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「空文」を書いてみよう!

現代は「変化」の時代です。国際化、IT化、グローバリゼーション、ここ数年でたくさんの変化が起こりました。

そうした中で私たちも、自らをアップデートすることが求められています。変わりゆく時代に乗り遅れぬよう、自分自身を変えていかなければならないのです。変化を恐れないでください。現代は自らが主体的に生き方を選び取ることのできる、自由の時代なのですから。

とにかく行動しましょう。新しいことに挑戦し続ける人だけが、成功を手にすることができます。失敗したって構いません。あのスティーブ・ジョブズやイーロン・マスクも、数々の失敗を繰り返しながら、世界にまたがる巨大企業を作り上げました。

勇気を持って行動すれば、世界はきっとあなたに微笑んでくれます。今こそ行動を起こすときです。モタモタしていると、チャンスはすぐに逃げていってしまいます。

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とまあ、これが「空文」の一例です。あ、そんなセミナーはないので安心してください(笑)。

実際に使われている意味とは少し違いますが、僕はこうした「それっぽいだけことを言っているだけで全く中身のない文章」を「空文」と呼んでいます。

選挙演説や国会答弁、会社の経営理念の説明、ビジネス書、怪しげなセミナーの勧誘など、「空文」はいたるところで見かけます。


「国民みなさんの生活に寄り添い、誰もが安全で幸せに生きていくことのできる社会を目指していきます」

「えー、コロナ対応につきましては、迅速かつ丁寧に、一刻も早い収束を目指し最善を尽くしてまいります」

「我が社はSDG'sの達成に向けて、環境に配慮した製品作りと、カーボンニュートラルを目指した取り組みを行っています」

「既存の古い価値観にとらわれず、自由な発想でアイデアを生み出していくことこそが、この令和の時代に求められる能力なのです」


こんな文章を、みなさん一度は見たり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか。

これらはいずれも「空文」です。立派そうなことを言っていますが、具体的なことは1つも言っていません。こうした文章を見聞きすると「結局何すんねん」と、つい突っ込みたくなってしまいます。

空文を作るときのコツは、
1. 自由、新しい、変化、などのふわっとした言葉を使うこと
2. 当たり前のことを、様々な言葉を付け足してそれっぽく言うこと
3. 最近よく聞く言葉(今だったらコロナ、不況、AIなど)を使うこと
4. 具体的なことに一切言及しないこと
の4つです。

空文のいいところは、そのことについて何も知らなくてもまとまった文章が書けるところと、当たり前のことしか言わないので、間違いを追及される心配がないところです。

中でも、選挙演説と国会答弁は空文の宝庫です。もし時間があれば、誰かの選挙演説や、首相の記者会見の映像なんかを見てみてください。いくら聞いても全然情報が増えないので、きっと驚くと思います。


ですが、1つ注意してほしいことがあります。それは空文を使っているからといって、その人が馬鹿だとか無能だとかいうわけではない、ということです。

ウイルスや経済といった、先の見えない大きな問題について首相が具体的なことを言ってしまうと、それが達成できなかったとき国民から批判を浴びることになってしまいます。

こうした大きな問題については、いくら国のトップとはいえど、どうなるか全く予想がつきません。なので不確かな予測をして批判されることよりも、中身のないことを言って回答を避ける方を選ぶわけです。

ある意味で空文は、一種の生存戦略といえます。まさか国のトップや政治家が「それはちょっとわからないですね〜」と言うわけにはいきません。そんなことをすれば、支持率がガタ落ちしてしまいます。

だから空文を使うことで、なんとかその場をやり過ごしているわけです。内心では「そんなこと俺もわかんねえよ!」と思いながらも、「最善を尽くしております」とか、「様々な状況を考慮した上で、、、」などの言葉でごまかしているのです。


空文を使うもう1つの理由として、具体的なことを言うよりも、多少誇張してでもそれっぽいことを言うほうが宣伝効果が高い、というのがあります。

本でも商品でもセミナーの宣伝でも、多くの人の目に留まることが何よりも重要です。なので、明るい、楽しい、などの誰にでもわかる言葉や、グローバル、SDG's、AI、などのそれっぽい言葉を宣伝に使います。

実際にはストローを紙製に変えることぐらいしかしていなくても、「我が社は環境に配慮した製品作りをしています!」と堂々と言いますし、外国人の生徒が1人でもいれば、「うちの学校は国際化に力を入れています!」と学校のホームページに書きます。

宣伝というのは、大げさに言ってなんぼです。とにかく、見た人にすごいと思ってもらうことが何よりも大事なので、具体的なことを言わずに、空文で宣伝を行うのです。

こうした行為は、言ってしまえばほとんど詐欺に近いです。ですがそれが宣伝というものなので、騙されないためにも話半分ぐらいに留めておきましょう。


空文はあらゆる場面で役に立ちますが、自分の信用を落としたくないのであれば、なるべく使わないのが無難です。かっこ悪くても、正直で、等身大の人生を送ってください。


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