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「ベルリンでの僕の野宿生活 in ドイツ」

世界一周431日目(9/2)

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雨の音はどこか僕を安心させてくれた。

雨が降っていれば
誰も外に出たがらないし、
うだうだと公園でビール飲んでるヤツや
ホームレスもいないから。

襲われる可能性はきっと低くなるはずだ。


だけど、雨の中でテントを
畳まなければならないとなると話は別だ。

目覚めて、テントを打つ雨音が
「ポツポツ」と聞こえた時は
ちょっと気が滅入った。

ここはドイツ、ベルリン。

小高い丘の上にある公園が
昨日の夜に見つけた寝床だった。

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今日のお昼前から雨はやみ、
そこから晴れの日が続くらしい。
昨日会ったスイス人が言っていた。

僕はその言葉を信じてテントの中で二度寝した。

きっと雨はやむさ。
僕には時間はたっぷりある。
たっぷりすぎるほどに。



二度寝から目覚めると、
外に人の足音が聞こえた。

ゆっくりとした歩調だ。
こちらに興味や警戒心を抱いている足音じゃない。
散歩でもしているんだろう。

テントの入り口を開けて外を見ると、
予報通り、雨は上がっていた。

ベビーカーを押したお父さんが
ボケ~っとした顔で歩いている。

僕もそろそろ行くとしよう。

全ての荷物をテントから出し、
シューズを履いて外に出ると、体を伸ばす。

テントをたたむのも慣れた。

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オーガニック・フードが
売っているスーパーでいつものように
リンゴとトマトを買った。

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そして僕は、
昨日会った旅する釣り人の大学生、
タヤマくんが泊まっていたホテルへ向かった。

タヤマくんからもらっておいた
Wi-Fiのパスワードとユーザー名が書かれた紙を
ポケットから取り出す。
ホテルのスタッフは僕に何も言って来ない。

ホテルと言ってもユースホステルみたいな場所だった。

昨日フロントでタヤマくんたちと話していると、
高校生らしき・ヨーロピアンの集団が
年齢制限でバーに入れないとか騒いでいた。

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調べてみてわかったことだが、
この街にはアウトドアメーカーの
patagoniaの本店があるらしい。

アウトドアメーカーは沢山あるけど、
やっぱり僕はここのメーカーが好きだ。

日本で友達にこのお店の素敵なところを
アピールされてから僕はすっかり
このメーカーが好きになってしまった。


パタゴニア・ベルリン店は
野宿した公園から近い場所にあった。

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店舗は日本の渋谷店よりも
大分小さい印象を受けた。

中に入ると「ハーイ!」と
スタッフさんが笑顔で僕のことを迎えてくれた。

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こういうスタッフさんの持つ雰囲気も僕は好きだ。

いつものように一通り自分が
どういう旅をしているのかをスタッフさんに話す。

パタゴニアが好きなこと。

チェコでまるっとバックパックを
盗まれてしまったこと。

いい装備品が見つかれば
買おうと思っていること。


ってか置いてある本がセンスよすぎ…!!

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スタッフさんは僕が盗難にあった話を聞くと
「I'm sorry…」と不憫に思ってくれた。

今となっては僕が盗難にあったことなんて笑い話だ。

だけど、自分の話にちょっとでも
感情移入してくれるのは嬉しい。

スタッフさんは
「せっかく遊びに来たんだから!」と
僕にステッカーを何枚もプレゼントしてくれた。

ステッカーもタダじゃない。
一枚1ユーロとかかかっている。
こういうのも嬉しいよね。


お店ではセールの真っ最中だった。

しかも日本で売られているものより、
海外で買う方が安い。

スタッフさんたちのウェルカムな雰囲気もあり、
僕はここでセール品のフリースを買った。

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また少しずつだけど、装備品が増えて行く。

手に入れたものにストーリーが
詰め込まれていくのだ。


僕は自分が着ているアウター(雨具)の調子
が悪いことをスタッフさんに相談してみた。

僕が着ているのは
「トリオレット・ジャケット」
という丈夫なやつなんだけど、
生地はゴアテックス。

このゴアテックスというヤツには
「撥水性」と「防水性」と「浸透性」
という3つの機能が備わっているらしい。

詳しいことはよくわからないけど、
何もメンテナンスせずに着続けていると、
どんどんこの機能が失われていくそうだ。

適度にメンテナンスすれば、
また機能が復活するらしい。


「うん。一年に一回は洗濯した方がいいね。
近くにコインランドリーがあるから
行ってみたらどうかな?」

スタッフさんはそうアドバイスしてくれた。

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道を訊いてそこまで行こうとしたのだが、
方向音痴の僕は初めての街ではそう簡単に
目的地を見つけることはできなかった。

もう一度パタゴニアに戻ってスタッフさんに
道を確認すると、スタッフさんは僕に
アウター用の洗剤をプレゼントしてくれた。

まったくもって、素敵すぎるお店だ。



初めてのコインランドリーに戸惑いながらも、
僕はなんとか洗濯を済ませた。

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一回3.5ユーロ。
洗剤は0.5、乾燥機は
10分0.7ユーロという値段設定。

野宿している僕からしてみたら
けっこうな値段だ。

パンとプラムがいくつ買えるのか
なんて考えてしまう。

一回目は普通に洗濯し、
二回目はさっきスタッフさんにもらった洗剤で
コインランドリーをまわした。

仕上げに20分間、乾燥機をまわして
アウターのメンテナンスは終わった。

一年着続けたパタゴニアのアウター。
ずっと使って行くためには
メンテナンスは必要だもんね。必要経費さ♪


洗濯を済ませた僕はもう一度パタゴニアに行って、
スタッフさんにお礼を言った。

気軽に遊びにこられるこの雰囲気もいい♪

すぐ隣りにあるカフェでWi-Fiにつなぎながら
閉店の8時までコーヒーをすすった。




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駅前でバスキングをして、
小銭を手に入れると、
僕はスーパーで食糧を手に入れた。

スーパー前には
若いホームレスが通行人に絡んでいた。

時々ボイスパーカッションみたいなこともやってる。

ストリートパフォーマーにも見えなくもないし、
ちょっと頭がおかしいフリを
しているようにも見えなくもない。

そんな若いホームレスに、
粋なお兄ちゃんが
ワインをボトル一本差し入れていた。

「ホォッッ!」と喜ぶホームレス。

見ていて、僕もエールを送りたくなった。

さっき買ったクラッカーを3分の1くらいと小銭、
それとタバコを一本差し入れた。

「サンキュー」とぼそっというホームレス。

まぁ、あれだよ。お互い頑張ろうぜ?

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おとといと同じ公園へ僕は向かった。

寝床を探していると、
テントも寝袋もなしで、
マットを敷いて寝ている人がいた。

ここはそういう場所みたいだ。

そこまで治安が悪くないのかもな。

今日もまた一日が終わった。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。