孫子の兵法を卓球にフル活用しよう! ⑬「火攻」篇 ~相手を弱らせろ~【前編】
火攻篇では、
「相手の力を奪え!」
「攻撃は頭を使え!」
といったことが語られています。
卓球は、相手に実力を発揮させないことが重要です。
どのように相手の力を奪うのか、知っておきましょう!
敵の力を奪え!
「凡そ火攻に五有り。」
火攻めには五種類ある。
火攻めは、相手の戦力を落とすための作戦です。
「自分」がどう攻めるか。
「自分」がどうミスを減らすか。
これだけでは足りません。
「相手」の力をどう封じるか。
ここを考えることが必要です。
ということで、相手の戦力を落とす5つの方法を覚えておきましょう。
「一に曰く火人」
第一に、兵営に火を放ち兵士を焼く火人
まずは、相手自身を弱体化させる方法です。
これは単純に「弱点を突く」ということになります。
・フォアかバックか
・上回転か下回転か
・攻撃か守備か
・順横か逆横か
このあたりを見ておくと良いでしょう。
そして、ひとつでも弱点を見つけたら、徹底的にそこを焼き尽くします。
「二に曰く火積」
第二に、貯蔵されている物資・兵糧を焼く火積
続いて、相手が持っている作戦を封じます。
相手がバックハンドで勝負したいなら、バック側を避ける。
相手が下回転打ちをやりたがっているなら、ツッツキをしない。
相手がブロックで勝負したいなら、むやみに攻撃しない。
相手のやりたいことを読み取り、それをさせないことで、相手の作戦を失くしてしまいましょう。
「三に曰く火輜」
第三に、輸送中の輜重部隊を焼く火輜
続いて、相手のパターンを、前段階で封じます。
相手のパターンが、ループドライブからの強打の場合、ループドライブの方を封じます。
ループドライブをカウンターできるのであれば、強打の方を封じられます。
ブロックでコースを突けるのであれば、強打の方を封じられます。
しかし、それが難しいこともあります。
ブロックで入れるのが精一杯なのであれば、ループドライブをされた時点でもう終わりです。
こういうときは、ループドライブの方を封じましょう。
下回転の展開にしないことで、ループドライブを防げば、次の強打も防ぐことができます。
相手のパターンが、バックドライブからの回り込みフォアドライブなら、フォア攻めをすることでバックドライブを封じます。
相手のパターンが、フォア側にフリックからのバック側にブロックなら、ロングサーブを出してフリックを封じます。
「ひとつ前を封じる」
というやり方があることを、覚えておきましょう。
「四に曰く火庫」
第四に、軍需品を保管する倉庫を焼く火庫
続いて、相手の武器で自爆を誘います。
相手の武器がバックハンドなら、基本的にはフォア攻めをします。
そこで、たまに敢えてバック側に打ち、相手の武器を狙います。
散々フォア攻めをしている中でバック側に打つので、相手は対応が遅れます。
にも関わらず相手は、
「おっ!バックに来た!打たなきゃ!」
と、このチャンスは逃すまいとばかりに攻めようとします。
しかし実際は、タイミングが遅れていますし、焦って力も入るので、ミスをしやすくなります。
こうして、相手は自分の武器で自爆をします。
これは、相手の武器を使わせないよりも、相手のショックが大きくなります。
上手く行ったときの旨味が大きい作戦です。
「五に曰く火隧」
第五に、道や橋などを焼く火隧
続いて、相手が使いたいコースを焼きます。
相手がフォアクロスでラリーをしたがっているなら、フォアクロスには打たないようにします。
ミドルやフォアストレートを使って、フォアクロスを封じてしまいましょう。
また、相手が使わせたいコースも焼きます。
相手がフォア前に巻き込みサーブを出して、クロスで待っているなら、ストレートに打ちます。
このように、相手にとって都合の良いコースを見極め、そこを徹底的に外すようにしましょう。
「発するも其の兵静かなれば、待ちて攻むること勿く、其の火央を極めて、従う可くんば而ち之に従い、従う可からざれば而ち之を止む。」
出火したのに敵の兵が平静であれば、しばらく待ってすぐに攻めたりせず、火の拡がり具合を見極めて、その火勢に乗じて攻撃できそうなら攻撃し、火勢に乗ずることができなければ攻撃は中止する。
以上が5種類の火攻めの方法です。
ここで重要なのは、火攻めを実行することだけではありません。
実行した結果、相手はどう対応してくるのか。
ここもしっかり考える必要があります。
第一の「火人」により、相手の弱点であるフォア攻めをしています。
このとき、相手がフォアドライブを打ってくるのであれば、ブロックの準備をします。
相手の弱点とはいえ、フォアドライブが入ってくることもあります。
これをしっかりブロックできるかどうかで、相手の自信や焦り具合が大きく変わってきます。
相手が入れるので精一杯ならば、攻撃の準備をします。
しっかり狙い打ちをすることで、
「入れてるだけじゃダメだ」
と思わせることができ、更なるミスを誘えます。
このように、相手の対応によって、こちらの次の対応も変わってきます。
第二の「火積」により、相手の得意なバックハンドを封じます。
このとき、まずはフォア攻めが思いつきます。
しかし、それが最善とは限りません。
フォア攻めはやられ慣れていて、対策練習もやりまくっているかもしれません。
なので、もしかしたらバックミドルの方が効くかもしれません。
いろいろやってみて、相手が一番困っているものを採用しましょう。
第三の「火輜」により、相手のループドライブを封じます。
このとき、バック側にツッツキをしたらどうでしょう。
バックドライブでミスをしてくれるかもしれません。
回り込みのループドライブはミスが増えるかもしれません。
それならば、バック側にツッツくのは正解でしょう。
しかし、回り込みのループドライブが上手いかもしれません。
また、相手もツッツキで返してきて、フォア側に来るのをひたすら待っているかもしれません。
こうなると、バック側のツッツキは有効ではありません。
この場合、サーブレシーブでとにかく上回転の展開にしましょう。
第四の「火庫」により、フォア攻めをしている中、相手の武器であるバックハンドを一度やらせてみます。
これが、しっかり打たれてしまうこともあります。
散々フォアを意識させて、急にバック側に行っても、体の反応で自然にバックハンドが打ててしまう。
「武器」と言うくらいですから、この可能性も十分にあります。
この場合、作戦は失敗なので、もうこの作戦はやらない方が良いでしょう。
第五の「火隧」により、相手のフォア前の巻き込みサーブを、ストレートに返します。
このとき、相手はそれでもクロスで待ち続けるのであれば、ストレートに返し続けます。
しかし、相手が徐々にストレートを待つようになることもあります。
ほとんどはそうなると思います。
その場合は、今度はストレートを焼いて、クロスかミドルを使います。
クロスを使えば、相手はすぐにまたクロスを待つようになります。
そうなれば、またクロスを焼いて、ストレートに行きましょう。
以上のように、火攻めの後の対応が非常であり、相手の出方によってこちらの対応の仕方も変わります。
火攻めによって相手はどういう対応を見せるのか、よく観察しましょう。
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