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POOLO NEXTのオープンセミナー『観光/旅行のこれからを考える』いま求められている変革とは?【イベントレポート 】


この記事では、2021年5月10日に行われた、POOLO NEXTのオープンセミナー『令和の時代に必要な変革とは』についてレポートします。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大打撃を受けている観光/旅行産業。しかし、歴史を省みると、感染症の影響で、社会構成が大きく変わっていったことも。

今回のセミナーでは、そんな過去の教訓を考えると、今の時代も社会変革できるのでは?と興味深い話が満載でした。イノベーションの原理や旋風を巻き起こすヒントを、このセミナーからひも解いていきたいと思います。

今回のオープンセミナーでは、前半はプレゼンテーションの講義、後半はゲスト3名のトークセッションが行われました。観光や旅行産業を盛り上げたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

駒沢女子大学・鮫島卓先生の講義:『観光ルネサンス』

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鮫島先生が、いろいろな場所で使っているといわれる「観光ルネッサンス」という言葉。そもそも「ルネッサンス」という言葉は、中世ヨーロッパで普及した言葉です。実はルネッサンスという言葉の誕生の背景には、感染症と深く関わりがあるそう。

14世紀にヨーロッパで大流行したペスト。ユーラシア大陸の東西の交流が盛んになり、中央アジアからの貿易の品として運ばれた毛皮にたかったノミが原因で、ペストが流行したと言われています。

ペストは、犠牲者を多く出しただけではなくて、多くの変化をもたらしています。

まず、人口減少によって、地主や領主といった封建制が没落します。そして、銀行家、実業家、政治家としてフレンツェを実質的に支配する傍ら、豊富な財力を武器にした、メディチ家が台頭します。

当時は、疫病を鎮めるための手段だった宗教。しかしペストを前になす術がなく、権威を振りかざすだけのキリスト教に人々の不満が充満していました。そうして、生まれたのが「ルネサンス」でした。

ルネサンスとは、キリスト教誕生以前のギリシャやローマの文化を復興させようという動きのこと。人間本来の精神を解放して、人間のあり方を変えようとします。その中で、メディチ家は、ミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチなど素晴らしい芸術家のパトロンとなり、ルネッサンスの興隆に寄与します。

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ルネッサンスは、ローマ・キリスト教にも影響を与えました。当時のユリウス2世がみミケランジェロをローマに呼んで作らせたのが、『最後の審判』で有名なシスティーナ礼拝堂であり、サン・ピエトロ寺院でした。

今から500年前の時代が、ルネサンスの全盛期ですが、そのときの資産のおかげで、結果としてイタリアは観光文化大国として恩恵を受けているわけです。

ハワイが感染症によって激変した?!

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ヨーロッパのペストは人口の3分の1が亡くなったといわれています。その代わりに誕生したのが......

・検疫
・パスポート
・香水

検疫は英語でquarantine(クアランティ)といいますが、ペストが流行した時代、入港する船を40日間検査したことが由来でイタリア語(40という意味)が語源になっています。

さらに陸上の国境では衛生通行証の携帯が求められ、やがてパスポートへと変化。また、空気感染するといわれていたペストでは、入浴も禁止されていたそうです。体臭を隠すために誕生したのが、香水でした。

このように、ペストは、犠牲者を多く出しただけではなくて、多くの変化をもたらしているのです。

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また、日本人に人気のハワイも、感染症で激変した歴史があるそう。

産業革命時代に、探検の旅に出ていたイギリス人のキャプテン・クックがハワイに上陸します。ヨーロッパ人がハワイに上陸したことで、梅毒、淋病、インフルエンザ、腸チフスなどの感染症が持ち込まれたといいます。

50万人いた先住民は、70年後には84,000人まで激減。これによりハワイ王国は衰退し、アメリカに併合されてゆきます。

当時、サトウキビ栽培が盛んだったハワイでは労働者が足りなくなり、アジアかから移民を募ります。そうして今のような『多民族社会』が形成されました。

・混血・・・25%
・ネイティブハワイアン・・・23%
・白人系・・・18%
・日系・・・17%
・フィリピン系・・・10%

また、ハワイの代名詞ともいえるワイキキビーチ。もともとはタロイモ畑だったそうですが、アメリカの資本産業により1900年頃ビーチとして開拓されました。感染症がなければ、アメリカに併合されず、ワイキキビーチも誕生していなかったかもしれないですね。

「観光ルネッサンス」とは

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これまで見てきたイタリアやハワイの例からも分かるように、パンデミックが社会にもたらす影響は、短期的には人口減少、中長期的には人々の流入や置き換えによって、新しい文化が生まれたり、イノベーションが起こったりするわけです。

それは今回の新型コロナウイルスのパンデミックでの観光産業においても、言えることなのかもしれません。

残念ながら、コロナ禍で、観光産業では廃業が相次いだり、人材が流出したりしています。しかし、これで終わりではない。そう鮫島先生は仰います。

アフターコロナでは、新たな参入者の流入が加速します。それは、流出した人が戻ってくるということではなく、新しい人材が入ってくる。つまり、観光人材の置き換えが起こるわけです。

それこそが「観光ルネサンス」です。

アフターコロナにこそ、新たな人々の流入によって変化が起こるのではないかという期待が持てますし、真の意味での観光再生が起こりうるのです。

遊動→定住社会→そして今は...

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はるか昔、人間は遊動しながら定住をせず生活していました。やがて定住社会へと変化。定住社会は都市が大きくなり大企業も誕生し、巨大集団になります。この方が効率も生産性も上がるため、長い間、定住社会が当たり前になっていました。

しかし、今回のパンデミックにより「テレワーク」や「リモートワーク」、「ワーケーション」、「多拠点居住」という言葉が広まりました。「これはビジネストレンドだけではなく、遊動社会の復活だと思っている」。そう鮫島先生は仰います。

遊動社会の本質は、ものを所有しない、柔軟に機動的に生きるということです。場所に縛られず、移動しながら自由に生きる社会。デジタル技術を使って遊動生活をしているとも言えるのではないでしょうか。

つまり、古くて新しい選択肢を獲得できたわけです。これは、二項対立でどちらがいい・悪いという話ではなく、新しい生き方の手段を得たということ。置かれた社会状況によって、自分なりの選択ができるようになったのです。

観光の定義を見直す必要性

この社会の変化に伴って、観光の定義を見直す必要が出てきました。そこで鮫島先生が挙げたのが以下の3つのポイントです。

定住者だけでなく遊動者も対象にする
定住社会から遊動社会を内包した定義の再検討。遊動する人々は定住がないので、定住圏から非定住圏に行き、再び帰るということが合わなくなってくる。定住する人々だけではなくて、遊動する人々にも提供する旅の観光産業が必要になってくるし、そのためのインフラが必要になる。

②仕事と勉強の対極としての位置付けの検討
日常の「仕事や勉強」と、非日常の「旅」を二項対立で考えるのではなくて、仕事の中に旅があってもいいし、旅の中に仕事や勉強があっていい。そんなライフスタイルがあっていいのではないか。「仕事や勉強」と「旅」の境界のあいまいさがこれからの観光の鍵を握るのではないか。

コロナで旅は不要不急の対象になったが、旅を「自らの楽しみ」や「娯楽」というレベルにとどめていては、いつまで経っても不要不急というレッテルから逃れることはできない。人々の移動や交流を通じて、自己実現や社会変革を行うレイヤーにアップデートすべきだ。

③発地側と着地側の関係性の再考
旅行者を送る側と迎える側は異なる役割を担っていて、互いに強みと弱みがある。発地側は旅行者ニーズの把握に強い一方、着地側は地域資源を探すのが得意。それらの強みや弱みを融合した機能や組織はいまだ現れていない。

ホストとゲストを超えた関係人口が、その役割を担っていくのは期待できる。

イノベーションを生むために大切な思考法

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では具体的にイノベーションを生むためには、どんな思考が必要なのでしょう。鮫島先生は「川・海・森」を例に挙げて、分かりやすく説明されました。

▷『川を上る』=現在と過去の結合
先人たちや歴史から学ぶということ。

例えばApple創業者の一人であるスティーブ・ジョブズは、大学卒業後も、大学に潜ってカリグラフィを学びました。そして、そのカリグラフィにヒントを得ながら、Macのイノベーションが生まれていったというエピソードがあります。カリグラフィという古美術から学んで、イノベーションを起こした例でしょう。

鮫島先生は、本を読むときも古典を読むのもおすすめとのこと。また、鮫島先生は、旅をして遺跡を見るときも「文明崩壊の証で、こうなってはいけない」と反面教師にしながら、見ているそうです。

▷『海を渡る』=日本と世界の結合
日本の常識は世界の非常識だということ。海外を旅したことがある方ならわかるかもしれませんが、外国の文化の違いを認識することで、実は自分らしさを認識できるといえます。でも、違いばかりではなく、共通点もあるわけです。

ニトリの創業者である似鳥昭雄さんは、アメリカに視察旅行にいったときに、巨大チェーンを参考にしながら、SPA型の製造小売のチェーンに舵を切りました。

著書の中で、「他の視察の参加者は30人もいたのに、実際に行動したのは私だけだった。みんなアメリカはすごいけど、日本では無理だなと言っていた。私はそうは思わなかった。アメリカでできたのだから、日本でもできるはずだ」と書かれているそうです。

「二番煎じ」と言われようが、世界の例を持ち込むことで生まれるイノベーションがあるわけです。

▷『森を歩く』=異質な生き物同士の結合
森には上下関係がありません。飛行機の開発は鳥の模倣から始まりましたし、マジックテープもひっつき虫の生態からヒントを得ているとか。

ウサイン・ボルトが人類最速といってもチーターには勝てませんよね?我々人間は、一人で空を飛ぶことすらできないわけです。他の動物から謙虚に学ぶことが大切。そう鮫島先生は仰います。

物を作って発展させるということについては、人類がどの動物よりも長けていますが、他の動物にかなわないことも多々あります。「人間がいちばん」という気持ちは一度置いてみるといいかもしれません。

鮫島先生は講義の締めとして、「学ぶ内容も大切だが、そこで出会った人はもっと大切。人と人をつなぐ観光の未来を担ってほしい」と伝えています。

鮫島卓✖️加藤遼✖️清水直哉のトークセッション

ここからは第二部のゲストを迎えたトークセッションです。今回参加していただいたゲストは......

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3人はANA主催で行っている『旅と学びの協議会』でつながっており、普段から観光や旅行について意見交換しています。

清水:今回の大枠のテーマとしては「令和の観光に必要なイノベーションとは?」。まさに今、イノベーションを起こさなければと考えています。僕らなりのその答えの一つがPOOLO NEXTだと思っています。

加藤さん:僕は、ガイドブック見て宿泊・飲食を消費する旅よりも、もっと地域の人と深く交流して、地域の人と何かを一緒に創る生産者として関わる旅が好きです。旅が、消費型から生産型に変わっていくことに関心を持っています。

清水:きょうのイベント参加者も、旅のテーマや価値について改めて考え直さなくてはと感じている人も多いのではないでしょうか。

僕自身、旅は「消費」だったんです。消費対効果を考えると、旅行はコスパが悪いとずっと思っていました。今は無料のエンタメコンテンツがあるのに、その中でなぜ旅をするのか。学びになる旅って何だろうと考えていくようになって。

お二人は、旅の価値がこれからどういう風に変わっていくと思いますか?

鮫島先生:
軽さがキーワードになると思います。軽さがあるがゆえに価値があるのではないかと。なんかふわふわした感じが、よく思わない人がいるのですが、僕の意見では、旅の持つとは、中立的な立場になれるということ。「どこの国の人でもない」という価値を形にできれば、社会を動かすことができるのではと考えています。

例えば、ベルリンの壁が崩壊したのは、個人の旅行を自由化したからですよ。旅の価値が急激に変わるとは思っていませんが、その価値を見直すことで、イノベーションのきっかけになればいいなと思いますね。

清水:きょうのイベントの参加者は特に、観光客って言われるのが嫌で、旅人と言われたいと思うんです(笑)。僕らが「旅」という言葉を使っているのは、深さも緩さも受け入れてくれそうだからなんですが、今のお話に通じるところがあるかもしれませんね。

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鮫島先生:それは、加藤さんがやっているような「旅するようにはたらく」に表れていて。やっぱり旅をすることは、今まで仕事や勉強の対極に考えていたわけですね。これはまさに定住社会のやり方、生き方なんですよ。常に非日常と日常をわけ、定住と非定住を分けられて考えていた。

でも、旅するようにはたらくというのは、旅することの中に仕事もあるし、その逆もあるわけですよね。だからオフィスの作り方一つとっても、仕事することだから環境なんて考えなくていいという考え方から、良い環境で創造性が増すようなシチュエーションをつくるようになっている。

最近は学びの場でもラーニング・コモンズが注目されている。昔、図書館は静かな環境で、一言も喋ってはいけない感じだったけど、最近はざわざわして、いろんな人がいたり、カフェを併設させたり。周りの刺激を入れる中で、学びの質を高める環境づくりをしているところも増えている。多様なものが交ざりあって、旅と勉強や仕事の境界が「とけていく」。その選択肢がでてきたのはすごいことじゃないですか。

清水:僕らの会社もそうですが、業界として「観光」なのかなという。TABIPPOは、人材育成や教育から旅人を増やすアプローチをずっとしてきた会社なので。加藤さんとしては、観光や業界をどう捉えていますか?

加藤さん:弊社の企業理念は、「社会の問題点を解決する」です。リーマンショックの後に、若者たちの就職難がある一方で、中小企業は人が採用できない、いわゆる雇用のミスマッチを解消するためのプロジェクトを立ち上げた経験があります。

そして、そのプロジェクトを推進するために、全国出張をしていたのですが、東日本大震災が起こり、2011年以降は、東京と東北の往復をするようになりました。その後、国や自治体が地方創生に取り組むという流れが始まって、東北以外も旅するようになっていきました。

実際に現地に行って、いろいろな人と話した方が、実際の社会の問題がわかります。地域の人たちの困っていることも肌で感じるし、自分が知らないことだらけだと気づくんです。研修など座学で知識をつけるよりも、現地に行って自分の目でみた方が早いという感覚があり、実際に現地で人と話したり、アイディア交換したりした方が、学びも実践も早かったです。仲間も見つかるし、なんて素晴らしいんだと思いました。旅は、学びにも実践にも効率的だと思います。

一方で、観光にいくと、宿に泊まって、おいしいものを食べて、お土産を買って、帰る。僕はそれだと物足りなくなっちゃって(笑)。地域に住んでいる人と深い対話ができるみたいなところが一番の魅力なんです。僕がする旅のほとんどが人に会いに行く旅です。それがいかにエキサイティングか。実際に会って、意気投合して、なにかしようとなったら、それがビジネスになることもあります。

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清水:加藤さんみたいな人が、業界にどんどん入ってくることは大事だなと思うんですよね。さきほど、人材の流出や流入の話がありましたが、観光を捉え直す必要があると思うんです。

パソナがそういうことやっていることって、知っている人もいれば、知らない人もいる。加藤さんがやられていることは旅人が増えていくことにつながっていくし、業界も大きくなっていくし、外から人に入ってもらうことは、大事だなと。

加藤さん:僕、人に会う旅が好きすぎて、Airbnbにハマったんです。そして挙げ句の果てに、Airbnb Japanに「一緒に事業をやりませんか」とご相談して、業務提携することになりました(笑)。

地域住民の方が自分の暮らし方や知識をシェアして、民泊に泊める体験ってすごく素敵だなと思っていまして、僕から見ると新しい働き方だったんですね。Airbnbは新しい旅の形であると同時に、新しい働き方の一種だなと思っています。

観光は地域の人の面白いところ(光)を観に行くという意味があると思います。Airbnbは、まさに人に会いに行く旅だし、Airbnbのホストの方の仕事は、自分の暮らし方や知識をシェアする「シェアリングワーク」だなと捉えていました。

清水:鮫島先生ももともとHISで、どっぷり観光業界。スタディツアーの企画の仕事などをされていたわけですが、業界の閉鎖感は感じられたことありますか?

鮫島先生:実を言うと、旅行会社に入りたくて入った人間ではないので、それがよかったのかもしれない。外の目を持っていたから。メインストリームを多くの人は歩きたがるので、逆境の時にレジリエンスが働かないんです(笑)。

そういう意味では常にイノベーションは周縁部から生まれるので、そこを崩していくしかないんですよ。本当は既存の人たちが自己改革をしていけば良いんだけど、残念ながら、人間は痛い目に遭わないと変われない生き物なのです。

いまは、ドラスティックに変わっていく過渡期だと理解しています。既存の人たちに頑張って欲しいという気持ちもあるけど、加藤さんみたいに、全然今まで関係なかった人が破壊的にバンバン刺激を与えてもらうことによって、新しく生まれ変わることを期待をしています。何が起こるか楽しみですね。

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加藤さん:先日、JATA(日本旅行業協会)さんから登壇依頼が来たんです。僕に声がかかるなんて、衝撃的でした。テーマはワーケーションだったんですけど、一緒にお話させていただいたのが、旅行会社の方ばかりで。僕、それがすごくうれしかったんです。

新しい旅のあり方や、観光産業の今後をディスカッションできました。ものすごく盛り上がりまして、業界が変わろうとしているなというのを感じていて、すごくワクワクしています。

これからの観光業界に必要なスキルとは

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清水:ここで、参加者からの質問です。これから観光業界を目指す人は、どんな人材やスキルが必要だと思いますか?

鮫島先生:良い質問ですね。自分も今は大学の教員として、人材を送り出す側の立場なのですが、既存の観光産業はホスピタリティーを謳い、オペレーションを効率的にできる人間を重視しているように思います。これでは産業が変わらないですよ。出来上がったものに対してどう効率的に回すかに重きを置いているから。

だけど、今から必要なのはまさにイノベーション。いかにクリエイティブな人材の活躍こそが鍵になるわけです。自己反省も含めると、観光学の分野でも新しいイノベーションを起こすことに重きを置いていかないと、産業とのミスマッチが起きるのではと考えています。

加藤さん:私は、観光産業からまちづくり産業へ移り変わっていくのではと考えています。いままでの観光産業は「宿泊・交通・飲食・小売・体験」がベースだったけれど、そこに複業の人が加わると「仕事・オフィス」が追加され、リモートワークの人が加わると「住宅・教育・医療」まで関心が来て、両方があわさると......もうこれからの観光産業は、まちづくりそのものになってくると思っています。

我々が、淡路島に本社機能を一部移転して展開している事業は、観光にとどまらず、まちづくりにも関係してくると思います。

今までは観光市場をターゲットに、いかにサービスのコストを下げるか、売上をあげるかが中心だったので、求められる人物像としては観光ビジネスプロデューサーだったと思いますが、これからはライフスタイル市場がターゲットになってくるので、求められる人物像がローカルで働くことをデザインする、ローカルでの暮らしをデザインする、ローカルコミュニティをデザインするコーディネーターに変わっていくのではないかなと思います。

観光産業がより裾野の広い産業になりライフスタイル産業、コミュニティ産業になっていくと思います。

鮫島先生:人材像という点で言えば、やはり異文化コミュニケーションですよね。僕は鹿児島の田舎の出身。きっと、鹿児島の人と青森の人は言葉が通じないと思いますし、日本の中でも多様な文化があるわけです。世界はもっと多様です。流動化する社会の中で、相互理解を瞬時に図れるコミュニケーションが取れる人はますます求められると思います。例えば、一般の人は1年かけて本音で語り合えるのに、その人は3日で語り合える能力があるとかね。

加藤さん:いろいろな地域や組織を越境して、いろんな経験を積んで行った人ですよね。旅をし続けている人って、世界人口70億人に頑張って会おうとしている人だと思いますので、いろいろな人と対話をしていると思います。

民間のビジネスの視点だけでなくて、公共政策の視点、学者の視点、アーティストの視点とさまざま視点を持ちながら、幅広い人たちとのコミュニケーションは楽しいですし、重要です。

清水:続いての質問は「イノベーションは問題解決であるべきでしょうか。僕がやりたいのはこの問題を解決したいというものに結びついているわけではないのですが」というものです。

鮫島先生:問題解決をどう捉えるかでしょうね。すべてにおいて、課題解決があると思うんですよ、ビジネスは。それをニーズと言うか、課題と言うかの違いはあるかもしれないけど。基本的には、そこに気づく必要があるでしょうね。

まぁ、一番はやりたいことをやることですよ。しみなおなんて、そうでしょう?(笑)

清水:そうですよ。結果的に、問題解決になっているかもしれないけど、熱のあることをやらないと続かないので。続けることって難しいじゃないですか。ちゃんとやりたいことは熱のあることをやっている。加藤さんもそうでしょう?

加藤さん:僕は、自分が腹落ちをして、やりたくてしょうがないことを続けていくとアートになると思っているんです。自分のアートを、芸術としてなにか次世代に残したいと思う人々が現れれば、それは文化になり、文明になると思っていて。そういう感じがいいんじゃないかなと思います。

自分のアートを社会からイノベーションと認められるのは、自分が生きている100年の中で評価されて、大金持ちになるみたいなこともあれば、ピカソみたいにずいぶん後の人に評価されて教科書に載るみたいな場合もある。

自分のアートが社会からイノベーションとして認められて人類に貢献するという観点からいくと、自分が腹落ちしたものを一生懸命やりながら情報発信していった結果、生きている100年の間で評価されるのか、1000年後、もしかしたら1万年後なのかがわからないのが、すぐに答えがでなくて面白い。そんな感じでやると、楽しいと思いますね。

【お知らせ】POOLO NEXTとは?

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観光の未来を担う『次世代リーダーの輩出』を目的に立ち上げたPOOLO NEXT。ニューノーマルな観光を目指し、豊かに旅する時代に向かう『復興』が大切です。

元の状態に戻るのは2023年頃といわれており、観光の在り方は大きく変化していくのは必然です。しかし人材が圧倒的に足りないのが現状です。

POOLO NEXTでは、机上の空論ではない実践的な知識と経験、ビジネスプランへの圧倒的な解像度と実行力、そして、同じ想いを持った仲間たちとの出会いがあります。

これからの観光業を支えるのはあなたです!私たちと一緒に、新しい観光の在り方について学びませんか?


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取材・文:かつお
好きなときに旅がしたくて安定企業を退社した、フリーランス2年目のライター。旅も好きだが、旅先でする仕事も好き。現在はライター業をメインに、オンライン事務&SNS代行を受け持っている。スラッシュワーカーを目標に日々奮闘。

編集:五月女菜穂
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