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道しるべ(2)

【49番目の私】
 私が「とある製造業(当時一部上場企業)」に入社したのは1975年、オイルショックの翌年です。オイルショックと聞いても今の若い人はピンと来ないかも知れません 笑。
 中東戦争に起因する石油危機で日本では20%を越える物価上昇、市中にトイレットペーパーや洗剤がなくなる騒ぎまでありました。日本経済、金融の構造変化点にもなった年でもありました。
 現在のコロナ禍、ウクライナ危機の状況と似ていて、当然企業業績は落ち込み、74年夏に内定をもらった私たちは、会社に「無理して入社しなくていいよ」とばかり暗に内定辞退を仄めかされた時代でもありました。
 紆余曲折を経て、事務系50名が入社しましたが、私は新人でいきなりの子会社出向という衝撃の配属デビューとなりました。子会社出向7名、真偽の程はわかりませんが、成績の悪い順に遠隔地へとの噂、私の赴任地は2番目に遠かったので入社成績は事務系で49番目?これが企業人としての出発点となりました。
 それから29年、執行役員に就任したのが2004年、同期の就任は3名、49番目の男は3番以内に這い上がったのでした。2011年東日本震災の年に取締役副社長に就任しました。蛇足ですがこの時、専務に就任したのは私の同期、事務系50番目の男でした。
 企業での昇格のみが人生でもありません。が、しかし49番目の男が這い上がれたのか? 人生は面白いと思います。
 経験値として入社時とか若い時の評価ほど当てにならないものはありません。この時点の評価とは学生時代の成績、あるいは入社面接時の印象に過ぎないと言うことです。「過去の実績とか印象」での評価なのです。もちろんこの時点の評価が良いに越した事はありません。でもその評価は「可能性であり、受ける印象」で期待値にしか過ぎないなのです。企業人としては、自分の持てる可能性を「磨き」、印象ではなく「実績」をあげることが重要です。「自分を磨き、実績を作る」、これができれば誰でも企業の中で重要なポジションを捉えることは可能なのです。
 もし現時点で新入社員で同期との差に悩んでいる人がいれば「49番目」を思いだして下さい。若い段階での過去の評価とか印象はあまり関係なく、「これからの自分をどう作り込んでいくのかが大事」と声をかけたいと思います。
   自分を磨き、実績をあげるために常に私が気にかけていた事があります。このことは次回で。
※写真は出張時のイスラエル国エルサレムの全景、正面が「嘆きの壁」となります。キリスト、イスラム、ユダヤ教の聖地、なかなか日本人は理解できないのですが、私の好奇心をそそる地でした。

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