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「そこはまるで水の中。見上げれば満天の星空」

世界一周289日目(4/13)

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「カメラやギター修理した時のレシートまだ持っている?」

一緒のドミに泊まっているユカさんと朝食を食べている時にそう言われた。

「や、持ってませんけど」

「あ~あ。保険利いたのに」

ぬあぁああああにいいいいぃいいい!!!!えっ!?じゃあカトマンンズで1万円近く払って直したカメラの修理代も、6千のギターの修理代もカバーできたってことですかぁぃぃいいい…やべぇ、朝からテンション下がった…。もう何もする気しねえ…。

世界中至る所を旅したことがあるユカさんは、僕の旅のコンサルタントでもあった。しっかりと情報収集していて、旅のテクニックなんかもあれこれ知っており、スマートな旅人だ。そのくせ荷物が30kgもあるってね。お土産がけっこうあるみたいです。

「エミレーツ航空以外そんなに手荷物で厳しくチェックされたことないなぁ。案外エアアジアとかもゆるいよ」

僕がドバイへ渡る際に、服を着まくった話をするとあっさりと言って退けた。2つ以上の手荷物を持って飛行機に乗る際に何か言われたら、泥棒みたいに大風呂敷でひとつにまとめちゃうんだって。そんな話どこかで聞いたことあるぞ。「これでひとつの荷物ですよね?」って。

「それでこの後はどんなルートで旅しようと考えてるの?」

「えっと、まだ全然決めてないんですけど、イランの後、アゼルバイジャン、グルジア、アルメニア行って、そのままトルコ。その後は飛行機でヨルダン、陸路からノースタンプでイスラエル、そのままエジプト、アフリカも行ってみたいですね~」

「今、エジプトって行けるの?それにイスラエルからエジプト陸路で行くの厳しいんじゃないの?

あと、そうなるとアフリカ行くのは夏頃だよね?夏のアフリカは死ぬよ。スーダンとか50℃とか平気で越すよ思うよ」

「へっ…」

「アフリカはやっぱり秋とかじゃないの?季節選ばなきゃ」

旅する漫画家シミの旅路はトルコからそのままヨーロッパに入りそうです…。できたらアフリカはユーロの前がよかったんだよなぁ。マラリアとか病気のこともあるし、南米は絶対行きたいしなぁ。うぅ…。好きな時に好きな場所へ行けないもんだなぁとコンサルタント・ユカの話を聞いているとそう感じた。色々情報ありがとうございました。

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物価の上昇に伴って、僕はひとつの街に長くいる気が起きなくなってしまった。イランの街が移動に不便だというのもある。

あっちこっち行くのに交通費がかかってしまうし、僕はそんなに観光熱心な旅人じゃない。イマーム・モスクも見ることができたし、夜行バスで次の街に行ってしまおう。そんなことを言う僕に対してユカさんは「えっ?エスファハーンって3日くらい滞在しないと楽しめないよ!」と言っていたが、今は先に進みたいのだ。

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とりあえず夜行バスのチケットを宿にお願いして、僕は夜までの間、エスファハーンをもう少し歩いてみることに。昨日パソコンとiPhoneを貸してあげたフランス人のファルークが「ジャーメ・モスクには絶対行ったほうがいいよ!」とオススメしてくれたのだ。

ジャーメ・モスクは宿から徒歩30分くらいの場所にある。歩いて行ける距離だ。Pennyだったらもっと早く行けるだろう。確かに街の作りは単調だが、歩いている分には退屈しないかもしれない。フレンドリーなイラン人たちはアジア人の僕にしょっちゅう声をかけてくる。

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あいかわらず「チーノ!」と声をかけてくる割合が多いので、それに対しては瞬時に「ジャポーン!」と返すようにしている。まるで合い言葉だ。向こうもこっちが日本人と分かっていた方がとっつきやすいだろう?

モスクの近くのバザールでギターを弾いてくれとせがまれたり、アイスクリームを食べながらお喋りしたり、そのほとんどは男性(そしておっちゃん)だ。僕としては女のコから声をかけてもらいたいのだけど...。

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ジャーメ・モスクはバザールにまぎれるようにして建っていた。見応えのあるモスクだ。

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圧倒的なデカさ、ブルー基調のタイルに綺麗な模様、びっしり書かれたペルシャ語、モスクを訪れると宗教ってすげーなと感じずにはいられない。それが単なる歴史的建造物ではなく、今もこうして祈りの場所として機能しているってんだからね。

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ジャーメ・モスクを後にして、そのまま昨日訪れたイマーム・モスクへと向った。


途中、ナンのようなものを焼いているお店を発見した。

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「半分サイズで売ってくれない?」とお願いすると、お店の人はタダで僕にナンをくれた。

「さあ!写真を撮っていってくれ!」とお願いするでもなく、向こうから写真撮影のリクエストを頂く。

別の場所で会ったアーミーのお兄さんは「ようこそイランへ!」なんて言ってくれた。ほんとこの街はフレンドリーだ♪

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イマーム・モスクの前でも声をかけられた。

「ど~も~!」

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お笑い芸人のような挨拶を知っているハットと眼鏡のまるっこい兄さんは「友達は日本語ペラペラなんだぜ!」と僕を絨毯屋を営む友達に引き合わせてくれた。イマーム・モスクの前でタバコもらい、お喋りしていると、僕の持っているギターに注目する彼ら。

「何か弾いてくれよ!」とお願いされ「上を向いて歩こう」を唄う。モスクのタイルにいい感じで音が反響する。絨毯屋のお兄さんは「よかったら紅茶でもどうですか?」と自分のお店の前で紅茶を僕にご馳走してくれた。

どこか不自然に感じるイラン人の話す日本語に、『ちょっと機嫌悪いのかなぁ?』と感じないこともなかったけど。

「じゃあそろそろ行くね」

「どこ行きますか?」

「モスクの中!」

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正直、イマーム・モスクの中に入ろうとは思っていなかった。入場料は400円近くもする。入ってガッカリだったら嫌しね。

世界史の資料集にもモスク内部の写真はなかったし、有名なのはモスクの入り口だけなんじゃねえの?と前日までは思っていた。そんな貧乏性の考えを変えてくれたのは他の人のブログだった。今朝方情報収集していると、このモスク内に入ったことが書かれていた。その人の書き方がよかったのかもしれない。ひたすら「すげ~!」の連発だったんだとか(笑)どんだけすげ~んだよっての。

いつもだったら『あ~、こんな感じなんだ』と写真だけで満足してしまう僕だったが、今回は自分の目でモスクの内部を見たいと思ったのだ。ためらうことなく100,000リエル払ってイマーム・モスクに入った。

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モスクの装飾は入り口にひけをとらないくらい綺麗だ。モスクの向かいにある祈りの場所は一面鮮やかなブルーのタイルが敷き詰められており、まるで水の中にいるような気持ちにさせてくれる。

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僕はサンダルを脱いでそこにあがると、日にさらされた場所は温かく、日陰の部分はひんやりと感じられた。タイルよりさらに一段上の場所で僕は寝転んだ。心が静まる...。

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ねえ、こうしてモスクの模様を眺めているとさ、星空みたいに見えない?

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イマーム広場にあるバザールは雑貨で溢れていた。

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イラン人の話を聞く限り、雑貨の70%はエスファハーンで作られるんだとか?(ほんとか?)まだイランに来たばかりで荷物を増やしたくない気持ちもあったが、ここで仕入れのチャンスを逃してしまうのはもったいない!旅から帰った後に雑貨屋さんごっこ(フリマ)の今回の仕入れ先はイラン、エスファハーンだ。

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前日も何軒かお土産屋をまわってみたが、ここでは装飾豊かなブルーのタイルや焼き物。絨毯や布製品を多く見かけることができる。

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値段はもちろんインドより高いがシーシャもここで見つけることができた。割れ物だし。かさばるから手が出せなかったけど、いいデザインだったな。

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僕が仕入れたのは綺麗な模様が入った布だ。

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日本のメディアでも取り扱われたことのあるお店らしく、ハンドメイドだ。

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「洗っても色が落ちないんだ」とお店の主人は僕にアピールする。布の使い勝手はテーブルクロスとかかな?その人のセンスでぐっとお洒落に活きてくるはずだ!

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お店のスタンプも布に押してもらえるところがポイントだ。これ一枚一枚その場でスタンプしてくれるんだよ。イランで仕入れたっぽいでしょ?

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雑貨を仕入れて僕は宿に戻った。



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「さっき夜行バスのチケットお願いしてたんだけど」

「チケット?そんなのないぞ?」

さっきとは違う受付のスタッフが言う。お願いしたスタッフに電話をかけてもらい確認したところ、チケットがとれなかったとのこと。オイオイてきとーだな。ちゃんと引き継いでおいてくれよ!

その場で返金してもらい、ローカルバスに乗ってターミナルまで行った。次なる目的地はヤズド。バスで4時間の距離らしい。

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ぼんやりと明るい19時の空の下、僕はバスに乗り込んだ。100,000リエル(400yen)。今度は頭がぼやぼやした状態でバスを降りないように、時間に気をつけながら睡眠をとった。

ヤズドに到着したのは夜中の12時だった。

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僕は寝ていても起こられなさそうなベンチを見つけ出し、バックパックを鍵で固定して、寝袋に入った。顔の部分から夜風がずっと吹き付けてくる。視線を下の方に移すと野良犬が脇目も振らずに横切っていった。ここで野良犬なんて初めて見たな。まぁベンチに寝ていれば噛まれることもあるまい。
にしても寒いよ。パトラッシュ…。やっぱりこの寝袋は室内用だなぁ…。

ここでも熟睡することはできなかった。
やっぱね、野宿に寝袋は大事だと思う(笑)

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現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。