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「パソコン修理。nudie jeansゲット in ドイツ」

世界一周430日目(9/1)

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もう朝早くに移動することもない。
僕はやっとベルリンにやって来たのだ。

ここでアイツを待たなくちゃいけない。

約束の日は5日の金曜日。

ということは
僕はベルリンで4日野宿しなくちゃ
いけないってことか…。


その4日間を何もせずに
過ごすわけではない。

僕にはやらなくちゃいけないことがある。

まずMacBook Proの修理だ。

最近僕の愛用のMacちゃんがご機嫌斜めで

「Wi-Fi ハードウェアなし」とか言って
僕に心を開いてくれないのだ。

色々と彼女の機嫌を直す方法を
ネットで(iPhoneを使って)探し出し、
試してみたいのだが、
彼女の機嫌が直ることがなかった。

思えば一年以上もサブバッグに
コイツを入れて旅をしてきたもんな。

ガタがくる時期なのかもしれない。


ちなみに保険は外部からの要因で
故障されたことが証明できればカバーされるそう。

ベルリンにはAppleストアがある。
今日はそこに行ってみることにしよう。

修理に数日はかかるだろうから、
良い日程消化にはなるはずだ。

ホームレスやっておいて
パソコンなんて持っているなんて
随分と生意気だと思う。

しかも日記はパソコンからじゃないと
書けないっていう、なんたる贅沢。

キーボードを叩かないと文章を
書いている気分にならないのだ。


それにiPhoneのバッテリーって
消耗するの早くないですか?
ずっとiPhoneで日記書いてたら、
一日にどれくらいバッテリー消費するんだろう?

ポータブルバッテリーがなけりゃ
やっていけないだろうな。

僕は前日調べておいたストアの住所を
マップアプリと照らし合わせて
歩いてそこまで向かった。

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アップルストアの近くは
新宿のような感じがした。

バックパッカーには似合わなさそうな感じだ。

アップルストアは日本の
渋谷にあるものよりもずっと大きかった。

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月曜日の朝10時だと言うのに、
お客さんが何人もいる。

スタッフの人に訊いて、
MacBook Proの列に僕も並んだ。

スタッフさんはApple製品を手に
一人一人に予約があるかどうかを
尋ねて回っている。


もちろん僕に
予約なんてする余裕はなかった。

ヒッチハイクも
うまくいくかなんてわからないし、
まぁ、朝から行けばその日中に
受け付けてもらえるだとうと思ったのだ。

僕の順番がまわってきてお兄さんは
「リザーベーションはありますか」と尋ねた。
僕は「ないです」と言った。


「それでは、
予約可能な最短の日は
来週の月曜日ですね」


はっ??!!!
一週間後!!??

どんだけApple製品の需要あるんだよ!
マジで信ジランネェ…。


「えっ!ちょっと待って下さい!
僕は旅をしているんです。
ここに住んでるわけじゃないんです。

どうにかなりませんか?
一週間も滞在するなんてできません


スタッフのお兄さんは困ったような顔で言った。


「う~ん。
予約が無ければダメなんだよ。
ここじゃなくても、
別の場所なら修理してもらえるかもよ?」


マジかーーーー…。

だいたい
修理に3万円くらいかかる
らしい。

もう最近、アホみたいに
お金がすっとんでいく。

はぁ…、でもパソコンないとなぁ…

調べものとかするときも
断然パソコンがあったほうがやりやすいし、
日記も書けない。

背に腹は代えられないか…。


修理できる場所を訊き、僕はそこに向かった。

最近歩きっぱなしで、
右脚の筋だか筋肉だかが
ピンピンに張りつめている。

そんな脚をかばうように
ベルリンの街を歩いた。



Appleストアの店員さんに聞いて向かったのは
「GRAVIS」と書かれた大きなビル。

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パソコンを修理できる場所は
Apple製品を扱う綺麗なショップだった。

店員のお姉さんに整理券を発券してもらい、
僕は順番を待った。


自分の番が回って来て、
パソコンが修理できるか尋ねた

早口で英語を喋る、眼鏡をかけた
小顔のスタッフが僕の対応をしてくれた。


「はぁ、なるほど。
それで、あなたのパソコンは
保証期間内なんですか?」

「えっ?いやー、あのー、
たぶん切れてると思います。」


僕はこのパソコンを大学卒業目前の
2012年に買った。

確かその時に、勧められて
長めに保証期間をとったが、
確か1年ちょっととかそんなんだった。

カタカタとフォームを埋めて、
僕の保証が適応されるのを勝手に調べだすスタッフ。

まぁ、無理だと思うけどー...



「保証ー、適応されますね。
2015年の3月までになってますよ」

ってなんですとぉぉぉおおおーーーーーーー!!!!



思わずガッツポーズ、
隣りに並んでいたカップルが
ニコっと笑った。

ってマジかーーー!
保証されるっておれはなんて
ラッキーじゃあないかぁああああーーー!


「あ、ありがとうございます!」

「2、3日には修理は
終わると思いますので」


僕の喜びなんてそっちのけで、
スタッフは淡々と仕事を終えた。

僕は一人祝杯を上げるため、
店内の二階にあるカフェで
カプチーノを飲みながらノートに漫画を描いた。

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よし!
一番の不安要因は消え去った!

そしたらもう
あそこに行くっきゃないでしょう!


ベルリンに着たら行きたかった場所。

nudie jeansのリペアショップだ。

日本にいる時から穿き続けて、
1年7ヶ月愛用した僕のnudie jeans。

本社のあるスウェーデン、
ヨーテボルグに連れて行こうと
心に決めていたっていうのに、
アイツはチェコでバックパックごと
盗まれてしまった。

アイツの遺恨を継がなくちゃならない。


リペアショップは
なにも破れてしまったジーンズを修理するだけじゃない。

もちろん新品だって帰るし、
セカンドハンド(中古)のジーンズも手に入るのだ。

ここで新しいジーンズを買って
スウェーデンに行くのは何か違う。

僕は誰かの「想い」が詰まったジーンズを引き継いで
スウェーデンの本社へと行きたいと考えた。

時間はある。

徒歩でリペアショップまで向かった。

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リペアショップは
ほんとうにひっそりとした場所にあった。

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マンションの中庭へ行くためには、
工事現場を通り抜けなければならなかった。

一応、建物の前に看板は立っているのだが、
事前に調べておかなければ
ここにリペアショップがあるだなんて
分からないだろう。


まだオープンして一年も経っていないらしい。

昨日は日曜日ということもあり、
お店は閉まり電気は消えていた。

工事現場を通り抜けると、今日は店内は明るい。

顔のニヤケを抑えられないまま店内に入った。


まず目についたのは修理台だった。

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ピアスとタトゥーだらけのパンクな兄さんが
裁縫用のハサミを使ってジーンズを修理している。

「ハーイ!」

と声をかけた。


僕はいかにこのブランドが好きかを
誰かに聞いてほしくてたまらなかった。

だって日本にいる誰も僕の気持ちになんて、
これっぽっちも共感してくれないから。

友達ですら「へ~」って上の空だし!

5分間くらい自分のnudie jeansに対する愛を
プレゼンしたのだが、お兄さんは

そこそこに
興味があるくらいのリアクション
しかしてくれなかった。


「フ〜ン。それは大変だったねー」

というお兄さん。

あぁ!もう!
なんでここにあの履きつぶした
ジーンズがねえんだ!
くっそ!もどかしい!

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「ーというわけでね、
新しいジーンズを買いに来たんだよ」
と僕はスタッフに説明した。

オープンしたばかりのリペアショップには
中古のジーンズはそこまで置いてなかった。

ここに履きつぶしたnudie jeansを持ってくれば、
それと引き換えに20%の割引で
新しいものを代えるらしい。

並べられたジーンズには、
修理の跡の目立つボロボロのものから、

『これまだ全然穿けるじゃん!』
っていうくらい綺麗なジーンズが置いてあった。

そこで僕が見つけたのは、
オーガニックコットンを使った、
Average Joeという型。


『これだ!』

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ディズニー映画の主人公が
岩に刺さったサーベルを引き抜くあの感じ。

ハリー・ポッターが魔法の杖を
手に取ったあの感覚とも言える。

文句なしにジャストサイズだった。

ウエスト30インチ。
タグには「6months,one wash」と書かれていた。

6ヶ月間穿いて、
一度だけしか洗濯していないってことだ。

にもかかわらず全然色あせていなかった。

そして気になる値段は40ユーロ。約6,000円。
日本で買ったら19,000円するやつがだぜ?


きっと以前の持ち主は、
期待していたような色落ちが出ずに、
新しいのと引き換えにこれを置いていったのだろう。

ジーンズはすぐには買わずに、
試着したまましばらく店内でブラブラしていた。

どれだけこのジーンズが僕に馴染んでくれるか。

ベルトをしないといくぶんか心もとなかったが、
ベルトはスケーター用の20ドルくらいの
ガチャベルトをまた新しく買えばいい。

迷惑な客なことは十分承知。

だって、これは僕の旅の仲間を
増やす大事な局面なんだから!

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スタッフのお兄さんに修理キットが
余っていたらもらえないだろうかと尋ねると、
お兄さんは2セット分の生地が詰まった
リペアキットを僕にくれてた。

店内にいたもう一人の年配のスタッフは、
最初のうちは僕をめんどくさそうな顔で
見ていたのだが、ジーンズを買うのを見届けると、
僕にトートバッグをプレゼントしてくれた。

想いは伝わる!

またよろしくね!nudie!!!



そのまま僕はショッピングモールで
スケートボーダーがつける様な
汗で痛まないベルトを
クレジットカードを切って手に入れた。

最近クレジットカード使いまくりだけど、
こういうのはノリと気分だ。

気持ちよく旅できるなら
したほうがいいに決まっている!

今まで、必要以上に節約してきたけど、
これで僕の帰国が早まったことだろう。

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物欲を満たし切ると
(いや、まだまだ満ちてないけど)
僕は駅のアーケードでバスキングを始めた。

買ったばかりのギターを鳴らしたいってのもあった。

外は気づいたら雨がパラパラと降り出していた。

こんな湿った空気の中じゃ誰も財布を抜かないだろう。
これは自己満足みたいなもの。

できるだけ、顔を上げる。

目があったら、笑い返す。

自分が楽しくなくちゃ意味が無い。


1時間ほど唄って、自転車に乗った
日本人らしき男性が
僕のことを見ているのに気がついた。

近づいてきて話しかけて来てくれた。

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「日本人の方ですよね?
旅してるんですか?」

というところから話は始まり、

「え!大学4年生!!??年上かと思った!
てか釣りしながら世界を旅してるって
面白ぉぉおおお!!!」

とテンションが上がった僕はー、

気がついたら彼の泊まっている
ホステルのロビーで発泡酒を飲みながら、
日本語の喋れる医大生スイス人を交えて
楽しいひと時を過ごしていた。

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深夜1時。外は相変わらず雨。

もちろん僕はホステルなんかに泊まらない。

「じゃあ、おやすみなさーい」と
旅する釣り人とハイスペックなスイス人は
自分たちのドミトリーへと引き上げて行く。

僕は雨の中公園でテントを立てた。


現在、自作キャンピングカー「モバイルハウス」で日本を旅しながら漫画製作を続けております。 サポートしていただけると僕とマトリョーシカさん(彼女)の食事がちょっとだけ豊かになります。 Kindleでも漫画を販売しておりますのでどうぞそちらもよろしくお願いします。