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技術広報は「旗振り役」/マネーフォワードエンジニア組織活性化の取り組み

こんにちは!マネーフォワード広報部の田淵です。
 突然ですが、みなさん「技術広報」という仕事をご存知ですか?

マネーフォワードには、エンジニアの技術を社内外に発信する技術広報専任の心強い担当者がいます。

 インタビューで分かったのは、技術広報とは「旗振り役」だということ。「旗振り役」とは一体どういうことなのか、技術広報のluccaさんとVPoEの渋谷さんにインタビューをしてきました。

技術広報としての困難や、発信に悩む方向けのアドバイスも話してくれていますので、特に以下に当てはまる方にオススメの内容です!

  • 情報発信方法を模索している

  • 技術広報の活動に興味がある

  • チームを超えたコミュニケーションを活発にしたい

プロフィール

小西 達郎|Konishi Tatsuro(通称luccafort)@luccafort
サーバーサイドエンジニアとしてゲームのAPI開発や、ホテルの予約管理サービスの開発に従事後、2020年1月にマネーフォワードへ入社。京都開発拠点にて、サービスの開発を行う。2021年1月から技術広報としてマネーフォワードのエンジニアの組織のコミュニケーション活発化、そして発信を行う。
 
渋谷 亮|Shibuya Ryo @ryoff
新卒で株式会社アドウェイズに入社し、広告システムの開発を担当。その後、グリー株式会社に入社し、広告システムの開発や新規事業開発を経験。
2014年6月にマネーフォワード入社。『マネーフォワード クラウド請求書』、『マネーフォワード クラウド会計・確定申告』などの開発に携わり、『マネーフォワード クラウド給与』『マネーフォワード クラウドマイナンバー』など立ち上げを経験。2018年より個人事業主・法人向けサービスの開発本部長、VPoEを兼務。当初業務の一部として技術広報を行っており、Luccaさんが技術広報になるきっかけを作った。

写真左が渋谷さん、右がlucca(小西)さん

※小西さんは社内ではluccaさんと呼ばれているため、社内の雰囲気そのままでこのnote中はluccaさんと呼ばせていただきます。

発信を強化することで組織の課題を解決する。技術広報誕生の背景

ー まず初めに、マネーフォワードの技術広報について教えてください!

lucca:技術広報はエンジニア組織が抱えている組織面での課題を解決する取り組みを行っています。抱えている課題が各社違うので、定義づけが難しいのですが、マネーフォワードの技術広報では以下のようなことをしています。

  • エンジニアブログの運営、メンバーの発信をサポート

  • 開発の技術を発信する社外イベントを開催

  • エンジニア全員が集まる社内総会「Engineering All Hands」の開催

開発で培った技術のナレッジや取り組みの社内外で発信や、社内のコミュニケーションの活性化を促進しています。

ー マネーフォワードで技術広報が立ち上がる前、エンジニア組織にはどんな課題があったんですか?
 
渋谷:マネーフォワードは年々組織が大きくなり、開発チームを超えた横の繋がりが弱くなってしまっていたことが課題でした。そのため、せっかく良いナレッジを持っていてもチーム内で完結してしまい、外に伝わりづらくなってしまったんです。

元々テックエンハンスメントグループ(TEG)という、技術を軸にエンジニア組織の活性化を目指すチームがありました。TEGを中心に、マネーフォワードのバリューである「Technology Driven」を体現する事例を表彰する制度を作ったりしたのですが、短期施策ばかりで、あまり長期的な取り組みができていなかったんです。そこで、技術広報で社内外の発信を強化することで、他チームの取り組みを知ってもらい、コミュニケーションをもっと活発にしたいと思っていました
 
lucca:横の繋がりが弱いという点は渋谷さんと同じように課題に感じていました。僕は普段京都開発拠点にいるのですが、他の拠点で開発しているメンバーについては詳しく知らない状態でした。マネーフォワードは拠点ごとに開発するプロダクトが違うので、プロダクトの開発だけだったらそこまで困らないのですが、やっぱり京都のメンバーだけでは解決しない疑問は発生します。そんな時に誰に聞いたら良いか分からず困ったりして、もっとエンジニア組織内で協力し合えるようにしたいと思ってました。

ー 渋谷さんがluccaさんに技術広報をやってみないかと声をかけたのが始まりと聞きましたが、luccaさんに技術広報をお願いしたのはどうしてですか?
 
渋谷:luccaさんは社内の誰に聞いても技術広報に適任と言われる人物だと思います。コミュニケーションしやすい雰囲気作りを自然にできる人なんです。
 
社内のSlackチャンネルでも、オンラインで開催される全社の集まりでも、luccaさんがかなりの頻度でチャットに登場します。luccaさんが積極的に発言することで、他の人も発言のハードルが低くなり、luccaさん入社以前に比べてコミュニケーションが活発になりました。そういった変化を見て、luccaさんなら、当時の課題だった「横の繋がり」も復活させてくれると思ったんです
 
ー 渋谷さんから技術広報を打診されて、luccaさんはどうでしたか?
 
lucca:純粋に嬉しかったです。以前から将来のキャリアとしてCLO(Chief Learning Officer/最高人材・組織開発責任者)を目指したいと考えていました。前職時代にお世話になった方の1on1の姿勢や組織作りを見て、一緒に働く仲間の手助けをするような仕事に憧れていたんです。自分もエンジニアなので、技術で戦う姿にも憧れますが、僕は会社に所属するからには、チームを強くして、みんなが活躍できる場所を作りたいと思っていました。技術広報の仕事は組織面の課題を解決するという点で、CLOと共通することもあり、目指すキャリアにも繋がります。渋谷さんから技術広報を打診されて、二つ返事で「やります!」と答えました。

マネーフォワードの強みを推進する取り組みと失敗から得た学び

ー luccaさんが技術広報を担当して約2年となりますが、どんなことが印象に残っていますか?
 
lucca:マネーフォワードの「強み」を見つけることに一番苦労しました。もちろんマネーフォワードには良い部分がたくさんあるのですが、その中で他社にも負けない一番の強みを見つけるのは難しく、かなり悩みましたね。
 
結論、メンバーがそれぞれ「オーナーシップを持っている」というのが自分なりに出した答えです。
 
マネーフォワードではメンバーの「やりたいこと」が尊重されます。技術広報では、技術のナレッジを発表する社外のテックイベントに参加することがありますが、これも最初はメンバーがやりたいと言ってくれたことがきっかけでした。数多くやっている社外イベントのうち、ほとんどがメンバーからボトムアップであがってくるものです。
 
技術広報の活動は「オーナーシップを持っている」という強みをどう推進できるか考えて行うようにしています。先に挙げた社外のテックイベントは、実は時期的には技術広報就任後、半年位経った後にしようと思っていたんです。でもメンバーからやりたいという声をもらって、自発性を大事にしたい一心で時期を前倒しして、就任後すぐに行うことにしました。当の自分は社外イベントの運営は初めてだったので、少し焦ったのですが、共催企業の方に教えていただいてイチから急いで集客や運営のことを勉強しました。当時色々教えて助けてくださった方には本当に感謝です。
 
ー luccaさんはエンジニア総会である「Engineering All Hands」も復活させましたよね。
 
lucca:はい。組織が大きくなることで弱くなってしまっていた、横の繋がりを再度強くするために、月に一度エンジニア全員が集まってナレッジを共有する場を作りました。ここで以前TEGが作った「Technology Driven」の体現者を表彰する、LGTM賞(looks good technology driven to me)を発表しています。マネーフォワードでは以前もエンジニア総会をやっていたのですが、コロナの関係で一時期中断されていました。それを「Engineering All Hands」という名前に変えて復活させたのが2022年の3月です。

 ただ、これも少し困難がありました。多くのイベントに共通することだと思いますが、1回目、2回目、3回目と回を重ねる毎に徐々に参加率が低下したんです。元々KPIに参加率を入れていたのですが、3回目でKPIの目標を下回ってしまいました。
 
原因は一方通行な運営ということに気づきました。毎回終了時にアンケートをとっていたのですが、書いてくれたコメントに対してフィードバックをしっかり返せていなかったんです。アンケートの意見を運営に反映した部分もあったのですが、「反映しましたよ」ということも伝えられていませんでした。せっかくアンケートを書いたのに自分の意見がスルーされ続けたら、段々と参加のモチベーションも下がってしまいますよね。そこで、アンケートでもらったコメントに対し、社内ドキュメント上でフィードバックを返すようにしました。

フィードバックを返すようにしてから、参加率も少しずつ上がるようになりました

技術広報はメンバーのやりたいことを応援する「旗振り役」

ーluccaさんが技術広報になって、エンジニア組織に変化はありましたか?
 
渋谷:大きな二つの変化がありました。一つ目は、luccaさん自身が積極的に発信をすることで、社内のコミュニケーションが活発になったこと。チャットの会話や発信が増え、組織を超えた横のコミュニケーションもしやすくなりました。

二つ目は、メンバーから、より自発的なアイディアが出るようになったことです。社外イベントを実施する際も、以前は一部のメンバーでのみ共有されて盛り上がっていましたが、今はエンジニア組織全体にluccaさんが発信して、取り組みを可視化してくれています。色んな取り組みが目に触れることで、メンバーも「次はこれをやってみたい」など、自分のやりたいことを発信できるようになったんだと思います。

lucca:僕自身は読む本の種類が技術書よりビジネス書の割合が増えたという小さな変化しか感じていないかもしれないです(笑)あとは、「常にどうやったらみんなに協力してもらえるか」というのを考えるようになりましたね。コミュニケーションの活性化も発信も一人ではできません。あくまで僕は「旗振り役」ですから。僕は背中を押しただけで、やりたいことを教えてくれたり、手を動かしてくれたメンバーがいてくれたからこそ生まれた変化だと思っています。

エンジニアブログも多くのメンバーが書いてくれていますが、いつも「ブログは書くだけで100点!」と書いてくれた行為自体に感謝を伝えています。
 
ーなかなか発信が活発にならず悩んでいる方は社内外に多くいると思いますが、そういう方にアドバイスするとしたらどんなことを伝えますか?
 
lucca:社内で共有されているドキュメントなど情報があれば全て目を通すということですね!発信するまででも無いと思ってチーム内に留めている情報でも、世の中や他チームにとっては有益な情報ということはよくあります。良い発信のネタが埋もれたままにならないように、常に社内の情報にはアンテナを張っておくのをオススメします。

そして良い情報を見かけたら、「嫌だったら断ってもらっても良いので、ブログでの発信を検討お願いします!」とハードルを下げて発信のお願いをします。本当に嫌だったら発信に繋がらないかもしれないですが、自分の情報に興味を持っている人がいるということが伝わるだけでもその人のモチベーションになりますよね

常に組織課題をアップデート。技術広報の今後の挑戦

ー最後に、これから技術広報で挑戦したいことを教えてください!
 
lucca:やりたいことはいっぱいあるのですが、まずは、マネーフォワード単独でテックカンファレンスを開催したいです。これは技術広報を担当した当初に掲げた目標でもあります。当時は経験も無かったですし、達成までは遠い道のりだと思っていましたが、その後社外のイベントの経験を重ね、最近は現実的に開催について考えられるようになってきました。
 
そして、世界への発信も今後やりたいことの一つです。マネーフォワードのエンジニア組織は2024年度中に公用語を英語にします。ここ2年位で日本国内の発信力を高めることはある程度できましたが、世界的に見るとまだまだマネーフォワードの技術力は発信できていません。外にどんどん飛び出して、発信を広げていきたいです。
 
渋谷:技術広報は各社決まったアクションが無くて、その都度各社の組織課題をリアルタイムで把握して、そこに対して中長期の施策を打っていくのが重要だと思います。その点では英語化というのはマネーフォワードがこれから取り組む大きなチャレンジなので、英語でのプレゼンスを高めるのは現状に合ったチャレンジですね。今日話を聞いて、きっとluccaさんなら全部実現してくれるんだろうなと感じました。これからもよろしくお願いします!

あとがき

luccaさんはインタビュー中、成功した取り組みと同じだけ、失敗についても話してくれました。失敗も全くためらわずに話してくれる姿からは、渋谷さんが言っていた「コミュニケーションしやすい雰囲気作りを自然にできる」というluccaさんの強みを身をもって感じることができました。

今回は文量の関係で一部のみの紹介となりましたが、luccaさんが技術広報としてチャレンジしたことは数多くあり、その数多くのチャレンジからは、成功失敗関係無く「まずはやってみよう」というluccaさんの行動力も感じました。その行動力が、メンバーの自発的なアクションにも繋がっているのだと思います。
 
マネーフォワードのエンジニア組織はグローバル化を控え、これからさらに変化します。今後の発信もお楽しみに。

                                 
 
技術広報が運営する、エンジニアブログはこちら

VPoE渋谷さんについてはこちらのnoteもご覧ください


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