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「起業するのに正解はない」ツーリズムイノベーション【POOLOゼミレポート】

こんにちは!TABIPPOイベントライターのかつおです。

今回、TABIPPOが運営するPOOLOで3月6日に開催された「ツーリズムイノベーションの視点 DAY3」に参入しました。

私が実際に参加したレポートを詳しく紹介します。初参加でしたが、みなさんの意見や疑問、視点などはとても興味深いものがありました。

駒沢女子大の鮫島卓先生とともに討議されたゼミ内容を見ていきましょう。

登壇者の鮫島卓先生

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ツーリズムイノベーションのゼミは、前回に引き続き鮫島先生を迎えて討議されました。鮫島先生は観光学が専門とあって、旅とビジネスを掛け合わせたゼミがとてもわかりやすかったです。

観光学とはあたらしい学問。観光を通して「人の交流」と「地域の活性化」
をつなげる分野で、地域と観光に対するニーズの先取りにもつながります。

そんな観光学専門の鮫島先生から出されたテーマは、とある政治家が経営者に転身した話題でした。

ケースメソッドを用いたディスカッション

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ケースメソッドとは、経営上の事例を使いながら、
・経営に関する問題を分析
・みんなでディスカッションして解決策を見出す
・実践的な問題解決・意思決定能力を高める
教育手法の一つです。

今回、経営の事例として出されたのは、地元で生まれ育ち、政治家から経営者へ転身した方の以下のようなお話です。

主人公は県議員でしたが知事選に出馬し、落選。そのとき気づいたのは、地元を支えてきた一次産業の現場を知らなかったこと。選挙活動では一次産業を支えたいと訴えていましたが、現場を知らなかった主人公の気持ちは人々に届かなかったのです。

そこから地元の生産者と消費者をつなぐためにさまざまなアイディアを考案。ときには周囲の賛同を得られなかったこともありますが、現在は今までの関係以上の絆が生まれました。

この行動力ある主人公の話を元に、3つのパートにわけて、ディスカッションしていきます。

討議1:ケースメソッドを読んで印象に残ったシーン

まず鮫島先生よりお題として取り上げられたのが、「ケースメソッドで印象に残ったシーン」についてです。

ここでは1人30秒ほどの時間で、一人ずつ印象に残ったシーンと、その理由を回答しました。今回25名以上の参加者だったため、着眼点も千差万別。

・生産者・消費者の関係性の逆転現象がすばらしい
・商品を「売る」というよりも、ストーリーを売っている
・主人公の行動力や人柄に魅了された
・生産と消費のベクトルに変化が生まれたのが興味深かった

などなど。印象に残ったシーンを聞くだけでも、主人公のビジネス手法に興味が湧いてきますよね。

討議2:主人公が抱えている問題や悩みを考える

次の討議は、ケースメソッドから主人公が抱えている問題や悩みを紐解くもの。

事例には主人公の悩みや抱えている問題は書かれていません。ビジネスの経緯を見ながら、主人公が苦慮した点を見つけていきます。

この討議では気づいた方が挙手して回答しました。ここで、みなさんが挙げた回答を一部紹介します。

・主人公は一次産業の現場を知らなかったことが、選挙の敗因を決めたのではないか?
・自然が相手のことではあるが、消費者に対して納期が守れなかったこと
・アイディアが決まっても前例のないビジネスだったので、価格設定が大変だったのでは?

みなさんの意見を元に、鮫島先生がわかりやすい解説を添えてくれます。この解説は、これからビジネスを始めようと考えている方にも役立つもので、なにかヒントももらえたように感じました。

例えば「市場を通してしまうと、主人公の思いが伝わりにくい」という解説。主人公は漁師や農家の商品を、市場を通さず、雑誌という形で消費者にアピールしています。

稼ぎを増やすには市場を通した方がいいとはわかっていても、生産者や主人公の思いが消費者には伝わらないため、あえてその方法を取りませんでした。

「なぜこの商品を広めたいのか」「生産者の気持ちをわかってもらうにはどうしたらいいのか」という思いは、今後のビジネスにも通じるものがあるのではないでしょうか。

そして、どの意見にも鮫島先生が「いい気づきですね」と言葉を添えているのが印象的でした。

このケースメソッドを用いた教育法の特徴は「正解はひとつではない」ということ。つまり、みなさんが出した意見はすべて正解ともいえます。また、他の意見を聞いて、さらに気づいた点を挙げていた方もいました。

討議3:主人公になったと想定した意思決定の選択肢

最後の討議は「あなたが主人公だったら、この部分で〇〇という意思決定をする」というものを考えました。

今までの討議に比べ難易度も上がったようなイメージです。

最初はみなさん苦戦していたようですが、鮫島先生から「自分ならどのようにビジネスを進めていくか、またアイディアが出たときは誰に相談するか考えてみてください」といわれると、次々とおもしろい意見が出ました。

主人公はクラウドファンディングにも挑戦していますが、どちらかというと1度の挑戦に的を絞っている印象。

このクラウドファンディングのやり方に関して

・金額設定は段階を踏んで、第一弾、第二弾と進めると思う
・呼びかけは全体に対してではなく、個別に呼びかけた方が集まると思うからその方法を取る

などの意見が出ました。このクラウドファンディングの話になったときは、チャットの書き込みも活発に。

他にも、赤字から黒字に転換させる方法として

・体験型イベントの開催
・テクノロジーを活用するとムダな部分が防げる

という意見も出ました。

一次情報は行動につながる

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今回のケースメソッドで学べた内容は以下のとおりです。

・近くと遠くの要素を融合することでイノベーションが起こる
・イノベーターは一次情報を優先する
・旅先で出会った弱いつながりがアイディア創出の助けになる
・不便益は心を動かすイノベーションになる
・コミュニティにおいて消費者は能動的かつ創造的になる

主人公は過去に選挙に敗因した経験があります。その経験は一次情報を知らなかったことも原因なのではと感じた主人公は、精力的に自分の足で情報収集。実際に目で確かめ、自ら意思決定しました。

鮫島先生いわく、この一次情報は行動につながるそうです。その行動は望ましい未来を鮮明に思い描き、絵が完成。多くの成功者は、望ましい未来の絵が完成している方がほとんどという研究結果も出ているようです。

旅は非日常を体験できるすばらしいもの。さまざまなつながりにも出会いますよね。ここから新しいアイディアが生まれ、人脈に発展することも。

主人公は自ら不便な体験を通じて消費者の気持ちを体感したことから、結果として消費者の心を動かしました。さらに生産者と消費者のベクトルを転換させ、コミュニティを積極的に活用。最終的にクラウドファンディングでも、目標金額を達成しました。

鮫島先生への質問には興味深い内容も!

最後は鮫島先生への質問タイム。

ある受講者から「事業を大きくすることのうまみとは?」という質問に対し、鮫島先生から次のような回答がありました。

「ビジネスを大きくしたいというのは野心であり、人間の本質の部分。その野心があるからこそ社会は成長し、繁栄する。簡単にいえばお金持ちになりたいということだが、2つの人間の弱さが関係している。1つは『認められたい』という心。2つ目は『利己心』だが、お金は700~800万円以上稼いでからの幸福度は変わらないという研究結果が出ている。お金(利益)は呼吸なようなものだと思っている。なければ死んでしまうが、お金のためだけに働くのは悲しいのではないか。起業することに正解はないので、自分の考えに自信を持ってほしい」

と述べられました。

また日本企業の特徴についても説明されていたのは、

「日本企業のすばらしいところは、世界的にも有数の長寿企業があること。このような企業は時代に応じて変化し続けている。アメリカのようなダイナミックさはなくとも、長寿企業が多い日本は世界にも誇れること。ここからも学んでほしい」

変化が求められている時代の今、多くの企業から学べることがたくさんあるのかもしれません。

TABIPPOが運営するPOOLOとは

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2019年に開校したPOOLOは、あたらしい大人の学校です。

1年間の長期プログラムで、グローバル人材をアップデート。旅した経験を元に社会に還元していけるような講義を中心に学んでいきます。

POOLOの詳しい内容はこちらをチェックしてみてください。

また、POOLO3期の募集を10月中旬から開始します。
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取材・文:かつお
好きなときに旅がしたくて安定企業を退社した、フリーランス2年目のライター。旅も好きだが、旅先でする仕事も好き。現在はライター業をメインに、オンライン事務&SNS代行を受け持っている。スラッシュワーカーを目標に日々奮闘。

編集:五月女菜穂
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