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「インドビザと勝負服」

世界一周123日目(10/29)

宿の飲み放題のコーヒーで脳みそを目覚めさせる。

前日の夜、日付変更前の2時間半で航空券からホテルの予約、インドビザ取得のオンラインフォームを作成した僕は、データを持ってきた2GBのUSBに入れ近くのネットカフェに向かった。

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必要な書類のプリントアウトにかかるお金は1枚5バーツだった。こういう時にUSBがあると便利だ。別にクラウドにデータ保存してもいいけどね。USBのが「さくっ」とプリントアウトしてくれる感じがするよ。いらないものは沢山持ってきたけどこれは持ってきてよかった。この後も、LCCの航空券のプリントアウトに立ってくれるだろう。 

次に僕が向かったのはカメラ屋さんだ。

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ビザの申請には顔写真が必要だ。バンコクなんかでは日本と同じ様なセルフで撮るボックスがあって100バーツ(300yen)で6枚くらいとれるんだけど、
あれ、日本みたいにやり直しできないからね。バンコクでシャッターが切られた時に目をつむっちゃった欧米人がいて「あちゃ〜...撮り直しかよぉ〜...」ってなってるの見ると専門職の人にやってもらった方がいい気がする。きっと僕のことをかっこよく撮ってくれることだろう!もともとかっこいいけどね!

ここチェンマイにはFUJI FILMとKODAKのふたつのカメラ屋さんがある。別にどっちが良いとかないんだけど、僕が行ったのはFUJI FILM。今後のビザ申請のためにちょっと多めに写真を撮ることにした。

8枚で150バーツ(450yen)。お店の人に言って背景を白にしてもらい、(ビザ申請にはけっこう重要みたいだ)かぶっていたヘアバンドとメガネを外す。ちょっとだけ髪を整えて気持ち口元に笑みを浮かべ好印象を与える顔を意識した。カメラ屋のおっちゃんは表情を変えずシャッターを切った。

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感情を表に出さないおっちゃんのスタンスはまさにプロのそれだった。きっとカメラ一筋で生きてきたに違いない。そう思うと写真に期待が高まった。
おっちゃんは無表情で黙々と作業を続ける。撮った写真をパソコンに取り込みサイズを調整する姿はカッコよく見えすらした。

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そうして出来上がった写真を見るとー...

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「ぷっ...(笑)誰?この間抜け面?」

って、おれかぁあああああっっっ!!!!!!

ちょっと待ってねー...
えっと、オートフォーカスのピントを合わせて...

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ほい。

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うん!アホ面500%!!!

出来上がった写真の自分はヘアバンドのせいで髪の毛に変な癖がつき、中途半端に浮かべた笑みはアホっぽさを増長していた。さ、最近、表情筋きたえてるんだけどな...顔にしまりがないなぁ...

そして今回のビザ申請で必要なのは830バーツ(2,617yen)の申請料。

話は逸れるけど、楽天で限度額までキャッシングした場合、27日の引き下ろし後、さらに2営業日後ではないと再びキャッシングできるようにならない。今日スカイプして訊いてみて初めて知った。旅に出てから知ることばかりだ。

カンボジアでひと月の限度額ギリギリまでアメリカンドルを作った僕は10月はほとんどお金がおろせない状況だった。せっかくラオスで守りに守ったアメリカンドルを100ドル分泣く泣くバーツに替えた。



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インドビザに必要な物を揃え終えた僕はチェンマイの中心地をぶらぶらと歩いた。目的地も決めないで面白そうな路地を見つけるとそこに入っていった。

「バンコクよりかはチェンマイの方が好きっすね」
カンボジアのヤマトゲストハウスで出会った旅する美容師のりょーちくんがそう言っていた意味が分かる気がする。

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チェンマイがタイ北部の最大の都市で観光地化されていると言ってもバンコクに比べるとどこかさっぱりした印象を受けた。町と寺院と遺跡が混じり合った日本で言う京都のような街なのだろうか?

 ぶらぶら歩いていたら見つけたお寺になんとなく入ってみた。

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中にはのんびりとした顔の大仏があった。

そして仏像の脇には昼寝にちょうどいい大きさの椅子がある。僕はそこに横になりサブバッグを枕にして目を閉じた。12時半のお寺には誰も来ない。敷地内の銅鑼(どら)を叩く音が聞こえる。

『過ごしやすいなぁ...ここは...』

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町歩きをひとまず終えた僕は気になっていたお店に足を運んだ。

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宿のすぐ側にある服屋さんがずっと気になっていた。チェンマイにあるお店の中でとびぬけてセンスがいいのだ。外装といい、扱っている商品といい、かかっているBGMといい、店内に入るとお香の匂いがした。商品を見ていると日本語が聞こえる。ややっ...もしかして...

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「もしよかったら試着してくださいね〜♪」とお店の人がニッコリと僕に微笑む。この洗練されたお店はやはり日本の方のものだった。

「nanairo」はチェンマイだけでなくシンガポールや台湾 、スペインにも店舗を持つお店。なにより店長のSHINさんがたまらなく魅力的な人だった。

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社会人を3年ほどやり、21歳で海外へ出たSHINさん。SHINさんの旅のスタイルは世界を放浪するというより一カ所に長く滞在してその場所をゆっくりと深く味わう旅のスタイルだ。車で日本中をまわる旅や、仲間と一緒に車を買ってカナダで過ごす半年もあればジャック・ケルアックの様に山小屋で管理人をしながらワンシーズンを過ごし、山が雪で覆われる頃になると東南アジアへ旅に出ることもある。

以前からバッグや服をデザインしていたSHINさんは人生の偶然から仲間と一緒にタイで店を持つことになる。nanairoにはもちろんSHINさんの手がける「moonhutte(ムーンヒュッテ)」と仲間のTEPPEIさんの手がける「WANA」というブランド名の服をメインに取り扱っている。

こんな旅する人生を送っている人が僕の目にはたまらなく面白く映った。
『えっ!そんな生き方ってあるんですか!』って。
「旅する洋服屋」はそんなお二人の夢とロマンが詰まったとても魅力的なお店だ。チェンマイを訪れる旅人がいたら是非立ち寄って欲しいと思う。

商品そのものもかっこいいし、何より働いている人が素敵なのだ。
世界中から旅人の訪れるチェンマイの街でここで服を買って行った旅人が自分の国に戻った後もSHINさんたちの服を気に入りメールを送ってきた人もいるそうだ。「新作があったら売って欲しい」と。

ユニクロのVネックがヨレヨレで伸びきって袖に穴が空いてしまったので丈夫な一枚を加えたかった。お店にある服の中から僕は一枚選び出し買わせていただいた。「この服で明日のインドビザ申請乗り込みたいと思います!」

いよいよ明日はビザ申請。いい勝負服が手に入った♪


現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。