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「やっぱりインドの電車旅が好き」
世界一周280日目(4/4)
これで日本人宿「サンタナバラナシ」ともお別れだ。チェックアウトを済ませてロビーにバックパックを置くと、近くの売店にチャイの材料を買いに行った。再び宿に戻ってiPhoneをいじる。デリーに行く前、最後のWi-Fiに今のうちにありついておこう。
これから乗るバラナシ発、ニューデリー行きの列車「KV Express」という。スタッフのバダイが言うには、到着するまでめちゃくちゃ時間がかかるため、
インド人ですらあまり乗らないような列車らしい。「よく故障するヨ。田舎のインド人が乗る」と宿のバダイさんが教えてくれた。どうりで4日前にチケットがゲットできたわけだ…。てかそんなこと知らんし!
ここに泊まっていた大学生たちは24時間列車が遅れて、国内線を使ってデリーに飛ばざる得なかった。バラナシ、デリーを結ぶラインはもしかしたらすっごく遅れるのかも。そう予想して、ドバイまでのフライトの6日前の列車のチケットを取ったのだ。てか田舎のインド人!!?そんな話を聞くとだんだんと不安が募ってきた。
不安要素はまだある。(僕はビビりなのだ)デリーからドバイへ行くために購入した航空券。「Airticket24.com」というサイトから「JetAirways」のチケットを購入したのだが、受託荷物の超過分のチケットを買う項目が出て来なかったことがそうだ。僕のバックパックは30kgあったはずだ。最初は『別に30kg荷物くらい預けられるってことなのかなぁ~。あははは』と調子ぶっこいていたのだが、周りの人の話を聞いていくうちにだんだんと焦ってきた。このままでは超過分の料金が発生してしまう(かもしれない)!!!航空券購入後に空港会社のサイトなんてノータッチだもんだから、どこから手をつけていいのかもあやふや。えっと、自分のアカウントがあるんだ…よね?
そんな中でさらに僕に追い打ちをかけた出来事がある。
宿に泊まっている青年海外協力隊あがりのタケシさんという方が僕と同じギターを持っていた。Martin Backpacker。まさにそれだ。
アボリジニ・アートと呼ばれるドット基調のカラフルな幾何学模様をボディに施したギターはインドを旅する最中に割れてしまったそうだ。だが、それを修理することができたという。マジで!!!??
デリーにある「BIBA MUSIC EMPORIUM」というところで3,000ルピー(¥5,156)で直してもらったそうだ。かかった日数は5日。
なにやらその楽器屋から工房までは2時間の距離にあるらしく、日曜日は定休日。受け取りの日にかなり長く待たされ、あやうく列車に乗り遅れるそうになったとタケシさんは教えてくれた。直せることなら直してやりたい。ガムテープまみれになった僕の愛用のギター。ロシアのハバロフスクでスケボーでコケた時以来、8ヶ月以上も割れっ放しでバスキングを乗り越えてきた、いわば僕のゴーイング・メリー号だ。えっと、今日は4日で、列車が遅れずにニューデリーに着いたとしてー、フライトが10日だからー…
だ、ダメだ…!どう考えたって間に合いっこない!!!
そんなこんなで、若干お腹が痛くなりながらも、僕はサンタナ・バラナシのみなさんに見送られて宿を後にした。
僕が角を曲がるまでずっと手を振ってくれたユキさんたち。
あぁ、あの宿に16泊もしたんだなぁ。今まで旅してきて一番長くいた宿だった。あっという間のできごとだったけど、長くいた分、何か親近感のようなものが湧いた。
トゥクトゥクが集まるゴードリヤでトゥクトゥクは拾わず、そのまま先まで歩いた。
バラナシ駅からここまでくるのに、30ルピー(55yen)だった。それなのにゴードリヤから乗ろうとすると150ルピー(258yen)とかふっかけてくる。旅人なめんじゃねえぞ!1キロくらい歩けば、もうちょい安くなるかなと思ったのだが、運転手のヤツらは一向に値段を下げてこようとしない!中には300ルピーとかぬかしてくるヤツもいる!オイオイ、300ルピーったら宿代じゃねえかよ!
僕も80ルピー(138yen)で妥協してバラナシ駅に着いたのは、列車の出る5分前だった。あぶなかった…。
もっているチケットはスリーパークラスのもの。バラナシが始発ということもあって、僕の車両は全然混んでいなかった。
これから16時間かけてニューデリーへと向かう。心のモヤモヤを晴らすべく20ルピー(34yen)のチョコアイスを2本食べ、僕は靴を脱いでシートに上がった。
これがインド最後の列車の旅か…。
インドを旅してきて散々、色んな列車に乗ったもんだ。セカンドクラス、スリーパーはもちろんのこと、コンファームされていないウェイトリストのチケットで立ち乗りしたり、ジェネラルコーチで耐久戦をやったり。振り返ればけっこうファニーな列車旅だったな。今日でその列車旅のしめくくりだ。窓の外の景色をみながら僕はしばらく黄昏れていた。
そこからの旅はこれといってトラブルがあるようなことはなかった。
目の前の3段づつの寝台には女の子ばっかの家族だったし、田舎のインド人なんてどこにいるの?って感じ。
サイド席の上段を予約したはずなのに、下段を割り当てられてたけどー、まぁいいか。
昼寝をしたり、新しく買ったばかりのペーパーバックを読んだりして列車の中での時間を過ごした。
「じゃあ、そろそろ寝るから」
上の段のおっちゃんが僕に言う。
「ああ。お休みなさい」
そして僕も歯磨きを済ませると横になった。
夜になると列車は速度を上げる。
ガタガタと弱化の揺れを感じるけど、寝れないほどじゃない。
「…寒いな」
閉めたはずの窓がほんの少し空いている。
そうだ。サイド席の下段は風が吹き込んでくる席なんだっけ?
閉めても閉めても、気づけばほんの少し空いてる車窓。サブバッグからパタゴニアのアウターを引っ張りだし体にかけると、車窓を背にするように体を丸めた。
そろそろ、僕のインドの旅も終わりを告げようとしている。このまま旅慣れた環境に身を浸からせていたいと思う気持ちと、これからやってくる未知なる世界へ飛び込む不安が僕の中で混ざり合っていた。
さみぃ…。
現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。