共感を増やして「絆」を強くする/みんなで作るマネーフォワードのブランドとは
こんにちは!マネーフォワード広報部の田淵です。
マネーフォワードはこのたび、インターブランドジャパンが主催する「Japan Branding Awards 2022」において「Rising Stars」を受賞しました!創業10年以内のIT企業が受賞するのは初めてのことで、社内からも喜びの声があがっています。
「Rising Stars」はブランディングを通じて著しい成長を収め、卓越したオリジナリティのある取り組みを行うブランドに贈られる賞であり、今回はマネーフォワードのミッション・ビジョン・バリュー・カルチャー(以下「MVVC」)を浸透させてブランドに昇華する取り組みを評価いただきました。
今回はマネーフォワードのブランディングを担う4人のみなさんに「Japan Branding Awards 2022」受賞の背景と、マネーフォワードのブランドへの考え方についてインタビューをしました。
受賞についてはこちらのプレスリリースもご覧ください
プロフィール
目に見えにくいブランド価値を可視化し、高める
ーこのたび「Japan Branding Awards 2022」において「Rising Stars」を初受賞いたしました!具体的にマネーフォワードのどういう点を評価いただけたのでしょうか?
寺村:今回はマネーフォワードのMVVCを軸とした、インターナルブランディングの取り組みをアピールしました。インターナルブランディングは、会社の理念や価値を明確に定義づけ、社内のメンバーに浸透・共感を促すことで、ブランドとしての一貫性を生み出す活動のことです。
マネーフォワードは会社の軸となるMVVCを当時デザイン責任者だった金井さんを中心に策定し、経営陣を巻き込みながらみんなでカルチャーの浸透を行ってきました。企業理念やミッションは創業者や経営陣が決めたものをトップダウン型で浸透させるケースが多いと思うのですが、そうではなくて企業文化をみんなで作り浸透させたという点を評価いただけたようです。
ーそもそも今回のアワードに応募したきっかけは何だったんですか?
セルジオ:元々は知財戦略部の小日向さんからの提案が始まりです。
小日向:知財戦略部では、マネーフォワードの「強み」となる知的資産を把握し、知的財産の創出や保護・活用に取り組んでいます。ブランドも知的資産の一つなのですが、財務諸表には表れにくく、把握しづらい、可視化しづらいという課題がありました。そこで、グローバル展開を行っている日本企業ではどのように取り組んでいるのか調べていたときに、指標の1つとして、インターブランドジャパンでの評価をコーポレートサイトなどで示している企業が複数あることを知りました。
インターブランドジャパンはブランドの評価の視点が明確に定義されていて、例えばブランドの評価基準を10の指標で定義しています。「体験」や「双方向性」に重点を置いている考え方に共感できましたし、この指標はまさにマネーフォワードが体現していることと同じだと思いました。そこで、マネーフォワードの企業価値をさらに高めるためにも、このアワードへの応募をセルジオさんに提案しました。
セルジオ:ブランドは抽象的な概念で、自分たちで評価をするのは非常に難しいです。今回アワードに応募することで、自分の立ち位置や取り組みを客観的に見る機会になると思いました。あとは純粋に、知財戦略部がブランドを重要なものと捉えてくれているのが、デザイナーとしても嬉しかったですね。
中から外に滲み出すようにマネーフォワードのブランドは出来上がる
ーアワードへの応募書類は寺村さんが作成されたと聞きました。
寺村:はい、僕は今回アワードへの応募の実務を担当しました。セルジオさんからアワードについて相談を受けた時はまだ入社して1年も経っていない時で、僕が行った取り組みでは応募書類に書けるようなことがまだありませんでした。どうしようかと考えている時に、入社前にマネーフォワードに惹かれた理由を思い出したんです。
マネーフォワード入社前に勤めていたブランドエージェンシーでは、クライアント組織の中にある価値観を、価値を届ける先のお客様の指向性や未来の環境とすり合わせて新たな提供価値を一緒に導きだすプロジェクトを担当しました。このアプローチも組織の中から外にブランドが滲み出す状態を目指しており、本質的なアプローチだと思います。しかし、最終的にブランドの価値を左右するのは、価値観を定めた先にあります。
組織のメンバーが自分ごととして、強い思いで価値観を行動に反映しつづけることで、価値観に対する社内外の共感を育み、信頼を醸成していく。こうした思いを伴ったアクションを継続することがブランド価値に直結する重要な要素になります。そして、まさにそれを体現していたのがマネーフォワードでした。
世間的にみても、メンバー発信で企業の軸となるMVVCを作成し、浸透に成功している企業は多くないと思います。僕はこうしたMVVC策定の取り組みや、多くの人がnoteなどで自主的に会社の発信をしているカルチャーにとても驚き、マネーフォワードにジョインしたいと思いました。この時に感じた驚きを思い出し、今回はマネーフォワードの強みであるインターナルブランディングを軸に応募書類を作成しました。
ーどうしてマネーフォワードはトップダウンではなく、みんなを巻き込んでカルチャーを浸透させることができたのでしょうか?
寺村:それは、「共感を育みたい」という強い想いを持ったキーパーソンの存在があると思います。例えば、MVVC策定を提案した金井さんは、策定を依頼されたわけではなく、既にあった行動指針をメンバーに伝えるためのカードにしたいからデザインしてほしいと言われただけだったんです。それなのにも関わらず、その文面そのものに課題を発見し、マネーフォワードの魅力的な価値観を経営陣や当時のメンバーから引き出してMVVCとしてまとめ上げ、さらにその浸透活動にまで発展させました。それが本当に驚きで、その熱量はどこから来るのか入社したての頃は会うたびに聞いていました。
色んな話を通して最近分かってきたのは、金井さんは「好きになった物事の魅力を引き出したい」という想いが強い人だということです。金井さんがメンバーとのコミュニケーションを通してマネーフォワードを好きになり、強い想いを持てたからこそ、ここまで社内にも共感が広がったんだと思います。
セルジオ:金井さんはMVVCを策定した当時も会社が好きだったんですか?どんな動機があったのか気になります。
金井:めっちゃ好きだったと思います。マネーフォワードってみんなユーザーに向き合いたいと思っているし、リスペクトの精神を持っていて、絶対他者を貶めたりしないんです。そういう価値観を誇りに思っていました。カードにしてと言われた行動指針は、私の好きなマネーフォワードとは少し違う感じがして、もっとみんなが大切に思えるものにしたいという想いでMVVC策定に関わりました。
セルジオ:なるほど。金井さんは当時デザインの責任者だったわけですよね。元からカルチャーの浸透がブランドに繋がると意識していたんですか?
金井:自分たちの価値観が社内に浸透している状態になったら、それがアウトプットとして滲み出して、会社独自のブランドになっていくんだろうなとは思っていました。あと、当時は会社としてまだまだデザインを活かしきれていないなと悩んでいたのですが、MVVCを浸透させていくことでもっとデザインを会社経営に活用してもらえると思ったんです。
ーマネーフォワードはグローバル化に向けて、働くメンバーもどんどん多様になっていきます。私たちの共通の価値観であるMVVCの伝え方も変化していくのでしょうか?
金井:MVVCを浸透させていくプロセスは国籍問わずだと思っています。ただ、バックグラウンドの違いを考慮し、より明解かつローコンテクストにする必要はあるので、伝え方は工夫していきたいです。
そもそも、MVVCは既に社内に浸透していて、カルチャー部が「MVVCを浸透させます!」と積極的に発信しなくてもよいフェーズになってきているとは思うんですよね。なので、浸透は引き続き行いますが、これからはみんなの想いを引き出して伝えるとか、関係性を深める仕組みを作るなど、より会社に愛着を持ってもらうための取り組みにも力を入れていきたいと考えています。
双方向のやりとりで生まれる「絆」がブランドになる
ー「ブランド」は目に見えないので捉えづらいですが、マネーフォワードでのブランドの定義はありますか?
寺村:先日完成したブランドガイドラインで「企業独自の価値観=ブランドである」と定義しました。「価値」は外からの客観的な評価で決められますが、「価値観」は自ら抱くものです。もちろん利己的な価値観ではこの様な定義はできません。
マネーフォワードの場合は元々の価値観が社会貢献に根ざしているため、この定義が成立しています。社会貢献に根ざした価値観を届けるべき相手のために形にして届けると、共感や期待や要望といったリアクションが生まれます。そのリアクションを受けて、価値観をもっと相手に適した形で届ける。そしてまたリアクションをもらう、ということを繰り返して信頼を積み重ねることで、送り手と受け手との間に育まれる「絆」が「ブランドの価値」つまり会社の持つ「価値観の価値」だと考えています。
こうした「絆」ができることで、コミュニケーションはどんどん円滑になり、提供するサービスやプロダクトをより早くアップデートすることができますし、「この会社が好きだから商品を使う」といった他社の介入を許さない競争優位性も期待できます。
セルジオ:ブランドは僕たちだけでは作れません。結局受け手がどう認知するかが大事なんです。なので僕らと一緒に作っていくと言う感じですよね。僕らのエゴで決めるものではなくて、しっかりと僕らの価値観に共感してもらうことでブランドになると思います。
金井:そして、共感してくれる人を世の中に増やしていくということがブランディングですね。
セルジオ:ですね。共感を増やすためにも、色んなプロダクトにおける体験や情報発信で一貫したマネーフォワードらしさを出すことが必要です。なので、まずは一貫性を隅々まで出していくというのはすごく重要で、まだまだその点はやり切れていないと思っているので、一貫性を出せるようにするにはどうしたら良いかというのを今考えているところです。
小日向:世の中には、一貫性のあるブランドを作るために「徹底した管理」を行っている企業もあります。ただ、「管理」というのは堅苦しくなってしまいますし、自由度が減ってしまうので、マネーフォワードには合っていないと思うんです。かといって何でも自由にOKとしてしまうと、一貫性が保たれなくなってしまいます。そこで、共通の価値観(=MVVC)を持っていることが判断の基盤として重要になってきます。今後は、今ある基盤を、会社の成長に合わせて微修正しながら保っていけるかが重要になってきますね。
ーブランド価値をさらに高めていくために、これからどんな取り組みをしていきますか?
小日向:私は知的財産の観点からブランディングに関わっているので、まずは他社の権利を尊重しつつ、自社の権利を守っていくということが大前提となります。ネーミングやロゴ等を保護する商標権は、ただ取得しているだけでは充分な機能は発揮されず、一貫性をもって正しく使い続けてはじめて商標の機能が発揮され、ブランドへと成長させることができるのです。そのためには、みんなの力が必要です。今回のアワードの取り組みのように、知的財産の取り組みもみんなと一緒に作りあげていきたいです。
寺村:ブランドの価値を高めるためには自分たちの価値観をぶれさせずに伝え続け、共感や「絆」を築いていくことが重要です。ブランドガイドラインが今年完成したことで明確な表現の拠り所ができました。それをどう拡張していけばより早く、より深くマネーフォワードのブランドを共感を伴って伝えられるのかをこれから探求していきます。
今回賞を受賞できて嬉しいですが、評価されたのは自分が入社する前から続く取り組みです。僕としてはこれをスタート地点と捉え、しっかりとバトンをつないでブランドの価値向上に貢献するぞと意気込んでいるところです。
セルジオ:ユーザーが接するプロダクトや情報、それぞれのポイントでの体験に一貫性を感じられるようにするというのはもちろん、さらに一歩踏み込んで「心が動く」まで質を高められるかというのが、これから数年のチャレンジになりそうです。これもマネーフォワードらしく「みんなで」実現していきたいです。
あとがき
インタビューで4人のみなさんから、ブランドやMVVCへの熱い想いを聞き、私も発信を通じてもっとマネーフォワードの価値観を伝えていきたいと胸が熱くなりました。途中、周りのメンバーを巻き込む方法として「共感を育みたいという強い想いを持ったキーパーソンの存在」が挙がりましたが、まさに私自身がみなさんの強い想いに巻き込まれた時間でした。
今回「Japan Branding Awards 2022」において「Rising Stars」を受賞しましたが、賞の受賞はあくまで通過点の一つに過ぎません。これからもブランドへの取り組みを続けることで、ユーザーを始め、世の中のみなさんとの「絆」をもっともっと強くしていきたいです。