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生成AIに転職エージェントをお願いする:Claude3編

生成AIといえばテキストを使って文書作成など行うChatGPT、テキストから画像作成を行うStable DiffusionやMidjourney、テキストから1分間の映像を作り上げるOpenAIのSora、などが注目も浴びています。しかも、従来はテキストや画像といったインプットデータ1種類に対して特化したAIアプリ一つに1つでしたが(シングルモーダルと言います)、複数のインプットデータを同時に処理できるAIに進化しています(マルチモーダルと言います)。生成AIが作ったアウトプットの信憑性を判断する必要性は残りますが、ますます我々の生活が楽になっていきますよね。

今回は「生成AIに転職エージェントをお願いする」という題材で2つのAIサービスを使ってそれぞれの結果を比較していこうと思っています。比較するのが、AnthropicのClaude3とOpenAIのChatGPTです(Mistral AIは次回に)。AnthropicはAmazon、Google、Zoomなどが支援しており、OpenAIはMicrosoftが支援しています。ここでもGAFAMの戦いがあるわけです。

アカウントを作成する

アカウント作成は非常に簡単でメルアドを入れて登録確認メールを承諾すればOKです。

登録画面

自分がどうClaudeに呼ばれたいか指定して「Lets Begin」を押せば開始。

確認画面

はじめに

日本語で以降進めたいので、Claudeに日本語で進めたほうがいいのか英語で進めたほうがいいのか、念の為確認しました。一般的な日本語での会話は問題ないという返答をもらったのでこのまま進めます。ただし、具体的な経験談や専門的な回答を求めてもいい答えが出せないようなので(ChatGPTも同様)、そこは留意しながら対話を始めます。

日本語レベルを確認してみた

Claude3の回答精度を上げる方法を一応確認

生成AIの精度を上げるために学習データの不備や欠損で発生する諸問題に対して何らかの対策を練ることが大切です。今回はClaudeのアルゴリズムを変更することができないので、生成AIが私が期待する回答をしてくれるように、質問の仕方を考えたり(プロンプトエンジニアリング)、参照データを用意して学習を繰り返したり(ファインチューニング)、目標や社会的価値観とのズレを減らしたり(アラインメント)、と調整することが山ほどアリます。今回は技術的な調整ではなく対話を通じて可能な範囲で進めてきます。

Aiの精度改善の方法例

さて、実際に対話してみる

実際に職務経歴書をゼロから作ってみたいので、Claudeには擬似転職エージェントとして質疑対応してもらいます。

まずは、職務経歴書に記載すべき項目を整理してもらいました。一つ一つ確認してくれるよ、と親切な対応で安心します。自己紹介文から志望動機まで網羅したほうがいい項目を列挙してくれてます。

職務経歴書でカバーすべき項目

ここで私は、単に職務経歴書を作成するだけではなく、これまでの職歴と今後の希望を加味してどういった職種が僕に向いてるのか提案してくれとお願いも回答理由の共有についても快諾してくれました。

レコメンドや提案を促すプロンプト
回答範囲を指定するアラインメント

僕はPythonとRustとRをこれまで使ったことがあるのですが、ここでは市場ニーズの高いPython言語を操れるエンジニアというお題で進めます。回答範囲を絞るために、B2CサービスxAIの2軸で開発したいと伝えます。

Claudeの対応姿勢はこんな感じ

エンジニア経験のある採用担当者であればもっと踏み込んだ質問軸を用意するものですが、今はエンジニアではないものの技術理解が3年ほどあるエージェントと話してる感覚です。今後はエージェントのレベル感や経験の深さを指定してみたいと思います。

で、最初にClaudeが出してくれた私の志望動機はこうなりました。

PythonエンジニアとしてB2C製品の設計・開発・実装・運用に携わり、将来的にはAIを実装したアプリエンジニアになることを志望しています。

Pythonを用いたプログラミングには特に力を入れており、【具体的な経験や学習歴】を通じて同言語の習得に励んでまいりました。加えて、【B2C製品開発に関連する経験】においては、設計から開発、実装、運用までの各フェーズを経験し、【各段階で発揮したスキル】を発揮することで製品の価値向上に貢献してきました。さらに、AIやアプリ開発の分野でも【関連する経験やスキル、学習意欲】を示しており、これらを活かしてイノベーティブなソリューションを生み出していきたいと考えています。

将来的には、貴社にてPythonエンジニアとして活躍し、B2C製品開発の技術を磨きながら、AIを実装したアプリエンジニアへとキャリアアップしていくことを目標としています。貴社の先進的な技術力とグローバルな事業展開に強く惹かれており、この環境下で自身の成長を遂げていきたいと考えております。

Claude3による結果

この回答だと具体性がないですし、エンジニアとしての品質や開発経験を伝えられていないので、今度はちょっと具体的な案件内容を指定して再度作成してもらいます。

開発事例を追加

PythonエンジニアとしてB2C製品の設計・開発・実装・運用に携わり、将来的にはAIを実装したアプリエンジニアになることを志望しています。

Pythonを用いたAIアプリ開発の経験として、インバウンド旅行者向けのGPT APIを活用した対話型アプリの開発プロジェクトに従事しました。APIとの連携による自然言語処理機能の実装や、ユーザーとのインタラクションを設計するなど、AIを活用したアプリ開発の一連の工程を主導的に担当しました。また、小売業企業のマーケティング部門向けに、AutoencoderやRNNを用いた売上予測モデルの設計・開発に取り組んだ経験もあります。大規模な商品・販売データを扱い、需要予測の精度向上のために特徴量エンジニアリングや、モデルのハイパーパラメータチューニングを行いました。さらに、物流倉庫の業務効率化を目的とした最適化アプリの開発プロジェクトでは、数理最適化手法を用いて倉庫内のピッキング動線を最適化するアルゴリズムを設計し、PythonとSolverを用いて実装しました。現場の業務プロセスを深く理解した上で、最適化モデルを構築し、シミュレーションを行うことで、リソースの有効活用と生産性向上を実現しました。

これらのプロジェクトを通じて、Pythonを活用したAIアプリ開発やデータ分析、数理最適化など、幅広い領域での実践的なスキルを磨いてきました。特に、ビジネス課題を深く理解し、AI技術を適用して解決策を導出する力を培ってきたことが、私の強みであると自負しています。

B2C製品開発においては、要件定義から運用までのフルサイクルを経験し、各フェーズで求められる様々なスキルを発揮してきました。例えば【具体的な経験や工夫した点】では、【課題解決のために行ったこと】を実施し、【得られた成果】を達成しました。ユーザー視点に立った製品設計と、堅牢な品質を担保する開発プロセスの構築に尽力してまいりました。

今後は、貴社にてPythonエンジニアとして活躍し、これまでの経験を活かしてB2C製品開発の技術を磨きながら、AIを実装したアプリエンジニアへとキャリアアップしていくことを目標としています。貴社の先進的な技術力とグローバルな事業展開に強く惹かれており、この環境下で自身の成長を遂げ、イノベーティブなソリューションを生み出していきたいと考えております。

Claudeによる再作成
Claudeがこんなもんでどうだいと言ってきました

まだまだ具体性に欠けており、採用担当者の評価は高くないと感じたので、インターネットから類似する事例を取得して、「〜のような」という感じで本文に追加できるか試してみます。

再指定スクリプト

生成AIは自分が作成した文章と私からの指定文をセットにして、より具体性を持たせる文章に仕上げてくれると期待しましたが、私のプロンプトでは私の意図がうまく伝わらなかったため、単なる事例の列挙と事例の説明文という逆にAIが作ったと思われても仕方ない文章になってしまいました。私自身が職務経歴書を作成する際に必要な形で情報整理してくれたものの、まだまだ志望動機としてドンピシャに見えないのでさらに指示を出します。

情報源x説明となったアウトプット

次は文章の書き方、引用文の作り方、を教えてみました。こうすることで自身の開発経験は具体的に伝えつつ、既知である実際のプロジェクトから類似情報や類似のアプローチ方法を引用することで、より具体性を高められないか試してみます。

結果として以下のアプトプットが出来上がりました。ここまで15分かかりました。具体的に開発経験があるからClaudeに細かい指示を出せるとはいえ、文章整理だったり文体を整えたりしてくれることはとても助かりました。

最終版の志望動機例

最後に

転職する際に転職エージェントを使うのは一般的だと思います。転職エージェントは候補者が希望する職種や募集要項を高い視座で理解しており、募集企業と候補者の意思疎通をサポートする役割として非常に有用です。

一方、初歩的なことから転職エージェントに壁打ちしてもらう時間がなかったり、自身で自身の志望動機を整理したいなど、具体性のある動きができる方であればClaude3を使って職務経歴書や面談準備など幅広く活用してみてはいかがでしょうか。

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