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「方向音痴、西安の町で迷う」

世界一周37日目 (8/4)


ユースホステルのテーブルで漫画を書いていると気になるのかみんな声をかけてきてくれる。

今のシーズンは中国の大学はお休みなので、(日本でもそうかな?)ユースホステルのを利用する学生たちが多いのだ。

だから、ここで漫画を描いているとみんな気軽に声をかけてきてくれる。

日本で抱いていた中国に対するネガティヴなイメージはガラリと変わった。中国を旅する不安は消え、むしろ旅がしやすいのではないかと思うほどだ。

僕が泊まっているHanwood youth hoselは比較的新しいホステルらしい。みんなの団欒スペースも気持ちよく、BGMでは洋楽が流れてくる。




「ねえ、壁にペイントしてみない?」

そんなふうに、ホステルのスタッフに言われた。

ここのホステル4階立てで、上の階に上がるまでの壁に無数のペイントがしてあるのだ。

みんなで作るペイントかぁ。この壁がカラフルに埋め尽くされるのを想像して少し楽しくなった。

まぁ、漫画家だからと言って、アーティスティックな才能に満ち溢れているわけじゃないんだけど、僕はこの壁をポップにしたかった。今あるペイントは、黒い線で描かれたものがほとんどでイマイチ色味に欠けるのだ。夜なって自然光がなくなると味気なくなってしまう。

僕は黄色のペンキを持って、サークルを描き始めた。



特に「何かを描きたい」なんて具体的なイメージはない。その場のフィーリングで次々に黄色のサークルを描いて行く。

即興で描き上げたペイントは
ポップでキュートなものになった。

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僕は反対側の壁に文字を書くことにした。

「ROUND THE WORLD
I AM A TRAVELINGCARTOONIST!! 」

これはいつも名刺に描く
決まり文句。

そして

「ARE YOU TRAVELING?
KEEP ON TRIPPING!」

「ねえ、旅してる?
旅を続けようぜ!」

そんな感じの言葉を描いた。

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この日は行きたい場所があった。西安中心から西南にある筆などが売っている通り。

昨日、偶然たどり着いたのだが「とある企画」のためにもう一度行っておきたかったのだ。

今日は違った道で行こうとなんとなくのルートを頭に入れてPennyに乗って出発したのだが、いつまでたっても中心地へ向かう前の城壁が見えてこない。

照りつける日差し。
ぐしょぐしょの汗。
欲張って食い過ぎた昼食…
だんだん気分が悪くる。


Googleマップを開くと自分は全くの逆方向にいることがわかった。

方向音痴が治るどころか悪化していく。

初めて訪れる場所でサクサク進めないのも、実は楽しかったりもする♪





西安の東側には高層マンションが立ち並びそのもっと向こうでは新しい建物が建設されていた。そんな光景を見ると中国のバブルを感じた。

果たしてこんなに沢山建てる必要性はあるのであろうか?一体誰がここに住むんだ?いくら人口が13億人もいるとしてもここに住むことのできない人だってそりゃいるだろう。僕だって住めない。

建設ラッシュが進む中国とバブルが弾けたときにこれらは一体どうなってしまうのだろう?なんとなくそう思った。

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目指す西南の文具街とは正反対にきてしまった僕。

これから東から西へ行かなきゃならないなんて気が重い。気分も悪い。

一瞬、『熱中症かな?』と思った。

休憩を挟みながらここまで来たけど、ぶっ倒れたらシャレになんない。僕は思わず小さい売店の前の冷たいタイルの上に横になった…


日本でやったら間違いなく変な目で見られるし、お店の前で横になってるヤツがいたら警察を呼ばれるんじゃないか⁉

だけど、ここは中国だ。暑くなってくるとお腹を出すおっちゃんたちを見てここで横になっても大丈夫な気がしてきたのだ。

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30分くらい横になっていた。

タイルが冷たくて気持ちいい。

木陰で感じる風が心地良い。

隣の道路のからはクラクションが
ひっきりなしに聞こえてくる。

子供達がはしゃいでいる。

時々、薄く目を開けて通行人を見ると周りの人たちは僕のことなんてあまり気にしてないみたいだ。

そろそろ行くか。

僕はお店のおっちゃんにアイコンタクトとジェスチャーで


「いやぁ、
今日昼食食い過ぎちゃって
腹痛かったんですよぉ!

と伝えると、
おっちゃんは苦笑いをしてた。

僕は再びPennyに乗って
西南を目指した。






東から西へ。太陽の動きとシンクロして。

文具街に到着した頃にはもう夕方になっていた。

僕は掛軸と筆とオカリナを買い求め、

ゴリョゴリョ言ってるお腹を引きずってユースホステルに帰った。


食当たり?


ちがうな。

喰い過ぎだよ。これは。

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。