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感じいい暮らしを実現する「無印良品」

「無印良品は仕組みが9割」という本を読みまして、仕組みづくりの重要性とそれを継続して実践している無印良品のすごさを実感しました。

そこで、今回は無印良品について、#マーケテイングトレースをしてみましてた。

■無印良品のサービス概要

「無印良品」1980年12月、株式会社西友のプライベートブランドとして40品目でデビューしました。
1989年には株式会社良品計画として、西友から独立し、「無印良品」の企画開発・製造から流通・販売までを行う製造小売業として事業を展開しています。

現在では約7,000品目を展開するブランドへと成長しており、国内では約460店舗、海外では中国からヨーロッパ、アメリカ、東南アジアなど幅広い地域に517店舗も店を構えています。

みなさんも無印良品のお店を訪れて、無印らしさを感じて「無印っていいな」と思ったことがあるのではないでしょうか。
ここで、無印らしさって何だろ・・・と疑問に思う人もいますよね。

今日は、無印の強みである無印らしさを明らかにしながら、マーケテイングトレースをしていきたいと思います。


無印良品のコンセプトは、「実質本位の商品をより安く」「感じ良いくらしの実現」「『これがいい』ではなく『これでいい』」「アンチゴージャス、アンチチープ」などで、多くの無印らしさを表すコンセプトがあります。

実際は、どんな事業をしているのか、簡単に説明しますと、

暮らしの中でお客様に理性的な満足感と、簡素の中にある美意識や豊かさを提供する

というのが主な事業内容で、簡単に言いますと、安くシンプルで自然な良さを提供しています。ただ商品を販売しているだけではないのです。

「無印良品」は「シンプルで自然な」感じいい暮らしを実現したい、と思っている人の、一般的な商品に不要な無駄や不適切な価格感を感じる、という課題に対して、「シンプルで自然な」をもつ無印らしい商品を提供することで解決しています。

ー無印良品の営業収益

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無印良品は毎年、店舗数を増やすのに合わせて、営業収益の成長を重ねており、2019年2月には4000憶円を突破しました。

ー無印良品の多角化戦略

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無印良品は、感じいい暮らしを実現するために様々な分野で商品を販売しています。売り上げの割合が高い、衣類や雑貨、食料品など家の暮らしに近い領域から、家具やオフィス用品、ホテルなど家から外へ暮らしが広がっていく領域まで幅広く商品を販売しています。

■PEST分析から見る環境分析

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<政治面>

・消費税増税

「駆け込み需要」や「リバウンド」など一時的に消費に影響がありました。

<経済面>

・【小売市場の販売額】1996年度の約148兆円をピークに緩やかな減少傾向
・自然災害や米中貿易摩擦の激化の影響で、輸出や個人消費の伸びが抑制
・人件費の高騰、輸入原材料価格・物流費の高騰

日本国内では深刻な人手不足に陥っており、人件費が高騰し、円安の影響によって、海外工場で働く従業員の人件費も高騰しています。さらに海外から輸入している材料は、円安の影響によって価格が上昇し、それを輸送する際の燃料価格も石油や天然ガスの供給不足により上昇しています。国内においても、運送業者が人材不足によりサービス料金が値上がりが起き、コストが増えていく傾向にあります。

<社会面>

・日本の総人口は2007年から減少傾向
・少子高齢化が進行

⇒小売市場の縮小傾向や人件費高騰へ影響。

・「訪日外国人3,000万人プログラム」

⇒観光庁では、2011年6月に訪日外国人旅行者数を将来的に3,000万人とすることを目標に設定し、2020年に2,000万人の達成を目指しています。小売市場は縮小していますが、訪日外国人による消費がそれを補う可能性は十分あり得ます。(2020年3月現在の情報で、2019年の一年間で訪日外国人数は3,200万人弱でした!)

・環境を意識した消費行動への変化

⇒近年、大雨や津波、暖冬など様々な自然災害や環境問題を目の当たりにし、省資源・省エネルギーを意識した消費行動が着実に主流になっています。

・「こだわり志向」増加へ

インテリアに対する趣味・嗜好の強い「高くてもこだわり志向」と、低
価格を重視する「価格志向」との二極化傾向から、「こだわり志向」が増加してきています。

<技術面>

・自社アプリやモバイルオーダー、QR決済などにより
・ECと物流の発展

⇒技術の発展により消費スタイルが変化、ECと物流の発展によりリアルではなくネットでの消費が増加。

PEST分析の考察

製造から販売の面ではコスト増加の傾向があり、小売市場は厳しい状況にありますが、社会的な動向として「こだわり志向」「環境を配慮した消費」などが無印良品にマッチしており、いい方向に進んでいると考えられます。

■3C分析によるまとめ

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<顧客>

「シンプルで自然な」感じいい暮らしを実現したいと思っている人がターゲット

⇒省資源、低価格、シンプル、アノニマス(匿名性)、自然志向などを商品選択の基準にするという特徴を持ちます。

<自社>

①シンプルで自然な生活用品のブランド
②幅広い品ぞろえ、無印良品にマッチする人が買う商品を増やす戦略
③社員全員で「無印良品」を作りあげるための仕組み

⇒商品分野を絞らず、ライフスタイルに関連する品ぞろえを幅広く実現していることによって、MUJIの世界観を確立しており、MUJIの世界観にマッチする人をさらにMUJIの世界に引き入れていく戦略をとっています。

(仕組みについては、4Pで詳しくやります)


<競合>
・製造小売業として成功しているブランドは、ユニクロ・GUやニトリ、フランフランなど

⇒ファーストリテイリングのユニクロは衣料品、ニトリは生活雑貨と家具などのように、特定の専門分野に特化しています。


【3Cからの考察】

競合とは、「無印良品」に惹かれてはいるけどのめり込む程ではないぐらいの客層では戦うことになると思われますが、「無印良品」の世界観にマッチしていてのめり込んでいるような客層では「無印良品」に軍配が上がると思われます。

無印良品は実際に自社のブランドが追及するものにマッチする人に対して、様々な商品を提供する戦略であり、それが他社とは異なる強みを生み出しています。(4Pにて詳しくやります)

■STP分析を使ったポジションマップ

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<STP分析のポイント>

シンプルで自然な感じ(簡素、シンプル、木のぬくもりなど)が伝わってくるブランドはいくらか存在していますが、くらし全般で商品を提供しているブランドは「無印良品」以外にほとんどなく、ポジショニングに成功していると言えます。

一般的なブランドに関するセオリーでも、商品カテゴリーを広げ過ぎるとブランドイメージが希薄化していくリスクを伴うと言われているため、専門分野に特化している会社が多いです。つまり、特化しないという戦略は、非合理な戦略であると考えられています。
ここから、MUJIと真っ向から同じ品ぞろえで対抗しているブランドは存在しないと言えますね。

■4P分析

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<Product>

・過剰な装飾や加工を廃した「簡潔で自然なデザイン」の商品

「無印良品」には、ブランドではないけれど良い品という意味があります。
良い品を販売するために、「素材の選択」「工程の見直し」「包装の簡略化」の3つの観点で、生活にとって必要かつ本質だけの商品開発に徹底しています。

これによって生み出される、圧倒的な商品力(品質×価格×意味)が「無印良品」の売りポイントですね。

SNSで話題となった「肩の負担を軽くするリュックサック」シリーズや収納用品である「やわらかポリエチレン」シリーズ、スキンケア用品の「敏感肌シリーズ」、「バターチキンカレー」などのレトルトカレーや、新規に発売した「発酵ぬかどこ」など人気の商品が多数あります。

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安いのに機能性抜群、シンプルでそれがオシャレに見える、といった特徴がありますね。

無印良品では、「自分にマーケティング」というスタンスに立って商品開発しており、自分が納得する商品を販売するようにしているため、これだけ人気の商品が作り出せるのです。

<Promotion>

【「無印良品」にのめり込む人を増やすための戦略】
①SNSを通して「理念」の発信
②無印良品の世界観を店舗で再現
③コミュニティサイト「IDEA PARK」で商品に関する改善提案や新商品のアイデアを顧客から募集し、関係性の構築
④MUJI passportを活用して顧客分析し、関係性の確認

普通の会社であれば、その商品を1人でなく20人に、そして50人に売れるように販促をかけていきます。しかし、無印良品では、その1人の理解してくれたお客様が使ってくれるアイテムを増やしていったのです。そして男女、年齢、お金を持っているかどうかなどに関係なく、無印良品の思想をわかってくれる人が使ってくれるアイテムがどんどん増えていきました。

これをしたり理由は、無印良品が「感じ良いくらしの実現」をビジョンとして掲げているからです。要は、生活を快適にする商品を幅広く品ぞろえすることによってこそ、MUJIの世界観は伝わるようになるのです。また、逆に「感じ良いくらし」という、とても広く、普遍的なことを追求しているからこそ、世界の人に愛されるようなブランドになったのです。

ー①SNSを通して「理念」の発信

このビジョンを浸透させるために、無印良品はSNSを活用して「理念・ビジョン」を発信してきました。

SNSのフォロワー数は、2020年3月現在で「twitter:63.9万人」、「Instagram:206.8万人」、「Facebook:107万人(イイね数)」となっています。これらのフォロワーに対して、商品のこだわりポイント、押しポイントを紹介する商品紹介や特集記事を通して、ビジョンが伝わるような工夫をしています。

ー②無印良品の世界観を店舗で構築

無印良品は、感じいい暮らしをお店でも体現できるような工夫をしています。「無印良品は仕組みが9割」という本で、

MUJIGURAMUというマニュアルに乗っとって、お店作りをしているため、どこの店舗に行っても同じサービスを提供できる

とありました。つまり、店員の振る舞いやお店の商品の配置など無印良品の世界観を構築する上で大事な要素がすべて、言語化されており、それによってどの店舗に行っても、無印良品のイメージが損なわれることがありません。

ー③コミュニティサイト「IDEA PARK」で顧客との関係性の構築

無印良品にマッチする人との関係性をさらに強くしていくために、顧客と一緒に商品を作り上げるコミュニティサイトまで作っているのです。

ここでは意見を投稿するとポイントがもらえるというメリットがあるだけではなく、自分の意見が反映されて商品が作られたかどうかまで可視化されるため、無印良品が好きな顧客にとってメリットばかりです。

ー④MUJI passportを活用して顧客分析し、関係性の確認

今では店頭売り上げの53%がMUJI passportホルダーとなっています。客数のかなりの割合が「リピーター」ということです。

無印良品では店舗とECサイト、アプリの顧客情報を一元化しています。これによって、顧客一人ひとりの購買履歴、ECサイトの閲覧履歴や実店舗の来店履歴、オウンドメディアでのクチコミ投稿の履歴なども把握できているとのことです。さらにユーザーがSNSアカウントとアプリを連携していれば、SNS上の活動まで追跡することが可能であり、オウンドメディアの記事を見て購入までつながったかどうか、その流れを分析することが可能になるのです。

MUJI passportは、コミュニケーションの機会を増やし毎日見てもらえるアプリを目指していて、得られたデータから顧客との関係性を分析して、よりよいサービス・商品づくりに生かしていくということです。

⇒以上のように、「無印良品」にのめり込む人を増やすための戦略、あるいはさらにのめり込むような戦略をとっており、無印良品の強さを作っています。

<Price>

・手頃価格、低価格・適正品質

無印良品ではシンプルでちょっとセンスのいい、機能性を考えた工夫のある商品が、手に届きやすい値段で並んでいて、「機能性高いのにこんなに安いんだ!」と無印良品を訪れるとワクワク感を感じることができます。

無印良品は以下の2つのポイントに注力しているとのことです。

(1) 上質素材をシンプルに仕立て手頃な価格で提供する(こだわりたいね)(2) 使用頻度の高い実用品を低価格・適正品質で提供する(ずっといい値)

そのため、今の社会では適正価格ではないと思ったら、価格を見直しています。実際に2018年春夏で全商品の4割に相当する2400品目の価格を見直しました。価格を見直したことで、10~20%程度、販売数が増えた商品があるとのことです。

<Place>
・生産拠点は中国やASEAN諸国がメイン

⇒安く商品を提供するために、工場をASEAN諸国に集約させています。また、素材の選定に力を入れたり、生産プロセスをぎりぎりまで簡略化したりしていて、生産過程にこだわりをもっているため、安く提供できるのです。

・店舗はショッピングセンター、イオン、パルコなど大型商業施設に多い

⇒くらしをデザインするため、くらし全般を取り扱う商業施設の中に出展していると考えられます。

■もし自分がCMOになったら

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<アイデア>

無印良品の世界観を体験できる民泊

<目的>

・無印良品の理念を理解し、それに共感してもらうため
・無印良品の良さを知らない新規顧客の獲得するため
・無印良品に共感しているリピーターの他の商品への興味獲得するため

<背景>

・無印良品の店舗での売り上げの半分以上は、リピーターで「いかに世界観・理念に共感を生み出すか」が戦略のカギになると考えています。

↓↓

・「無印良品の世界を家で作るとどうなるか?」を体感するのが一番世界観を理解しやすいではないでしょうか。

無印良品は既に銀座でMUJIHOTELを営業していますが、ホテル行くというのは家とは異なる外の世界で無印良品の世界観を体験するということです。

その点では、一軒家の方がホテルよりも、より身近に無印良品の世界観を感じることができると思います。

<内容>

・無印良品で一軒家を使って民泊を行うor無印良品に共感している顧客にFCという形で民泊を営業してもらう
・無印良品の家具や雑貨、食品で世界観を構築

自社で営業する場合は、一軒家を買うor賃貸するところから始まってしまい、コストが大きくかかります。また、事業始める障壁が大きいです。

そのため、無印良品に共感している顧客にFCという形で民泊を営業してもらうor一軒家や部屋を安く提供してもらう、というのがはじめ安いのではないかと思います。

無印良品の家具や雑貨、食品で世界観を構築し、無印良品にどっぷりとつかった生活を体感してもらい、民泊後に無印良品の商品を購入してもらえるようにするという策となります。

これは初めに、スモールスタートし、民泊で体験したお客様がその後どれだけ無印良品の商品を買うようになったか、データを分析しLTV的にコストに見合うのか、といった判断をしていく必要があると思います。

■最後に

「無印良品は仕組みが9割」という本では、仕組み作りにしか焦点を当てられていなかったので、無印良品の世界観とは何か、他のブランドと比較して何が優れているのか、などを言語化していけたのがよかったと思います。

感想や意見などありましたら、ぜひコメントしていただけたら、うれしいです!

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