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「カトマンズで教師志望(金髪)の青年に出会う」

世界一周238日目(2/21)

二回目のインド大使館訪問。

業務開始の1時間前に行ったっていうのに、もうそこには既に10人以上の欧米人たちが並んでいた。30分前くらいがちょうどいいのかもな。どっちにしろ待つんだし。先にいた人たちは座って読書したり、お喋りしたり、スマホをいじったりしていた。

僕も持って来た「Hotel New Hampshire」の続きを読む。
まぁ何書いてあるのか全然分からないページとかあるんだけども…。別にこれといってボキャブラリーを増やしたりするような勉強はしていないんだけど、旅をする上での英語のレベルが上がったことは間違いない。

常々思うのだが、旅をする上で必要な英語のスキルというのは中学校レベルで十分だ。
過去形や受動態、比較級など英語を学ぶ上で必要な文法とかガンガン使っている。そして使った分だけどんどん自分に馴染んでくる。旅している国が観光客相手に英語を話す人たちが沢山いる場所だと英語でのコミュニケーションの頻度も上がる。別にネイティヴスピーカーについていけなくったっていいのだ。
というか僕だって偉そうに書いているけど、欧米人とコミュニケーションする時なんかは『あ~…何言ってるか全然わかんねー』ってことはしょっちゅうある。


今回のインド大使館の訪問はパスポートの提出のためだ。

今日は金曜日なのでインド大使館は土・日とお休みを挟み、ようやく来週の月曜日にインドビザが手に入るという流れだ。(ね?カトマンズでインドビザ申請するのって面倒くさいだろ?)

大使館でたまたまお会いした一つ上の日本人のお兄さんがディジュリドゥを持って旅している方だった。お兄さんはポカラで会ったディジュラーのワヘイくんを知っていた。

「カトマンズでバスキングとかされているんですか?」
「まぁ、たまにね」
「僕もギター持ってきてるんですよ!」
「もしかしてポカラでも唄ってた?」
「バレました?」
ポカラの街でおっちゃんに「唄えよ」と絡まれ、シャウトした時だ(笑)

楽器は違えど日本人のバスカーに会うのは面白い。「もしかしたら演奏してるところを見つけるかもね」とお兄さんとバイバイして僕は宿に戻った。


コージーカフェで何杯もチャイやコーヒーをおかわりし、

たまりにたまった日記を書き(書かないと忘れてしまうから)、Facebookに近況報告をし、ノートに漫画の構想を練って時間を過ごした。

ここでは2~3時間同じテーブルでドリンクの注文しかしないのに、お店の人たちは嫌な顔ひとつしない。そこまでお客さんで混雑することはなく、店内に僕しかいないような時はお店の液晶テレビでインドの歌番組なんかを見ている。ゆるいカフェだけど、しっかりWi-Fiが入ってくれるのがいい♪

さて、そろそろバスキンングに行こうかな?もしかしたらお兄さんの演奏も聴けるかもしれないし。

僕は新しい出会いに胸を膨らませて路上演奏を始めた。

いくつか場所を移動してみたが、お兄さんの姿を見つけることはできなかった。レスポンスもイマイチだ。まぁ、楽しければよし!



「あ~…日本人の方ですよね?」

と話しかけてきたのは金髪の男の子。

「もしかして「一周中」ですか?」

(なんだその「一周中」って?)

「はい。イッシュウチュウです(笑)」と僕は答えた。
「今「絆食堂」ってのを探しているんですけど、知りません?」

立ち話もなんだから、とって僕たちは絆食堂へ向かうことにした。絆食堂はネパール人が切り盛りするお店だが、ここでは美味しい日本料理を食べることができるそうだ。

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ウチダくんは20歳の大学生(教育学部)。休学して1年3ヶ月かけて世界一周をするみたいだ。てか金髪の教師って…。

ナガルコットの雲海リゾートで会ったアキヒロくんがたまたま通りかかり、絆食堂の場所を知っているというので、三人で向かう。

「絆食堂」はちょっと分かりにくい場所にあった。
この旅で初めて日本食を出すお店に来たかもしれない。

たまたま行った時はお客さんが誰もおらず、奥さんがソファでタブレットをいじっていた。僕たちが挨拶すると、照れ笑いしてお茶を持ってきてくれた。

注文したのは親子丼。

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カメラを向ける二人(笑)

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だって撮らないと残らないじゃ~ん!

海外で食べる日本食にそこまで期待していなかった。だって材料とかも全然違うでしょー…って



「お~~~~いしぃぃいいいいいいいい!!!!!!!」



なにこの美味しさ?日本食ってこんなに美味しかったっけ?卵のとろみとお肉のジューシーさ。てか米うんめぇええええ!!!!

バスキングでテンションを上げ過ぎたので、そのまま余熱のようなものが残っている。

『シミさん、お酒のんできました?』くらいの勢いのリアクションと絡みでアキヒロくんに「いや、ちょっとそのテンションしんどいっすわ」とまで言わせてしまった…。おおっと!旅する漫画家としてちゃんと取材しなきゃ!

ということで教師志望のウチダくん(金髪)にあれこれ質問してみた。


Q1:「お金ってどう貯めたの?(ゲスな顔して)」

他の国の人にお金のことを質問されるのは嫌がるくせに、意外と僕はお金のことを訊きたがる。もちろん応えたくたい質問には応えなくていいよという選択肢も与えておく。

A:「ホテルっすね。これといって決まった業務とかあるわけじゃなくて、色んなことやりましたよ。お客さんの買い出しに行ってきたり。『コンドーム買って来て』とかありましたね(笑)。旅の資金は130万です」

ホテルで働いてお金を貯める大学生がいる。どうやらけっこう稼げるみたいだ。ベトナムで会った世界一周経験者のサブちゃんなんてそうだった。(ちなみに彼は卒業旅行で南米を旅しているみたいだ)それにウチダくんの大学は休学費が安いそうだ。


Q2:「なんで旅しようと思ったの?」

A:「これと言って特に理由はないんですけど、教育に興味があったからですかね?おれ、子供好きなんすよ♪」

ウチだくんの旅はまだ始まったばかり。インド、ネパールしか旅をしていないそうだが、訪れた国の人にその国の教育についてどう考えているか質問するようにしているとか。ネパールは女性に対する教育があまり重要にみられない傾向あるそうだ。

「じゃ、将来は日本で先生やろうと思ってるんだ?」
「いや、まだ模索中です。海外の途上国でできたらなとも考えています」

すげえ~。海外で先生か。自分の生徒たちの成長がずっと身近に感じられると思う。モンスターペアレントとか絶対いなさそうだしね(笑)


Q3:「旅における自分のこだわりとかってある?」

A:「う~ん…まだネパールだけですけど、訪れた国の音楽が入ったCDを一枚買うようにしています」

なにそれ!面白い!日本に帰ったらその音楽とともに旅の思い出が蘇るんだろうなぁ。

とまぁいくつか他にも質問した。今回も6割型僕が喋ってたんですけどね。まぁ、初対面の人に対して一方的に喋ってしまうのが僕の悪いクセなんです。2日目、3日目以降はだんだん話す内容もなくなっていって…、「あれ?シミさん、こんな大人しい人でしったっけ?」ってなるです。

どちらかいうと僕は一人で街を歩いたり、カフェで本読んだり、漫画描いたりすることが多い。


他の人と約束があるアキヒロくんと入れ替わるようにして「あの~…ここ座ってもいいっすか?」と大学生のヒロくん(20歳)もやって来た。

「自分から話しかけるってちょっと勇気いるよね」僕なら周りに日本人がいたとしても、一人でモリモリご飯食べるけどね。

「いや~…ヒマそうに見えたんで」
「はは。ご飯を食べてるのが「ヒマそう」?」

言葉のアヤかもしれないが、僕たちは「うめ~…」とか言いながら親子丼を食べていたのだ。

その後も僕の取材は続いたが、ヒロくんは自分の注文したご飯がくると、食べることに全神経を集中させて急に静かになった(笑)おい、言ってることがちげぇぞ!と思わずツっこみを入れずにはいられない。


あれ?僕はー…

そうだ。

もしかしたらインド大使館で会ったお兄さんに会えるかもしれないと思ってバスキングしてたんだ。それが、こんな出会いを引き寄せるなんて。

他の人と話せば話すほど、一人一人が、自分にしかできない旅をしていることが分かる。当たり前のことだけど、人と同じ旅なんてない。僕はオリジナルであろうと躍起になることが多いけど、そんな必要はどこにもないんだ。こんな文章ではその時のライブ感は全然伝わらないんだなってことが分かった。

話し手が語る自分たちが経験した臨場感や熱量は「ライブ(生)」で会って聴くからこそ伝わるのだ。

文字は残る。トークはより伝わる。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。