ライターと原稿料を書いての反応と生き残り策5/2

hideの命日を特番見て過ごしていたら遅れました、久保内でございますよ。

前日に何となく書きなぐったライターの原稿料のお話が妙に拡散して、その癖に俺には別になにもいいことが起きなかった(藤津亮太さんから500円もらったよ! ライターの500円は1時間以上の労働に匹敵することもあるんだ!感謝だよね)ので、しつこく書いてみようかと思います。俺に何かいいことが起きるまで。

で、前日のライターの原稿料のお話ですけど、急にぶった切ってる乱暴な文章ながらも一応結論らしきものは書いている気がして、それは、「ウェブ上の記事に関わる人が誰も得せずみんなで貧乏になってる」エコシステムを突っ走ってるって話。文字通りエコ。うろ覚えですけど、90年代後半の別冊宝島あたりにはすでに「ライターは物価の優等生、70年代から値段が変わらないのは鶏卵とライターの原稿料くらい」って書かれていたはずです。で、90年代後半のその時期から見て現在はどうかというと……なんと、半額からモノによっては1/3! つまりは、1970年代と比べても半額ってことで……つまり、ギャー!

そりゃあ、江口寿史の昔のマンガで理想の母親がライターで若々しく金持ちって書かれてるわ。今ライターっていうと、東京で消耗してるの?って煽ったり煽られたり、サラリーマンの副業で月30000円でもほら、何とか……っていうイメージだものね。

で、こんな感想も出ますわね。

逆切れして、世の中の中小零細企業は全部そんなもんだよ!とかいうのは簡単ですが、70年代から半額になってる中小企業はさすがにつぶれてるだろうから、ええと……馬鹿だから、カナア……?

というわけで、自分含めライターだってなんとか生き残ろう&あわよくば生活水準を上げようとしていろんな施策を試してみるよ、無い暇と、新規事業と言えるほどの投資ができない財布の中で。そのへんを、業界的な模索や盛り上がりのパターンと、個人としてステップアップするための施策の2つに分けて話してみようかなと思います。

■業界的な潮流として、夢見たオウンドメディア・バブル

昨日の話で書いたかどうか定かじゃないけど、言外には匂わせていたはずの原稿料の仕組みは、「文章・ニュースそのものを売っている企業からの依頼は基本的に安い」ということ。え? 専門で扱ってるんだから高いんじゃないの? いいえ、一部のカタいビジネス系サイトを除けば(PVで商売していないため)、PVあたり収益で考えると、文章では黒字になりえないため安くなる傾向があります。

つまり、本業が他にあって、その広報や、ブランディングのために支払われる原稿料は比較的高い。あと、ホームページや新規のサービスの紹介ページなどは、サービスのキモになるものなので、こちらも高いです。しかしこの職種は、従来だと広告代理店・コピーライターの領分で、一般ライターとは実はちょっと違う。自分はコピーライティングもやっていますし、デジタル系の商品をわかりやすく紹介できるとクライアントから好評をいただいております(急に売り込み)。

この本業が出版以外の会社が、後に続かないスポット出稿で広告を打つだけだと費用対効果の面でも、ブランディングの面でもいい手段とは言えないのでは? ファンとかも欲しいし……ということでブームになったのがオウンド・メディアブーム。自社媒体を持とうってことですわね。そうすると、広告代理店のコピーライターだけでは定期更新を賄えず、というか、長文でニュースを書くというところではライターのほうが得意なので、お声がよくかかるように。こちらはグロスで月何本単位で発注が進む上に、WEB媒体より原稿料が高めということもあって、ライターは争奪戦を繰り広げておりました。

しかし、成功を収めたオウンドメディアの数はたぶんそんなに多くなく、ブームから4-5年たった今、事業方針の変換でバタバタとオウンドメディアが倒れてさあ大変。オウンドメディアで食いぶちを稼いで、WEB媒体で比較的自由に書くということも難しくなってきたりと、ライターの貧困度は1段階シリアスになっております。

なぜ失敗したオウンドメディアが多かったかとというと、今自分もそこで本名このままの仕事でやらしてもらってる媒体が数個あるのでアレではございますが、一般的にはこんな感じ。

1.流行ってたからやってみたけど、そもそもBtoBが事業の柱で一般ユーザー集めても収益につながらなかった(流行ってるからやってみたパターン)

2.出稿バンバンするより確かに手元にコンテンツが残る分安いかもしれないが、固定費としてずっと宣伝費を圧迫する上に、ネット出稿と違い効果測定がバシッと出ないからだんだん疑問に思ってきた(それに外注にしても写真の手配やらなんやら社内報かかる程度には内部でも手数がかかってめんどくさいことに気づくパターン)

3.ニュースやオリジナルコンテンツを作ろうとしても、自社製品やサービスに絡めるとバリエーションが出ない。ブランディングのためなら自社製品とかを無視でライフスタイルで押せなくもないが、他社製品はさすがに無理。比較記事? ダメダメダメ! じゃあ、読まれる記事企画ってなによパターン

4.荘苑とか花椿のような圧倒的なクリエーションバリューがあれば、業界内でのポジションも……ってなんで見積もりのケタが2つ増えるの? 社内報くらいって最初言ってたでしょ! 納品されたものも社内報みたいだけど、これ! パターン

何が一般的にはこんな感じ、だ。気分のままに書いてんじゃねぇよ……。

ってことで、これらの要因がマイルドに絡み合い、かなりやる気のあるところや、事業範囲がオウンドメディア向けなところ、もうテレビCM打つ規模の大企業でインハウスの代理店が稼働しているところなどは生き残り、ベンチャーIT系企業の「あわよくばメディア事業にも育てたい」系、編集1人でメディア必死に作れ系や、代理店がやる気なくなってきて我に返った系メディアなどがどんどん店じまいして悲鳴が今も耳を澄ますと聞こえてきますよ……ほら……。

ということで、PV換算の冷たい資本主義方程式では、絶対にペイしないという業を背負っている商品であるところの「文章」。これに新たな商品価値やブランディングを乗せることで、企業というスポンサーを得るオウンドメディアは、一時期かなりブームになったものの、今はなかなか厳しい情勢で、業界全体が盛り上がるほどのボリュームには今のところなりそうにないですねぇ……。あ、弊社は実績ございますのでお問い合わせお待ちしておりますね? 

で、多分この辺をうまくやってるのがバーグハンバーグバーグのあたりだったり。うまくやってるか付き合いがないので知りませんが、LIGとかもそうですよね。ライターというよりウェブ制作会社が主体でこちらに舵切ることが多い。コピーライター領域と被るためか、PR記事であることの葛藤の無さは特徴としてあげられるかも。大学生の憧れるライター像っていまこの辺ですよね。原宿君、遠くに行ってしもうて……あんなにやせててかわいかったのに……

また40分も書いてしまったので今日はこの辺で。もう、このnoteなにをしようとしていたのかすでに分からないことになっている。

ああそうだ。久保内のほうにこんなこと書けとか、この辺どうなってるか知ってる?なんかありましたらこちらから。お仕事の依頼でもかわいやしねぇよ?


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