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「アルメニアで漫画製作スタート!」

世界一周308日目(5/2)

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そろそろ漫画描き始めよっかね!

僕はTesco Lotusの手提げバッグに漫画の原稿用紙をぶちこんだ。スケボーを貸してくれとねだるアランたちに、今日も気軽にと貸してやる。今のところ乱暴にPennyを扱っている様子はない。

リダばあちゃんに「グッモーニン♪」と挨拶すると、ばあちゃんはアルメニアン・コーヒーを僕に淹れてくれた。

いつものように朝市でフルーツとパンとトマトを買う。

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それをプラットフォームのベンチに座ってで食べながらメトロのWi-Fiでブログを読んだりして20分くらいを過ごす。

おなじみのクイーン・バーガーに出勤する。
もはや「出勤」だ。誰がなんと言おうと。宿のみんなからは「今日も仕事に行くの?」なんて冗談っぽく尋ねられたりしている。

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僕の旅は観光名所を制覇するような旅じゃない。

アルメニアにはまだまだ行っていない場所がある。
エレバン市内を見渡せる小高い丘があるそうなんだけど、まだそこにも行けていない。っていうか他にやることがありすぎて、「そんな暇ねえんだよ!」って感じ。自分のオリジナル・アイデア「旅する漫画家」。

まぁ、他にも漫画描きながら旅している人はいるんだろうけど、僕は知らない。Googleで「旅する漫画家」って調べると僕のブログがいっちゃん上にくるから、今のところ、クッソ重い原稿用紙を持ちながら色々な国を旅しているバカは僕しかいないと思う。同じ場所に留まっていてもやることがあるってのはいい。「ヒマでやること全然ねえんだけど…」ってなるより数倍いい。

「やることがある」っていう意識は日本人だからだろうか?僕は今のところこの感覚が好きだ。数ある先進国のなかでも「勤勉」と言われる日本。まぁ、僕が働き者かどうかって言われたら、「そうじゃない」ってなるんだろうけど、何もしないとソワソワするんだよね。その感覚から解放されるために、海外でゲストハウスから一歩も出ないような生活をしてみるのもそれはそれで面白いかもしれないけれど。

 うーっし!今日から描くよ〜!

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どんな話を描くかは頭の中に漠然としたアイデアがあった。
「ヒッチハイクの話」を描いてみたいなと思ったのだ。

アルメニアで初めてやったヒッチハイク。イランから60ドルかかる国際バスに乗らずに20ドルちょっとで首都のエレバンまで辿り着いた。車が捕まらなかった時の焦燥感と言ったらもう…。あれはギャグだ。

原稿用紙の裏にアイデアを書いていく。

原稿用紙の半分にも満たないスペースに1時間以上アイデアをポソポソ書いていく場合だってある。なかなかアイデアが出ず、一向に下描きに入れない時だって。自分の経験をそのまま描いちゃダメなんだ。僕が今やっているのはそこからオリジナリティを生み出す作業だ。

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この日の僕は「ノれ」ていた。短編の主人公像が出来上がると、僕は原稿用紙に下描きを始めた。

絵のレベルもまだまだだし、細かく忠実に再現する能力はどちらかと言えば低い。てかテキトウ、よく言えば「ざっくり」に描くことだってしばしば。車の絵を描こうとすると、『あれ?車ってどんな形だっけ?』と考えてしまう。

車の写真だったら調べればいくらでも出てくるけど、アルメニアの車の写真は自分で撮ったものが頼りだ。いきなり全部できる必要はない。少しずつ完成度を高めていけばいいさ。

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今まで描いてきた短編の中でも一番早く下描きを終えることができたんじゃないかと思う。時間のかかる背景が少ないせいもあったかもしれない。

できたお話はパンク・ロッカーがヒッチハイクする話。

パンクの精神が好きだ。
『ざけんじゃねー!コノヤロー!』って抗いながらも突き進んでいくエネルギー。まぁ、僕自身はパンクなヤツじゃない。そもそも、地でパンクするヤツなんているのだろうか?シド・ヴィシャスもステージの外では気弱な青年だったと言うし。

パンクのイメージはメディアによって作られたところもあるのだろう。

でも、「自分と対向する何かに立ち向かっていくエネルギー」が僕にはある。夢や理想を追い求めると必ずそれに対向するものが出てくる。世間一般の常識だったり、現実だったり、周囲の声だったり。それに負けないくらいのエネルギーが「パンク」にはある気がするのだ。

宮藤官九郎の「少年メリケンサック」が好きだ。
あの、一番の盛り時を過ぎてしまったおっちゃんたちが心の中の火を再び灯し、格好悪い姿をさらしながらもパンクする姿に何か共感を覚える。

やるしかねえだろ。



そして僕は雑貨を買いに行った。パンクじゃない笑。

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自分のライフスタイル全てがパンクである必要はどこにもない。

えっとですね、今回仕入れたのはコースターとマグネットですね。
「うわぁ~!なんかカワイイ~なぁ~♪」

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こんな感じでざっくりとした布製品がアルメニア雑貨の特徴みたいですね。


雑貨を仕入れたあとはバスキング。いつもの流れだ。

昨日バスキングした大通りに出ると先客がいた。等間隔でパフォーマーたちが各々の楽器を鳴らす。

手前からアコーディオンとドラムのおじいちゃん2人組。アルメニアの民族楽器のような縦笛を吹くじいさん。奥にはガットギターをかき鳴らしているヤツの姿が見えた。ここでやるのはよそう。

アイスクリーム屋さんの近くでやんわりと歌い上げる。

連日歌いまくってたせいか、唄えば唄うほど声が枯れていった。いつもキーが高いから、たまには枯れた声で唄うのも楽しいもんだ。お金もそれなりに入った。

満足して宿に戻った。

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今日もシャワー浴びれなかったな笑。

宿に戻ると別々のところから集ったお兄さん3人組が宿に新しく来ていた。

初対面の人との会話量のうち6割以上を占めてしまう僕の悪いクセで、漫談につきあってもらった。僕のくだらない話をお聴きいただきありがとうございますです。

最後に枯れた声で「Stand by me」を唄うと、お兄さんの一人から400ドラムが手渡された。

粋だなぁ~兄さん。


現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。