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「何かを生み出せるヤツになれているか?」

世界一周132日目(11/7)

この日僕が向かった先はCharoren Rat通りあるMeeting room Art Cafe。
先日お邪魔したチェンマイ大学美術キャンパス内にある日本人の方が経営されているカフェ、DinDee。

そこでしか買えない象のオルゴールを作っている人の展示会が開かれているということをオーナーさんから教えていただいたのだ。些細なきっかけを大切にしたい。ネットにはなかなか見つからない、こういうリアルのつながりを大事にしていこうと僕はおもう。

オープン時間に間に合うように宿を出て展示会場へと向かった。

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こじんまりとしたカフェの外でロボットくんがお客さんを迎えてくれる。

店内は外からでは分からないようなとても洒落た雰囲気を持っていた。

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作品展示ブースは写真撮影が禁止されていたため、店内に置いてある作品のみの写真をとることができた。

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くやしかったのでよくわからない紙(入場者の名前かな?)に署名しておこう笑。

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この人の作る作品が自分に家にあったらなんだか楽しくなっちゃいそうだよ。

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スチールに自分の世界観を吹き込めるってすごいことなんだよな。
この人の作品はこの人だけのもの。オリジナルのかたまりだ。

クリエイティブな物を見ると自分も何かを作りたくなっちゃう。帰って漫画を描くとしよう。

そんなことを考えて僕は何も注文せずにカフェを後にした。
(だって高いんだもん...そして冷房効き過ぎだ)


ゲストハウスのテーブルで無料のコーヒーをのみながら僕は漫画の下書きと枠線入れをした。コーヒーとテーブル、それと何本かのタバコさえあれば作業環境には十分だ。

漫画を描くという行為自体は地味かもしれない。
たいしてアクションもないし、他の人からみたら5分もせずに飽きてしまうだろう。でも、僕は原稿用紙の上に自分の世界を広げる。今は自分の表現したい世界の半分も描く事はできていないだろう。旅をしながら漫画を描く事はたやすいことではない。それでも一歩ずつ前に進んでいきたい。



日が傾くと僕は気合いを入れた。このままで終わるわけにはいかない!

昨日のナイトマーケットのバスキングで稼いだお金はわずか30バーツ(94yen)。

ひっきりなしに前を横切る車やMartin Backpackerの音じゃ路上で歌う事は難しかった。

目の前を通り過ぎる人は目線が合ってもニコっとするだけで『あぁ、アホなアジア人が歌ってるな...』くらいにしか思わなかったことだろう。自分の実力なんてそんなもんだぜってのは分かってるんだけど、僕としてはこのまま引き下がるわけにはいかないんだってばよ!ん?「だってばよ」?

「ぜってー!おれのことを注目せずにはいられなくさせてやるんだってばよ!」

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18時過ぎのナイトマーケットはまだ活気に溢れていなかった。

お店の人たちは各自ブースを作り、商品を並べたりしている最中で通行人の姿もまばらだ。そういえばチェンマイで会ったバスカーのケイダイくんも8時からにぎわうって言ってたっけ?

僕は飢えたハイエナのように目をギラギラさせて路上にぴったしの場所を求め少し離れたワローロット市場へ向かった。ここには観光客だけではなく地元の人たちでもにぎわっていた。あとはいい場所を探すだけだ!

僕は周辺をウロつき、アーケードが歌うのに最適だと判断した。

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歌い始めると、声が程よく響き、地元の人たちがニコニコしながら視線を送ってくれる。

『ここならいける!』と思ったのもつかの間、ずんぐりしたおっちゃんから「ここでやるな」的なことを言われてしまい、僕は内心「クソッ!」と思いながらも素直に場所を変えた。いくら人でにぎわっていたとしても場所がよくなければ歌を聴いてもらうことができない。だが、ワローロット市場ではそんな親切な場所は見当たらなかった。

車やソンテウ、バイクがひっきりなしに目の前を横切る中で根性で歌い、40バーツ(126yen)。5曲ほど歌ってここは歌うのに向かないと判断してナイトマーケットに戻った。


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前回ケイダイくんが歌った場所で僕もチャレンジしてみた。通行人はそこまでいないが、周りのお店の人たちがいつもとは違うナイトマーケットに興味津々。

ちっちゃい女のコがじぃっと僕のことを見ていてくれるのが嬉しかった。「グゥッド!」と親指を立てておっちゃんもお金を入れてくれた。

そんな僕のオンステージを許してくれるほどナイトマーケットは甘くはない。赤いライトバーを持った警備員からレッドカードを食らう。一発退場ってやつだ。普通に「ここでやるな」って言われただけだけど...


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ぬぐっ...またしてもか...

最後のステージは車の通るゲート前。
人通りはあるんだけど、やはり路上向きじゃない。ありったけの声量でぶちかます。『みなさん...ぼくはここにいます!!』

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民族衣装を着た表情ひとつ変えないおばちゃんがカエルの鳴き声が出る楽器をワンパターンに鳴らしてこっちをじっと見ている。せっ、せめて、歌に合わせて鳴らしてくれないかな...?ってかなんで同じ物を売ってるおばちゃんが"同じ場所"に3人もいるんだ!!?売り上げのシェアでもしているのか!人海戦術か!守備範囲が広い方がそのゲコゲコうるさい楽器を買ってもらえる可能性があがるってことなのかぁっ!?

「だっ、ダメだ。声枯れた…」

僕がギターをしまうと横にいたおばちゃんBが無表情で「ここは歌うのに向かなかったよ。うるさいもの」と僕をねぎらってくれた。
「おばちゃん、なんで同じ物売ってる人が何人もいるの?売り上げシェアしてんの?」と僕が尋ねるとおばちゃんは顔をしかめて「ノー」と言った。ば、場所を変えた方がいいのではないだろうか?
おばちゃんBは持っていた籠から「フリー」と言ってブレスレットを僕にくれた。「歌、よかったよ」ということなのだろうか?そして、おばちゃんBはギターを弾くジェスチャーをした後親指を立てて「グッド」と言った。

これだけで僕はおなかいっぱいだ。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。