孫子の兵法を卓球にフル活用しよう! ⑬「火攻」篇 ~相手を弱らせろ~【後編】 (終)
⑬「火攻」篇 ~相手を弱らせろ~【前編】では、
「相手の力を奪え!」
「5種類の攻め方を知れ!」
といったことが語られています。
今回は火攻篇の後編です。
今回が、卓球のための孫子の兵法の締めくくりです。
最後に、正しい攻め方を知っておきましょう!
ラリー戦を好むな!
「火を以て攻を佐くる者は明なり。
水を以て攻を佐くる者は強なり。
水は以て絶つ可きも、以て奪う可からず。」
火を攻撃の助けとするのは、明晰な頭脳である。
水を攻撃の助けとするのは、強大な兵力である。
水攻めは敵を分断することはできるが、敵の戦力を奪い去ることはできない。
火攻めは、相手をよく観察した上で行います。
相手の意識や武器や弱点を見極め、適切な作戦を組み立てる。
めちゃくちゃ頭を使います。
頭を使うことで初めて、弱点を突き、相手を弱体化させることができます。
水攻めは、相手を分断するだけの作戦であり、長期戦になります。
卓球で言うなら、ラリー戦です。
ラリー戦は、お互いに意識が全面に分散します。
もはや狙い打ちも難しくなります。
つまり、ラリーが続けば続くほど、相手を弱体化させることが難しくなります。
ラリー戦は、実力がそのままぶつかるのです。
つまりラリー戦は、
「弱い方はやってはいけない作戦」
となります。
ラリー戦は、強い方の最終手段でしかありません。
試みるべきは火攻めです。
頭を使うことを、怠ってはいけないのです。
作戦の目的を忘れるな!
「戦えば勝ち攻むれば取るも、其の功を修めざる者は凶なり。」
敵を攻め破り、土地をを占領したとしても、それを戦争目的達成のために活かせないのは、不吉な兆候である。
作戦は、得点を取ることが目的です。
それがいつの間にか、作戦を取ること自体が目的になってしまったりします。
相手の弱点を突くことだけに集中してしまってはいけません。
相手の武器を封じることだけに集中してしまってはいけません。
得点に結びつけるところまで考えないと、作戦の意味が無いのです。
「利に非ざれば動かず」
利益にならない軍事行動は起こさない。
相手の弱点がバックハンドだと突き止めたとします。
しかし、それでバック攻めをしてみたところ、
「入れに来たようなバックハンドの遅いボールが何かイヤだ!」
と感じるかもしれません。
むしろフォアハンドで強く打ってもらった方が、合わせやすいかもしれません。
この場合、「弱点を突く」という作戦は、自分にとって最善ではないわけです。
「得点」という本来の目的を忘れ、弱点を突くことで頭がいっぱいになってしまうと、
「弱点を突いているのに、気がつけば負けている」
という、摩訶不思議な現象に陥ってしまいます。
「この作戦は、果たして得点に結びつけられる作戦なのだろうか。」
これをよく考え、利益になる作戦を取っていきましょう。
「得るに非ざれば用いず」
勝算がなければ兵を動かさない。
相手の弱点がバックハンドだと見抜きました。
相手は繋ぐことしかできません。
次で決められます。
このとき、勝負を焦ってはいけません。
繋ぎのボールしか来ないことは分かっていても、コースまで絞れていなければ、狙い打ちをすることはできません。
・コースが予測できていない
・予測と違うコースに来た
というときは、さすがに繋ぐべきです。
「弱点を突いたんだから、絶対に決めてやるんだ!」
と勝負を急ぐと、必ず無理が生じます。
予測が不十分なときの攻撃は、自分の身を滅ぼすことになります。
「繋ぎのボールがこのコースに来る!」
という勝算があって、初めて動くことができるのです。
「危うきに非ざれば戦わず。」
危険な状況でなければ戦闘をしない。
相手の弱点がバックハンドだと見抜きました。
強いボールは来ません。
次で決められます。
このとき、必ずしも自分から決めに行く必要はありません。
バック対バックで相手がミスをしてくれるなら、バック対バックをやっておけば良いんです。
バック対バックをやっておけば勝手に点が入るのに、自分から仕留めに行く必要はありません。
強打は、ミスをするリスクが必ずつきまといます。
強打が必要ないなら、しない方が良いのです。
一方、相手のバックハンドは弱いが、ミスはしないのであれば、自分から決めに行く必要があります。
また、相手のバックハンドのミスが減ってきたならば、強打を見せることによってプレッシャーをかける必要があります。
このように、武力行使が必要な場面と、そうではない場面があります。
必要なときだけ攻撃をすることで、リスクを最小限に抑えましょう。
目的に反する感情に従うな!
「将は慍りを以て戦いを致す可からず。」
将軍は、怒りに任せて戦闘に突入してはならない。
「亡国は以て復た存す可からず、死者は以て復た生く可からず。」
亡んだ国は立て直すことができず、死んだ者を生き返らせることもできない。
攻撃は、
「得点する」
という目的のために行います。
感情に従って、目的に反する攻撃をしてはいけません。
「上手く行かなくてイライラするから、攻撃をする。」
「相手が攻撃をしてきて悔しいから、自分も攻撃する。」
感情が由来の攻撃は、勝算がありません。
必ず無理が生じ、必ずミスが増えます。
その先に待っているのは、「敗北」のみです。
怒りの感情はいずれ消え、穏やかな心境に戻ることができます。
しかし、敗北の事実を消すことはできません。
イライラや復讐心は、自力で抑え、消すことができます。
にも関わらず、感情に任せてミスを積み重ねると、取り返しのつかない事態になるのです。
強い選手は、そのことをよく分かっています。
なので、むやみに攻撃をしないよう、努めて冷静に、相手をよく見て、考えるのです。
終
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