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[SS]居場所

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#小説

僕はまだ眠っていたい。悪魔に話しかけられ始めた時も、心の中で抵抗を見せる気配はない。悪魔はただ自己都合で身勝手で我儘に主だと振る舞い、僕は人間の要求にも答えたくはなく、悪魔と人間の違いを理解する事は出来なかった。僕の日常に明るい兆しは見えない中、見知らぬ意識に支配されつつあった。

君の瞳を見つめたくて、貴方が僕の事を見てくれていると確認したいからだ。君が他の男性と話しているだけで嫉妬した。貴方の手を握って、君を僕の側に引き寄せたい。貴方が笑うと、いつも僕の事を揶揄っていると思えた。僕は君について適当だと振る舞いながら、貴方がいつも頭の中にいると感じていた。

人々が笑う中に幸せの風が起こる、明日君と話せる事がどんなに楽しみなのか伝わればいいな。人生を演じる事が楽しく、とても神秘的な事で、世界が争いに満ちているとしても、今日が来て、明日生きれる事に感謝したい。病んでいる自分の世界が少しでも笑いに包まれるように、毎日を真剣に取り組もうよ。

銀河系の遙かなたで惑星の衝突が起こる、余りの大きな衝撃に次元が歪む。小さな星々が奏でるセレナーデが何万光年離れた地球に届く時、僕たちは地上で幸せな朝を迎えている。大好きな人が今日も目の前にいて、僕におはようと挨拶してくれる。僕は心持ちにキュッと力を入れる、次元の歪みを整える為に。

貴方の顔を何度も打った、「私の事ちゃんと観てよ」とその場に崩れ落ちた。貴方は泣いていた、「私は許さないよ」と呟く。窓の外が明らむ、もう夜明けだ。私の気持ちは暗く沈んだままだった。貴方が仕事に行く準備を始める、私は「行かせないよ」と貴方の首を絞めた。貴方は私の希望だから強く握った。

新刊ではヨーロッパで暮らす人々と一緒に生活して現在の心と言葉を見つけた、文頭で妻と息子との対話を紹介している。妻はコロナ以前より他人との結び付きが強くなっている今、僕の言葉は恋物語を特別なものにする。小説は言葉が生まれる前の世界にある男と女の悲恋、男が女に愛を伝えるのにどうする?

僕は3人が一緒になった時に心からおめでとうと伝えた、MさんはKHさんとあーそうと言う感じで僕の言葉を聞いていた、僕はこの力関係を最後まで崩す事は出来なかった。大人の関係は僕の日常が作り出している物で2人にこれ以上何を伝えてもダメだなと感じていた。僕のハッピーエンドは作れなかった。

僕はMさん、KHさんから相手にされていない。特にMさんとは何十年の付き合いがあるのに勘違いしないでと一蹴されておしまいでした。僕の中のどんな所に問題があるのか?考えた。人間関係でいつも酷い目に会うのはどうしてか?心の循環に2人の結婚を祝えない性格が隠れている、どうしようもない人。

相手は同僚のKHさんだった、Mさんよりひと回り若かった。僕はKHさんはとても素敵な人で、2人が並んで仕事をする時はとてもお似合いだなと感じていた。僕はMさんを幸せに出来るの?と聞くと口を濁すので馬鹿にしてるの?と尋ねた。個人的な事は話せないと言うので幸せにする気はないなと想った。

僕はカッときて、気を持たせる様な付き合い方をするの?と尋ねた。Mさんは仕事だから優しくするだけよ、勘違いしないでと話す。僕は正直になったのはどうしてと聞くと、Mさんは仕事を辞めると言う。自由になるなら一度デートしてよと聞くとMさんはやっと入籍したのと話した。子供出来て良かったね。

Mさんは大丈夫と話すので気のせいかと思った。KdさんがMさん妊娠してるんだよと言う、僕はどう言う事?と尋ねるとでき入籍と話す。Mさんが小説の感想を伝えにきたので僕はMさんの事好きだったんですけど分かりませんでした?と尋ねた。Mさんは患者さんと付き合えない、それにタイプじゃないよ。

朝受診が終わって廊下に出るとMさんが待合室の横を身体を斜めに傾けながら歩いていた、いつも姿勢が良くきびきび歩いているのでどうしたのだろうと思った。僕はMさんに声を掛ける、明けましておめでとうございます、Mさんはもう2月ですね、僕は今年初めて会いますね、身体の調子おかしいんですか?

僕には紹介で結婚した妻と2人の子供がいます。妻は令嬢で高校生の頃から知っていました。僕は助教の友人と不倫関係にあります。妻も知っていて本気にならないでくださいねと釘を刺されます。妻と双子の子供とモールに行きました。偶然彼女と遭遇して2人は目を合わせてにこっと挨拶を交わしています。

学生の頃、友人と父の仕事を手伝った。女友達とは今でも連絡を取り合います、高校の頃経済学の論文で文部科学省から表彰されました。才能があるので一緒に仕事がしたいと思い両親に相談すると仕事を紹介してくれました。彼女は現役で東大に合格、ジャーナリストになりました。今は助教を務めています。