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「自分の意思で旅をする〜再びインドへ〜」

世界一周245日目(2/28)

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まるまるひと月、ネパールを旅してきたことになる。

トレッキングはできなかったけど、ビジェイの家でのホームステイや、日本人宿サンタナポカラでの仲間から依頼された漫画の製作。三顧の礼とも言えるインドビザ申請。ナガルコットでヒマラヤと対面することができた。カトマンズでサブバッグの修理もやった。もちろん素敵な人たちとも沢山出会うことができた。

道路はどこもかしこも絶賛工事中で、一日の半分は停電。
停電の間はバッテリーやジェネレーターで電気を供給するなど、観光資源以外のネパールの側面も見ることができた。


そして、何より人々が素直だった。

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今まで旅してきた国々がそうだったように、常に警戒心を持つように心がけてきたけど、ネパールではそんな必要もなかったように思える(そりゃ、メシ屋のにいちゃんがふっかけてくるようなことはあったけどね)。

人の暖かみを感じたネパール。
いつかまた旅をしたい。そう思える国だ。


いつものようにコージー・カフェでWi-Fiにありつこうと、建物の前でiPhoneの設定画面を開く。だが今日はお店のバッテリーへ電気を貯める日なのか、それともWi-Fiの料金を払っていないのか、僕のiPhoneはWi-Fiを検知しなかった。
だけど、僕は2階にあるカフェへと上がっていく。お店のスタッフたちは笑顔で僕を迎えてくれる。たかだかWi-Fiが使えないくらいでお店を代えることもない。

行きつけだったこのカフェとも今日でお別れだ。
いつものように30ルピーのミルクティーを注文してブログの下書きをしたり、旅ノートをつけたりしてバスの時間を待った。

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僕はインドに戻るのだ。

戻ると行った方がしっくりくる気がする。
僕の中の「何か」が始まったインド。様々なきっかけを与えてくれたインド。
いや、あれは僕が自ら選んだんじゃない。友達の一言から始まったのだ。シンガポールへ英語の実践に行こうと考えていた僕に彼はこう言った。

「おれとインドへ行こう!」
「えっ?なんでインドなの?」
「インドには今しか行けないだろう?」

彼はそう言った。

今だかこそ言えるのだが、彼も初めての海外旅行で不安だったのだ。
当時僕たちは海を渡った異国の地を旅することに憧れがあった。高橋歩の本なんかを読んで僕は鼻息を荒くしていたし、彼は周りの友達が次々に海外を旅していたのを見て「自分も旅がしたい!」と思うようになっていたみたいだ。一人だと不安だったのだろう。僕が海外旅行に行くというのをきっかけにインドを旅することを誘ったのだ。大学生なんてそんなもんだ。
彼は格好にこだわる友達だった。意気揚々と「インドへ行こう!」と言った割には航空券の手配などは全て僕任せだった。

僕は自分の意思で旅をしている。
不思議なものだ。あそこで僕がシンガポールに行っていたら、また違った人生を歩んでいたかもしれない。インドが人生観を変えただとかスピリチュアルな国だとかそういう扱いはしたくない。だけど、僕にとってインドは特別な国なのだ。

大事なのは自分の頭で考え、自分で行動を起こすことなのだ。

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おっと、そろそろ宿のボスに一緒にバスターミナルまで連れて行ってもらう時間だ。

国境の街まで1300ルピー(1,334yen)。16:30出発のバスで、到着は翌朝7時らしい。次なる目的地はダージリン。

僕はボスがチャーターしてくれたタクシーで数キロ先のバスターミナルまで向かった。250ルピー(257yen)。近くの屋台で軽食をとったり、大好きなクッキー"parle-G"を買い込んだ。そして遅れて到着したバスに僕は乗り込んだ。お財布の中のネパール・ルピーはほとんどない。うん。いい感じで使い切ったな。


あっという間に日は沈み、外の景色は窓から見える数メートル先の砂っぽい路面だけになった。

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街灯なんてどこにもない。車のヘッドライトが地面を照らし、前を行く車についていくようにバスは走る。自分の乗っているバスが今どこを走っているのか見当もつかない。オフラインで見られるマップアプリを確かめるとバスは目的地とは全くの逆方向を進んでいる。

「うそぉっっっ!!!!???おれ、間違ったチケット買っちゃった?いや、待て!前にもこんなことあったぞ!ルンビニからポカラ目指すときもアホみたいに迂回した記憶が…」

ネパールのバスは安全な道を通るためにめちゃくちゃ遠回りするのだ。予想どおりバスは6時間かけてハイウェイに出た。

バスの中ではドライバーが睡魔に負けず、テンションを上げたまま運転できるように大音量で音楽がかかっていた。イヤホンで音楽を聴いていても嫌でも耳に入ってくる。
なぁ頼むよ。いい感じの余韻でネパールを去らせてくれてもいいじゃないか。久々に藍坊主を聴いてセンチメンタルな夜を越えてぇんだよ!僕の真横の席の上にスピーカーが設置してある。ふぁっく…。

眠りにつけず、ずっと座っているためお尻が痛くなってくる。僕はしょっちゅう座り方を変えてバスの中をやり過ごした。どういうわけだか、あまり眠たくはない。

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トイレ休憩で停まったレストランの前で、最後の5ルピーで買った煙草を吹かしながら、僕はふと思った。

「デリーからドバイ経由、イランに向けて出発するのが4月10日だろ?とすると、僕は約40日間インドを旅できるわけだ。」

40日…。

バングラディシュやブータン、ミャンマーに接した北東インドを見てみたい。もう一度バラナシを今度は時間をかけて見てみたい。ちょっと長めの漫画も描けるかもしれない。インドの雑貨も仕入れたい物がいくつかある。

なあ、人生は一回きりだろ?
やりたいことをやらないでどうするんだい?
旅は今しかできない。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。