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元ボンボンの地団駄vol28

2016年2月

僕は関空発羽田行きの始発便で東京に飛んだ

その日僕は、アメリカ留学時代の先輩とモーニングを食べていた。。。素人サッカーチームで異彩を放っていた茶髪でくねくねした優しいホストみたいな先輩だ(vol11参照)。その先輩とは、お互いが日本に帰国してから、僕をサッカーチームに勧誘したお調子者のシゲさんの結婚式で再会し、お互いが社長という立場で僕は事ある毎に色々な相談をするという間柄になっていた。その先輩はアパレルや化粧品、モデル事務所など様々な事業を手掛ける、正真正銘の青年実業家だった。

その日、僕は東京で、毎度のごとく、金融機関と仕入先に頭を下げて回るという、憂鬱なスケジュールが待っていた。その前に、朝飯でも食いながら、先輩とお話でもしようと思い声を掛けた。

その当時、奈良の会社では物流加工業をがっつりしていたのだが、なかなか今後の伸びしろを見つけられず悩んでいた時期であった。物流加工は主に内職さんと契約をして作業を行ってもらっていたのですが、10人いると10人分の売上しかたたない。たとえ20人分の仕事を依頼されても10人分しか出来ない。ましてや、内職を募集してもなかなか人が集まらない現状にもかなり焦っていた。

そのあたりを先輩に相談していたのだ。

「なんか、なかなか売上が伸ばせなくて、、、大変なんすよ。。。」

「そーなんだ。。。このパン美味しいよね」

「はい。どーしたらいいんでしょうね。。。」

「難しいよね。。。こっちのパンも美味しいよ」

聞いてくれてるのか、聞いてくれてないのか分からない返事。。。すると。

「そういえばさあ。OOOさんって紹介したっけ?」

「OOOさん?いや、知らないです。紹介されてないです」

「そうだっけ?大阪で物流のシステムを作ってる会社だったかな?ん?なんだったかな?物流の、、、なんかって言ってたような???まあ、とりあえず紹介してあげるよ。もしかしたら何かのきっかけになるかもしれないしね。折角だし、今電話しちゃおっか」

といって、いきなり電話をかけ出した。。。

「あ、もしもし、ご無沙汰ー。あのさ、奈良でさ、物流やってる子がいるんだけど、ちょっと会ってあげてくれない?今、東京で一緒にお茶してるんだけど、奈良に戻ったら連絡させるよ。ん?あ、そうなの?ちょっと待って。聞いてみる」

といって先輩は僕に。

「今晩空いてる?今、この人、大阪から東京に向かってて、今夜だったら東京で会えるって言ってるよ?」

唐突な!!ただ、僕はその時、何となく、この人には会った方がいいと直感的に思った。実は、その日の夜大阪で予定があったのだけれど、それをキャンセルしてでも、この人に会った方がいいと思った。

「大丈夫です。空いてます」

そして、その日の夜、その人に会う事になったのだ。

が、しかし、僕にはその日、色々としんどい予定が満載だった。先輩と別れて、金融機関に出向いた。状況を説明し、今後の対策を説明するが、あまり納得した表情はされない。勿論、高圧的な態度をとられる訳ではないが、言われる内容はなかなか厳しい事を言われる。

ただ、仕入先はそういう訳にはいかない。

めちゃくちゃ厳しい言葉を投げつけられるのである。。。

その日、六本木で先輩と朝食を取って、湯島天神がある湯島に移動し、そして巣鴨→秋葉原。。。お昼に秋葉原のマクドナルドでランチをして、その後精神的に疲れまくった僕は、次の目的地である東京駅に歩いた。足取りは重かったし、早く行きたい訳でもない、無駄なお金も使いたくない、、、で、歩いた。

道中、色々な事を考えた。勿論、ネガティブな事ばかり。こうなってくると、いよいよ神様にお願いし出す。。。そして、神様にもお願いし尽くすと、誰でもいいから助けてくれないかなあ、、、なんて馬鹿な事を思いだす。
「よし!次ぶつかった人に、助けて下さい!ってお願いしよう!!」とまで考える始末。おそらく、それぐらい切羽詰まってたのか、至らぬことまで考えてしまうような状態。それぐらい精神的に追い詰められていたのだ。

そして、すべての予定が終わった僕はヘトヘトになりながらも、朝、先輩に紹介してもらう予定になってる方と会う為、青山に向かった。

表参道の交差点。知らない電話番号が鳴る。その方からだ。電話に出て、あたりを見渡すと、、、

短髪の見るからにIT企業社長的な、ギラギラした感じで目力強めの方が手を振っていた。

ご挨拶をすると、いきなり握手し、

「飯食った?行きつけのソバ屋あるから行こうか」と聞きなれた関西弁。

そして、そのギラギラ社長に業務の事を軽くお話をさせて頂き、そしてギラギラ社長の会社の事も伺った。

物流システムを作ってる会社。

要するに、ネットショップを運営している会社と物流会社の間にシステムを導入してより簡単に入出庫保管作業を行う為のシステムを提供している。

なんか、分かったような分かってないような???

色々話をしている中で、「奈良行くわ!倉庫見に行くわ!」と。

ただ僕は、、、システム会社というモノを基本信用していなかった。莫大な費用が掛かるし、結局更新する為にまた費用がかかり、、、みたいなイメージしか持っていなかったのだ。だからこの時も紹介して貰っておいて、話半分に聞き、全然信用して居なかった。

が、この出会いが僕の会社や人生を大きく変える事になる。僕の人生の中で、この人と出会ってなければ僕の人生どうなっていたことかランキングのトップ3の一人になるのである。

そう、日中、秋葉原で、次ぶつかった人に、、、って思って、最初に触れたのがこのギラギラ社長だった。



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