好調や不調に原因はありません。たまたまです。│ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』を卓球にフル活用しよう!⑧
私たちは原因追究思考が大好きなので、実際にまったくでたらめに起きたことのランダム性を評価するときに、重大なミスを犯しやすい。
【第10章 少数の法則】
〜統計に関する直感を疑え〜
サイコロを振って、1が5回連続で出ることはなかなかありません。
でも、サイコロを毎日100回振り続けたら、きっと何日目かで、1が5回連続で出るでしょう。
このとき、1が5回連続で出た理由は「たまたま」です。
「俺の1を出す技術が上がったんだ!」
なんて、まぁ的外れなわけです。
このように、統計的には、確率が高くないことが「たまたま」何回か連続で起こることは、全然あり得ます。
これは、卓球も同じです。
しかし人間は、何かと理由をつけてしまいます。
ドライブが83%の確率で入る人が、5回連続でドライブをミスしたら、どう思うでしょう。
「ヤバい!スランプだ!」
と思うでしょう。
しかし、この5連続のドライブミスは、サイコロで1が5回連続で出るのと全く同じです。
サイコロがたまたまなのと同様に、ドライブミスもたまたまです。
にも関わらず、
「ヤバい!スランプだ!」
と思い込み、意識して力んだり、フォームを変えたりして、どんどんドライブが入らなくなります。
これが、スランプの始まりです。
スランプは、「スランプだ」と思い込むことから始まるのです。
これが、100回連続なら、統計的にほとんどあり得ないので、さすがに疑うべきです。
サイコロで1が100回連続で出たら、
「重心がズレてるのかな?」
と疑うべきです。
ドライブを100回連続でミスしたら、
「フォームが狂ってるのかな?」
と疑うべきです。
異変があまりに長く続くなら、そこには疑うべき原因があるでしょう。
しかし、たった数回のミスで疑ってしまうのが人間の性です。
結論を急ぎ、「スランプだ」と焦り、意識してしまう人ほど、自らスランプの沼にハマっていってしまいます。
「たまたま」である可能性があるので、もう少しの間、冷静になってください。
⑦試合では、出だしでいきなり本気を出すべきだということが分かりました。
⑨ドライブが入らないときは、威力を落としましょう。いえ、もっと落としましょう。
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