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「今日もインドで漫画を描く」

世界一周277日目(4/1)

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海外でエイプリルフールを迎えた。なにか不思議な気分だ。
話に聞くところによると今日は、ただでさえ嘘をつく(主にボる場合)インド人なのに、嘘をつきまくってインド人同士の暴力事件や殺人事件まで起こるとか起こらないとか…。

そう宿に出入りするスタッフだかスタッフじゃないんだかわからない、日本語の達者なバダルが教えてくれた。まぁ、いい。ようは騙されなきゃいいんだろ?

そして僕のバラナシでの日常もあまり変わらない。
いつものカフェのいつものテーブルについて漫画を描き始める。

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「バラナシに来て全然観光せずに、カフェに5時間以上籠って漫画ばっか描いてていいのか?」そんな疑問が浮かばなくもない。だけど僕が旅する漫画家を名乗っている以上、漫画描かなくちゃダメなのだ。

隣りのモナリザ・カフェでチョコクロワッサンを買って、お店ではブラックコーヒーを注文する。通りを見ながら少しだけぼっとした後、漫画を描くための準備をするのだ。

なんだかんだ言ってこのカフェがいいところはWi-Fiがなくてすいていることだと思う。時々お店のガキんちょが邪魔しにくるけど、お店の人は僕が長くいても嫌な顔を見せない。ヒマ過ぎてお店に顔を出さないってこともあるんだけれども。


今日の作業内容はペン入れだ。

下描きをインクをつけたGペンでなぞっていく作業。
これが漫画を描く一番のメインの作業なのかもしれない。

太い線から描きはじめ、いつもなら「もう集中力ないわ~!」と言って作業効率をガクっと落とすタイミングでも、時計を見て、作業を再開する。科学的には人間の集中力は15分だと聞いたことがある。だけど、こういう制作活動に注ぐエネルギーというのは全くの別物なんじゃないのか?そう考えるようなった。そうでもなきゃ、この世の人間たちは15分ごとに休憩を挟まなくちゃいけないもんね。

集中のさらにその上を行く「熱中」とでも言うのだろうか?
このクリエイティヴ・ハイの状態を意識して、今日の僕は描きまくった。

遊びにくる女のコを「ごめん、ちょっと今日は勘弁して」と手で制し、本を読まなければ写真も撮らない。時々頭の中では煩悩が回転木馬のようにぐるぐると回っていた。Jack Johnsonの「To the Sea」を聞いて雑念を振り払った。

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最近、カフェで漫画を描いていることが多くなったせいか、食欲がめっきりなくなった。別に体の体調が思わしくないとかそういうわけじゃない。サンタナの朝の朝食とお菓子やドリンクで十分なのだ。

日記には何を描いたらいいんだろう?漫画を描いている期間はそう思うことが多い。余計なことなんて忘れちまった方がいい。

今僕がいるのは未来を見据えた旅。今やらなくていつやるんだ。自分を信じていればそれでいいんだ。

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夕方5時にこの日の製作を僕は終了した。

またわずかだが、漫画を描くスピードが上がった気がする。一番太い主線から2ページ目の背景まで。明日で終わるぞ!てか終わらせる!



いつものようにソナの何でも屋に遊びにいくと、ソナさんが「楽しみにしてるから」と声をかけてくれた。完成前の漫画の1ページをキューさんとアカシに見せると、「うわ~~~っ!すごい!」と、その1ページに食い付いてくれた。

漫画のレスポンスはなかなか得にくいと思う。ロックバンドのライブ映像なんて見ると、ここまで人を興奮させることができる音楽の力を羨ましくも思ったりする。だけどこうして、レスポンスをもらえるだけで、僕は頑張れるのだ。

『自分のためには漫画はかけない。誰かのためなら漫画を描ける』大学生の時、そう思って漫画家になろうと決めた。自分の意志のとかけ離れた漫画を描くことはもちろんできない。これはモチベーションの話だ。単純に嬉しかった。それだけの話だ。簡単に言えばね。でも、それは僕が漫画を描きつづけることのできる理由なのだ。

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「ただいま~」

と言って宿の扉を開ける姿は
少し親父に似てきたなぁと思う今日この頃。

明日も頑張ろう。


現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。