※閲覧注意※ トランスジェンダーへの誹謗中傷に、かたっぱしから反論する
前回書いた記事の続きです。
もしよければ、先にこの記事を読んでください。
今回の記事では、「かや 3rd」のYouTubeコミュニティに寄せられた、トランスジェンダーに対する誹謗中傷に反論していきます。
先に言っておきますが、かなり過激な意見が出ているので、閲覧する際は十分に注意してください。途中で体調が悪くなった場合は、すぐにブラウザバックすることをおすすめします。
直接反論しない理由は、泥沼の議論をしたくないからです。YouTubeでは、同じ動画にいくつもコメントする人は煙たがられるので、それを避けるという意味もあります。
あと、言わずもがな個人的な見解が多分に含まれています。私は研究者でもなんでもないので、一般人の意見として気楽に見てください。
※コメントは、下記の記事から引用しています。
コメントへの反論
性別なんていう生まれついて持ってるものを他者からの承認欲求の充足に使おうとするからややこしくなる
このコメントを書いた人は、性とジェンダーを混同して扱っています。
生まれ持っているのは、あくまでも出生時に割り当てられた性別であって、ジェンダー・アイデンティティではありません。
このコメントは、そうした個人の人格を否定するものであり、間違っているだけでなく、悪意も含まれている最悪のものです。
「他者からの承認欲求の充足」とはなんでしょうか。
自分の正しい姿をわかってほしいというのは、承認欲求というより、社会生活を送るために必要な、最低限の欲求です。この人は、トランスジェンダーを「奇妙な主張をする頭のおかしい人」とでも思っているのでしょうか。
ただ、（性自認を含む）性別が生まれついたものであるという考えの人は、案外多いです。もちろんそうした例もありますが、成長と共にジェンダーが変わっていくのは、おかしなことではありません。
自分がそうだからといって、他人が同じではないということを、この人は肝に銘じておく必要があるでしょう。
「肉体は〇〇だが精神は〇〇である」 って枠を設ければ解決するんだが… それに世間が合わせられるかは別だよな
たしかに表面上は、それで解決するのかもしれません。
ただ、自分の肉体の性（生殖器の有無など）を書かなければいけない当事者の負担を考えると、欠陥のある制度だといえます。
自分のジェンダーを女性だと認識しているトランス女性が、男性器がついているからという理由で、「肉体は男」と書かされる屈辱を想像してください。
体のことについて聞くのは、ジェンダーに関係なく立派なセクハラです。ましてや医療的な判断では、生殖器が基準となることが多いので、必要のない肉体の性を示すために、デリケートな部分まで見せることを要求するのは、いかがなものかと思います。
一応真面目な意見も... 手術不可能って言われた場合は手術無しでも認めてもいいと思う。だけど手術の有無に関係なく性差ってどうしても力の強さだったりで身体的な差が出てきちゃうから免許の実技みたいにマニュアルで定められた一定のラインを決めた方がいいと思う、例えば男性と女性での心拍数変化を測るとかでどちらに興奮を覚えるかを確認したり、みたいなね
残念ですが、めちゃくちゃ間違った意見です。
手術不可能という人だけを認めても、問題の根本的な解決にはなりません。そうした体の状態に関係なく、性別適合治療を望まない人もいるからです。そのような中途半端な制度は、LGBTコミュニティ内での差別を生み出す可能性があるので、避けるべきです。
性差を力の強さで測ると書いていますが、具体的にどのような基準を設けるのでしょうか。男女の力の差は、数万人集めれば統計的な差として出るかもしれませんが、個人差が大きいので、数値を決めることはまず不可能でしょう。
「力が強いのが男、弱いのが女」という偏見を助長させる恐れもあり、あまり有効な判定方法であるとは言えなそうです。
心拍数変化で性嗜好を測るのは、言うまでもなく人権侵害です。その方法で正しく測定できるかどうかに関わらず、知らない人に性嗜好を開示しなければならない状況は、文明国家としてあるまじき姿だといえます。
もっと言えば、性自認と性嗜好は別物です。
なぜ本題から外れた議論をしているのかは、ちょっとわかりません。2つを混同しているのでしょうか。基本的な部分から、しっかりと勉強されるのが良いかと思います。
それよりはホルモン治療の有無とか抗男性ホルモン剤の投与とかを条件にした方がいいと思う。 ホルモン投与で骨格や声帯の変化は泣くとも体つきや考え方も変わってくるし ホルモン投与で女性への興奮減っていくし
さきほどのコメントに対する返信です。
ホルモン投与を条件にしていますが、どうしてそこまで体の変化にこだわるのでしょうか。これでは、手術が必要であるという意見からまったく進展していません。
ホルモン投与で、確実に考え方が変わるという意見については、私の乏しい知識では根拠を見つけることができませんでした。彼によれば、女性への興奮度も同時に減るそうです。
なぜ女性への興奮度は下がって、男性への興奮度は変わらないのでしょうか。非常に興味深い内容なので、まとめて論文にされると良いかと思います。
1人の善人を助けるために無数の悪人を解放するには人類社会は未熟すぎる。
「1人の善人」というのは、性別適合治療を望まないクィアの方のことを言っているのでしょう。
「無数の悪人」というのは、おそらく制度を悪用して犯罪を行う人を指しているのだと思います。
しかし、わざわざ面倒なステップを踏んでまで、のぞきや盗撮のために性別を変える人が果たして何人いるでしょうか。いたとしても、そうした人たちは一瞬でバレます。
そもそもトランスジェンダーやノンバイナリーの人は、銭湯や公衆トイレをあまり使いません。男性や女性といった、特定のジェンダーを求められるのは、彼らにとって苦痛だからです。
そうした中で、嬉々として銭湯や公衆トイレを使っている人がいれば、とうぜん目立ちます。まずそんな人は性別変更の申請が通らないでしょうが、通ったとしても悪用できる可能性は低いです。
このコメントをした人は、性別適合治療を求めないクィアの数を、少なく見積もりすぎです。私も正確な数字は持っていませんが、頭のおかしい変態と比べれば、その数十倍はいるとみて間違いないでしょう。
生じる被害よりも、メリットの方が圧倒的に多い、と断言しても問題ないと思います。
マイノリティを救うために大多数の人間が迷惑や不安を被るようなことはあってはならない。弱者が批判の対象になるだけで誰も救われない。
この意見は多くの場所で見ますが、たいへん危険な考え方です。
多数派のために少数派を犠牲にするのは仕方ないというのは、現状に甘んじて思考停止しているだけです。そもそも、マイノリティを救うことに興味がないのでしょう。
最後の「弱者が批判の対象になるだけで誰も救われない」という文章には、多少納得できる部分はありますが、だからといって現状維持をしていい理由にはなりません。
あなたが多数派に属しているのなら、弱者が批判の対象とならないような方法を考えていくべきではないでしょうか。もし大多数の人間が不安を感じるのであれば、段階的な移行といった方法などで緩和できるかもしれません。
何が言いたいの？だから不要にしろとでも言いたいのか？ 勘違いしているが、身体違和が強烈だから手術させてくれ！と懇願してきたのは当事者なんどが？ そんなに手術が危険ならやめて仕舞えば良い。ただし戸籍変更も認める必要はないわな。そもそも性別は変えられないんだからな
私の偏見ですが、この方はある程度年齢が高いと思われます。
わざわざ、「強烈」「懇願」といった言葉を使っているのはなぜでしょうか。もしかしたらこの人は医者で、実体験を喋っているのかもしれません。それにしては、手術の危険性についての知識は持ち合わせていないようです。
ネットのコメントに文句を言うのはあれですが、あまり不必要な言葉を使うのは避けた方がよいと思います。言いたいことが強調されるのは理解できますが、同時にあなたの無知と差別意識を全世界に晒すことになるからです。
この方も、身体的な性別にこだわっていますが、高い年齢の人ほど、体の性と心の性は違うという考え方を受け入れるのは困難です。日本は長い間、旧時代的なジェンダー観に晒されてきたので、年齢が高い人ほど、いまだにその禍根を引きずっています。
正直、彼らにこの概念を理解させることは不可能に近いので、あきらめて放っておきましょう。ある程度話が通じる人じゃないと、ジェンダーについては理解してもらえません。
納得を求めてる性同一性障害の方はそれで済むかもしれないけど、ただ権利を欲しがってるだけの奴はいつまでも騒ぎ続けるよ。 ゴネれば通ると思わせたら負け。
権利を欲しがっている人というのは、いったい誰なのですか？
手術不要で性別を変えることが可能になる、ということで何か経済的な得をするのでしょうか。手術が不要だからといって、すぐに性別が変えられるというわけでもありません。
このように、存在しない敵をでっち上げる人はよくいますが、彼らは何と戦っているのでしょう。甚だ疑問です。
ネットのやりすぎで頭が変になっている可能性があるので、一度スマホを置き、家のまわりを散歩して思考を落ち着けてください。現実は、あなたの敵ではありません。
世間はそういう人もいるんだって事を少しずつ理解しようとしてるんだからそういう人達も口で何を言おうがモノが付いてる以上他人からどう見られるのかって現実を受け入れるべきじゃないのかとは思います
「俺も我慢してるんだから、お前も我慢しろ」
非常に日本人的で、非常に良くない考え方です。
だいたい、多様なジェンダーのあり方を理解するということと、生殖器で他人の性を判断することに何のつながりがあるのでしょうか。
変えるべきは間違った考え方のほうで、クィアの人たちではないでしょう。間違った価値観を押し付けるのは、当事者に危害を加えているだけです。そんな状態では、多様性の理解なんてできるはずもありません。
現実で（もちろんネット上でもですが）こうした軽率な発言をするのは、人を傷つけるので絶対にやめてください。
前回の動画の内容と同様、マジョリティーがマイノリティーのせいで制限をくらうのはおかしいって話しよな。
なんの制限だよ、って話です。
別にあなたの行動を変えろとは言っていないのだから、困ることはないはずです。あと無意識にマイノリティを見下しているということが、このコメントからわかります。
彼らだって、好きでマイノリティになっているわけではないのだから、人口うんぬんの前に、1人の人間として接するのが正しい行動だと思います。
マイノリティに配慮するのは、何もおかしなことではありません。
一言で言うと、何でもかんでも思い通りになると思うな
いやだから、何でもかんでもってどういうことですか。
性別適合治療を望まない人にとって、今の状況は不十分なのです。無理やり手術を受けさせるのが非人道的な行為だということは、歴史で散々習ったことでしょう。
それをさも、調子に乗っているかのように表現するのは、あまりにもひどすぎます。
さすがにこの人は、現実認識が歪みすぎです。あなたの目には、犯罪者しかみえていないのですか？
ちゃんと働いてますか？学校行ってますか？とりあえず人と話してみてください。世界全体を悪と思っていたら、何も理解できませんよ。
自分の性別に違和感がある。だから女性用/男性用トイレを使う、じゃなくてなんで多目的トイレを使用しないのかが分からない。 そういう人達や身体的障害がある方や、子連れなどが使いやすいようになってるからどちらの性別でも使えるようになってるのにそれをなぜ拒むのか なぜ自分たちは配慮されて当然という考えを持つのか それがわからない。 使えるものを考えたり、自分はこういう性質、体質なんだからとまず自分で考えることは誰でも当たり前のことでは無いのか？ と思ってしまいます。
これは、よくあるトランスジェンダーに対する誤解です。私も以前は、似たような考え方を持っていました。
しかし、自分を女性だと認識しているのに、見た目が女性っぽくないからという理由で、女性トイレの使用を拒まれたらどうでしょう。とても屈辱的だと思いませんか。
多目的トイレを使えばいいじゃん、と言われたところで、疎外感が無くなるわけではありません。トランスジェンダーの人に対して、多目的トイレを使うことを強制するのは、遠回しに彼らのジェンダーを否定していることになります。
とはいえ、日本では男性/女性に分けたトイレが普及しているので、男性用小便器/便座のような形に変えていくのは現実問題として難しいです。
そのため、妥協案として多目的トイレを使うしかないという考えは理解できますが、現状に対して不満を述べる自由はあってもよいと思います。願わくば一部の場所で、そうしたトイレが設置されることを望みます。
当事者（手術済み）ですけど、手術してないヤツが戸籍変更出来るようになったとして、ソイツがなんかしでかした時飛び火してきそうなのもあって手術不要は反対です。 戸籍を変えるなら手術は最低限マナーであると思う。
当事者のコメントですが、同意しかねます。
やはり手術の有無で分けるという考え方が、どうしても納得できません。
クィアであっても手術を望まない方がいるというのは、先に述べたとおりです。社会はあなた一人で成り立っているわけではないので、他の人の気持ちも理解するべきだと思います。
「手術は最低限マナー」のような仲間意識は、LGBTコミュニティに亀裂をもたらす可能性があります。当事者だからとは言いませんが、ある程度気持ちが理解できる人間として、分断を生むような発言はやめた方がよいと思います。
最後に
今回のYouTubeアンケート、および投稿された動画は不適切な内容を多く含んでいましたが、人々（おそらく一部）のあいだにある誤解や差別意識を洗い出すという点では、意義のあるものだったと思います。
これらの原因の多くは無知にありますが、彼らのほとんどは、きちんと本を読んで学ぶといったことをしないので、このような偏見が改善されることはあまり期待できません。
自分の意見を絶対だと考える人や、社会への認識が歪んでいる人が多かった印象です。ジェンダーについて考える前に、社会生活の基本的な部分から改善していく必要があることが、なんとなくわかったのではと思います。
私もクィアに肩入れしている部分が多くあるので、今回書いた文章のいくつかは、あまり正しくない可能性があります。意見が偏ってしまうのは避けがたいことですが、そのことを自覚して改善に努めるのが、私たちがとりうる最良の方法です。
みなさんもこれを機に、ジェンダーについて考えてみてください。
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