?
いや違うんです。決してGoogleの回し者ではないんです。別に便利な投稿機能と集計機能があれば何でもいいです。ただ、ほら、慣れてる人が多いので。

具体的にはこうです。

Googleアンケートとスプレッドシート連携機能を使ってデータベース化
Googleアンケートと回答例

回答が送信されると、受信側はスプレッドシート連携機能を利用できます。

スプレッドシート連携例

解決策の利点

この方法の利点5つ。
 1.まず情報収集に関して被害者の手間が圧倒的に少ないこと。アンケートを作ってスプレッドシートに連携するまで5分も要らないかと思います。なんなら作例を公開しますのでご自身のアカウントでコピーして、要所を書き換えて使ってください。※アンケートを公開する際は「URLを短縮」機能を使うと便利です。
 2.そして、「精査を代理人に任せることができる」つまり、本人は投稿内容を読まなくてもいいのです。たとえ善意で集まった情報でも、悪意の羅列を見るだけでダメージありますからね…。この場合代理人は最初から弁護士がおすすめですが、まぁ最初は友人でも所属組織の誰かでもいいでしょう。
 3.さらに精査作業において、スプレッドシートでデータベース化されているので、重複投稿を簡単に弾けます。(そのためにURLを聞いています)そう、効率的!
 4.被害者をブロックしている扇動者を発見できる可能性があります。収集したデータからフォロー関係を追っていけば、ネットワークを解明できるかもしれません。
 5.この方法の肝ですが、単一の人物ないし団体による複数アカウント投稿を抽出できる可能性があります。コピペだったり、特定のワードを使っていたり、送り仮名や変換に癖があったり、そういった特徴があるかもしれません。データベースになっていれば、共起分析などの手法を使うことができるのです。

解決策の問題点

問題点が3つあります。
 1.スパム投稿のリスクがあります。Googleアカウントへのログインを必須にしているため、アンケート機能に大量投稿や偽の投稿などの攻撃を行った場合はそのアカウントをGoogleに通報することができます。そしてGoogleは「利用目的別に複数のアカウントを持つことは認めている」のですが、何らかの理由であるアカウントを利用停止にする際、同一人物によって利用されていると思われるアカウントも差し止めたり、新たにアカウントを作ることを阻止したりできます。しかしながら、「二度とGoogleアカウントなんて使わない!」という覚悟で攻撃されたら止められないんですよね。まぁ、スプレッドシートの定期的な退避とか色々防御策はあるので、無敵の人が攻撃してきているようなら少し調べてみてください。少なくとも個人のメールアドレスを公開したりするよりはずっとマシだとは思います。
 2.法律事務所に頼むのはカネがかかるんです。世の中には自分で開示請求から訴訟までやっちゃう方もいますが、勝ち目があるかどうかも含めてやはりデータを見せながら専門家に相談して、できれば代理で動いてもらうのが良いと思います。しかしながら貧乏人にはそれができない。つらい。こればっかりは現状から将来にわたって解決策が見えません。もしかしたら誹謗中傷訴訟が消費者金融過払い金訴訟のように法律事務所にとって手堅いお仕事になってきたら変化があるかもしれませんが。
 3.善意の協力者がどれだけ集まるのか不明です。アンケートを公開してみたはいいが、誰も返信してくれない…。私の味方なんかどこにもいなかったんだ…。こんなことになったら目も当てられません。なので、アンケートを公開する前に善意の協力者がいるか見極めた方がいいです。匿名なら「やりますよ!」「応援してます!」って発言だけする人はたくさんいますが。メールアドレスを明らかにして協力してくれる、ってのはそのうち一握りだと思います。世の中そういうもんです。でもフォロワーが1万人いたら、1人くらいは動いてくれるかも。それもまた、世の中だと思ってます。

2024/2/1 追記:「ブロック状態での扇動」の概念追加、図1~4を追加。
いったんここまで。

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