「ロシアの車窓から」
世界一周5日目(7月3日水曜)
目覚めると朝日が射しこんでいた。
ウラジオストクに着いてからというもの霧と雨ばかりだったが、ここきてようやく晴れたのだ。
旅立ちには申し分ない。
ハバロフスクへの列車は19時(モスクワ時間で12時)だったのでチェックアウトしたあと7時間は自由に動ける。
内田さんから聞いた話なのだが、一晩泊まったホテル(ホステル)ならチェックアウトしたとしてもその日のだけなら荷物を預かってくれるらしい。
テントを捨てたとしても、あのクソ重たいバックパックを背負って町中歩き回らなくてもいいと考えると気持ちが楽だ。
列車の出る7時前に取りにくることにしよう。
今日は漫画の製作ではなく、外にPennyboardとギターを持って行った。
ウラジオストクに着く前にカウチサーフィンに登録し、ホストの人たちとやりとりをしたのだが、時間がなかったため彼らの家に泊まることはできず、
せめてフリーな時間だけでも会いましょうとメッセージが送られてきたのだ。
だから原稿用紙は必要ないね。
しかし、キャリアとの契約を解消し、フリーのWi-Fiに頼らざるえない僕のiPhoneで彼らとコンタクトを取るのは非常に困難だということが分かった。
チェックアウトを済ませると、途端にWi-Fi難民だ。
おととい、アスカさんたちの泊まっていたホテルがフリーのWi-Fiだったのを思い出し、ホテルの前でスカイプのメッセージを送った。
しかし、連絡がこない。
宿泊客じゃないのにホテルの前に突っ立ている気まずさもあって、別の場所へWi-Fiを求めに。
ウラジオストク駅前にあるレーニン像の側で、近くのカフェから漏れているフリーのWi-Fiをキャッチした。
だが、未だに連絡はこない。
スカイプで連絡するよって言ったのになぁ…
仕事中なのかな?
昨日と打って変わって今日はかなり暑い。日差しから逃れるために木陰に逃げ込む。
野良Wi-Fiを探しては連絡の確認し、それだけで時間が経ってしまっていた。
手持ち無沙汰僕はおもむろにギターを取り出した。ここへくる前のフェリー以来、コイツを弾いてない。
やっぱりここでギターを弾くと悪徳警官がやってきてお金をせびりにくるのかな?ストリートライブでお金稼ぐわけじゃないし、いいよね....?
ちょっとビビりつつもCARAVANの曲を思い出すように弾いた。
「これ、お前のスケボーだろ?ちょっと触っていいかい?」
的な感じで僕に話しかけてきたのはロシアのスケートボーダーだった。
なんか僕より上手いのが気に喰わないが…気の良いヤツだ。
「やっぱり、やりにくいなぁ...」と言ってあとからやって来た友達と去って行った。
ロシアにもスケートボーダーはいるんだね。
カウチサーフィンのホストとは一向に連絡がつかないでいた。
何回もメッセージを送っているのだ。仕方ない。
きっと仕事が忙しいんだろう。
時間を持て余してしまった僕は漫画を描く事にした。
バックパックも背負い込んでホステルの横のカフェでアメリカーノ(100rub/300yen)をすすりながら製作。
港町だから風がすごかった。ちょっと気を抜くと紙がぶっ飛んで行くぞ!
背景を描き終えたので、次に作業場を見つけたらベタ塗りから始めるつもりだ。
ここから次の街、ハバロフスクへ。
電車のホームは30分くらい前にならないと
どこのホームに停まるか分からないシステム。
掲示板の前で確認。暑い。
今、僕はハバロフスクへ向かう列車の
コンパートメントからこの日記を書いている。
切符は1432rub(4296yen)。12時間の列車の旅だ。
まさか自分の目を通して「世界の車窓から」が見れるなんて思わなかった。
こっちの車窓からはあんなに綺麗な景色は見えないけど、僕はこっちの方が好きだ。自分にしか見れない自分だけの景色がそこにはある。
「マトリョーシカ!マトリョーシカ!」
「…え?あ?…はい?」
僕のバックパックはでか過ぎて、車掌さんが「上に乗せろ!」的なことを言ってくる。いや、もうほんと御迷惑をおかけしているのは重々承知しているのだけれど、まだまだバックパックが重すぎて通路に置いていたのだけれど、やっぱり注意されてしまったか…。「ここで退いては日本男児の恥…!!」だと思ったので気合いで持ち上げた。腰が逝くかと思った…。
隣のじいちゃんが「おぉ!ストロング!」的なことを言ってくれたのでよしとしよう。
あ…
それと、ご飯を買い忘れた…。食堂とかあるわけないよね。
12時間の断食です…。
現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。