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ドライブが入らないときは、威力を落としましょう。いえ、もっと落としましょう。│ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』を卓球にフル活用しよう!⑨

アンカーとなる数字を起点として、それが多すぎるか少なすぎるかを評価し妥当と思う数字に徐々に近づけていく。頭の中で、アンカーを出発点に見積もり数字を動かすわけだ。しかし大方の人は、これ以上動かしてよいことに確信が持てなくなる時点で動かすのをやめるので、だいたいは調整の打ち止めが早すぎる結果となる。

【第11章 アンカー】
〜数字による暗示〜

問題です。

【問1】吉田松陰が亡くなったのは、150歳より上でしょうか、下でしょうか。

【問2】吉田松陰は、何歳で亡くなったでしょうか。



こう出題されたとき、人は、150歳を基準にして考えます。

150歳はあり得ない。

100歳もさすがに無さそう。

80歳はどうだろう。

60歳はどうだろう。

そして、有り得そうだと思った年齢を答えとします。

つまり、高めの年齢を答えやすくなります。



これがもし、

【問1】吉田松陰が亡くなったのは、5歳より上でしょうか、下でしょうか。

【問2】吉田松陰は、何歳で亡くなったでしょうか。



と出題すると、人は5歳を基準にして考えます。

5歳はさすがに無いだろう。

20歳も若すぎるか。

30歳はどうだろう。

40歳はどうだろう。

そして、有り得そうだと思った年齢を答えとします。

つまり、低めの年齢を答えやすくなります。



このように、基準に引っ張られて、正解にたどり着けないことは、卓球にもあります。



試合で、ドライブが力み過ぎて入らないとき、

「もう少し威力を落として打とう。」

と思います。



しかし、最初の力んだドライブを基準に考えてしまいます。

ちょっとだけ威力を落として打ってみますが、まだ強すぎます。

更にもうちょっと威力を落として打ってみますが、まだ強すぎます。

こうして、本当に落とすべき威力になかなかたどり着けません。

威力を落とすべきなのは分かっていても、基準に縛られてなかなか威力を落とせないのです。



ここから抜け出すには、基準をぶっ壊すしかありません。

最初の力んだドライブは忘れ、反対の弱いボールをイメージします。



まずはフォア打ちをイメージする。

もうちょっと強く打っても大丈夫か。

更にもうちょっと強く打っても大丈夫か。



と、フォア打ちを基準に考えれば、威力を落とすことができます。



このように、基準に縛られて調整が上手くいかないときは、むしろ真逆の方に基準を作ることで脱却しましょう。



ちなみに、吉田松陰は29歳で亡くなりました。


⑧好調や不調に原因はありません。たまたまです。
⑩苦手な技術にも良いところはひとつくらいあるはずです。探せ!

ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』を卓球にフル活用しよう!

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