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「四年ぶりのニュー・デリー」

世界一周281日目(4/5)

車窓から見えるデリーの町並み。

コンノートプレイス付近のコンクリートで舗装された道を見下ろした時、

『あぁ、ここで初日1万3千円ボられたんだなぁ~』と四年前の記憶が蘇った。もう何人たりとも信じないぞ!(インド人限定で!)


朝のメインバザールにはほとんど人がいなかった。

これから向かう先は日本人宿サンタナ。コルカタ以外のサンタナは全て泊まり歩いてきた。ここまできたら、インド最後の宿もサンタナのお世話になろうじゃないか。それにフライト前の最後の情報収集もしておきたい。

ニューデリーのメインバザールにサンタナがあることは知っていたけど、詳しい立地は調べて来なかった。まぁ、人に訊けばわかるでしょうと。

すぐに見つかるわけでもなく、僕はメインバザールの裏通りを野良犬と戦いながら探し歩いた。トゥクトゥクによく似た乗り合いタクシーの運転手の兄さんは、僕がサンタナの場所を尋ねると、場所も知らないくせに僕と一緒になって探しはじめる。

うん。これは最終的にチップを要求されるパターンだね!ぜってー金は払わねーぞ!

僕はお兄さんのことなんかまるっきし無視で路地を歩き回り、人に訊きまくった。場所を知っているトゥクトゥクの運転手が「そこの"VIVEK"の看板を右に曲がればあるよ」と教えてくれて、ようやく宿にたどり着いた。さっきから一緒になって探している(フリ)をしてくるヤツが、レセプション前まで着いてきたけど、気にしないでおこう。

「ドミトリーあります?」

「あるよ。でも、シングルルームもあるぞ?」

受付のインド人スタッフのおっちゃんが言う。ドミトリーは350ルピー(601yen)。シングルルームは400ルピー(687yen)だ。さすがに首都ということもあって、宿の値段は高い。

「いや、ドミトリーで」

「シングルどうだ?」

「ドミトリーで!」

ここに来て、日本人宿のスタッフからシングルルームを推されることになるなんて…。さすがデリー!


サンタナ・デリーは細長い建物にある。
一階はレセプションのみでは2階~4階と泊まる部屋があるのだ。2階の階段を上り切ったところにある喫煙スペースでサンタナ・バラナシでお会いしたリュウさんと再会した。

リュウさんは「リカンデント」という体をシートにもたれるようにして漕ぐ特殊な自転車で世界一周をしているチャリダーだ。リカンデントで世界一周をする日本人はリュウさんしかいないようだ。現在はウズベキスタンのビザ待ちでここに滞在しているという。

そこにもう一人。
23歳の元デザイナーで、タメ口でフレンドリーに話しかけてくる男の子だった。時々「なんとかでしょ?」みたいな感じで瞬間的に切り替わるのだが、またすぐに敬語に戻るのに何かぎこちなさのようなものを感じた。インド到着初日で10万円ボられたらしい。警察もグルになってたんだとか…。

「インドのGDPの5%はそういった「ボる」ことで稼いだお金らしいんだよね!だから僕の10万円がインドのGDPに貢献したことは間違いないですね」

うん…。お気の毒としかいい様がない。

バラナシでも名刺交換をしたヒロさんと、ここに今日やってきたコウスケさんと一緒に近くの露店にチャイをしばきにいった。

「えっ?「しばく」って….、ちょっとヤンキー的な言葉か何かですか?」

「え?「しばく」って言わない?「お茶しよう」とかそういう意味だよ」

「チャイしばきに行きましょう♪」

デリーのチャイは10ルピーと少し高かったが、みんなで飲むチャイは美味しかった。




「じゃあ僕はギター直しに行ってきます!」

「はーい。じゃあまたあとでねー♪」 

ここにやって来た目的の一つはギターの修理だ。バラナシでMartin BackPackerのひび割れを修理できたという情報を入手した僕は、これに賭けてみることにした。『同じ型を直したことがあるのだから、前回よりも短時間で修理できるに違いない!』

首都ニューデリーの路面はまさにPenny Boardにうってつけの場所だ。徒歩とPennyのプッシュを織り交ぜること30分。教えてもらった場所にはいくつも楽器屋があった。今回修理を依頼するのは「BIBA MUSIC EMPORIUM」というのがお店の名前だ。

うん。閉まってるね。

となりのホテルの従業員に何時に開店するのかを尋ねると
12時だと言う。

しかたがないので、売店でジュースをしばき(使い方あってる?)日記を書いたりして時間をつぶした。

BIBA MUSIC EMPORIUMにはロッキーさんという店主がいるみたいなんだけど、お店にいないことの方が多いそうだ。ヤツめ…「地球の歩き方」に紹介されたからって、仕事サボってるんじゃないだろうな?まぁ、その代わりに英語の喋れる弟のリッキーが店頭に立っていた。

僕はこのお店を紹介してくれたタケシさんの写真を見せるとリッキーさんは嬉しそうにして僕に握手してくれた。

「このギターなんだけど、直せますか?」
「これはけっこうヒドいね」

と言ってためらいもなくガムテープをはがすリッキー!

「ちょっ!ちょっ!はぁ、ビックリした…。な、直せるんでしょうか?いくらぐらいかかりますか?僕、4月9日にフライトがあるんで、それまでに直せないのであればお願いできません」

「3,000ルピー(5,156yen)。それじゃあ9日の19時に取りにおいで」

きたぁああああああああ!!!!
まさかの3日で修理を依頼することに僕は成功した!
ありがとう!タケシさ~~~ん!!!
ひび割れのギターを抱えること8ヶ月。ここにきてようやく修理できたよぉおおお!!!

まぁー、実を言うとですね、バラナシでも修理できたみたいなんですよ。楽器屋さんもけっこうあったしね。漫画ばかり描いてたせいでそんなことちっとも知りませんでしたよ。その事実を知った時のショックと言ったら…。ギターを修理したい人は是非デリーかバラナシへ!


来た道とは違う道を通って帰ろうと思ったら、路地に迷い込んだ。

周りにはイスラム教徒のインド人をよく見かけるようになった。デリーにはこんな場所もあったのか…。

まもなく僕が足を踏み入れることになるであろう中東。イメージとしてはどこか危険なイメージだ。だが、僕の出会ったイランを旅したことのある人々はとてもいい印象を受けたと言っていた。

『えっとー、ジェットエアウェイズの受託荷物の追加オプションってどこにあるんすかね?』
宿に戻ってクタクタになった僕は昼寝をした後、パソコンを開く。
なんとかそれらしき記載を見つけることができた。持ち込み制限15kgまでのようだ。現在のバックパックの重量は30kg。1kgあたりの超過に対してかかるお金は250ルピー。15kg分だと6,445円。
ぐぬぅ…。どうしたら...?お腹が痛い。

こんな鉢に入ったラッシー飲んだからかな?


現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。