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note38: タシケント(2011.6.27)

【連載小説 38/100】

日本という島国の独立国家に生まれ育ち、植民地支配や国家独立の経験が自身の経験としてない者にとって、世界を旅することは国家成立の多様性を学ぶまたとない機会になる。

中央アジアに属するウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタンに加え、アフガニスタンやパキスタンの6カ国には「スタン」が付いているが、この「スタン」とは、ペルシア語で「国」や「地域」を表す言葉らしい。

その昔、ペルシア帝国の支配下にあった中東地域の国家が多数派の民族名に「スタン」を付けることで「○○族の国」という表現をしたわけだ。

「ウズベク人の国」がウズベキスタン、「カザフ人の国」がカザフスタン…という成り立ちを知れば、これらの国家の立ち位置が明確に見えてくる。
※パキスタンのみがペルシア後で「清浄な」を意味する「パーク」を付けた「清浄な国」という意味である。

ちょうど20年前の1911年にウズベキスタンをはじめとする中央アジアがソ連の崩壊にともなって主権国家として独立した史実を目の当たりにした世代の僕には背後にロシアの影が見え隠れする国々のイメージが強かったが、実際に訪れてみるとここは歴史的にも文化的にも“ペルシア”の世界である。

ウズベキスタンの魅力を探る“旅の探偵”業をはじめて間もなく調査キーワードとしてこの「スタン」が出てきたわけだが、おそらく周辺の「○○○スタン」の国々も訪れることで調査の精度は高まるのだろう。

残念ながら今回は「ウズベク人の国」のみが対象となるが、いつか周辺国家を旅する機会に備えて見聞を重ねておきたい。


さて、24日が次の訪問地を決定する「Dice Roll」デーだった。
出た目は「1」で結果は以下のメール通り。

>>>>> Dice Roll ⑦/2011.6.24-20:00<<<<<

Toshkent → Dubai
【ドバイ Dubai】

次の訪問地はアラブ首長国連邦を構成するドバイ。
7/1にウズベキスタン航空でドバイ国際空港へ。
中東屈指の国際都市にして金融センターであり観光地としても日本で人気のデスティネーションに2週間滞在する。

>>>>>SUGO6 Support Desk<<<<<

海外旅行好きの中でその名を知らない人はいまやいないだろうといってもいいほどドバイの露出は多い。
が、国家という枠組みで明確にドバイを語れるツーリストは少ないようだ。

ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)を構成する7つの首長国のひとつで、国家名を列記すると、アブダビ、ドバイ、シャールジャ、アジュマーン、ウンム・アル=カイワイン、フジャイラ、ラス・アル=ハイマになる。

UAEは「United Arab Emirates」の略だから、“幾つかの首長国の集合体”であることは理解できるとして、では「首長国って何?」と聞かれて正確に回答できる人も少ないだろう。

首長国とはイスラム世界の君主である「アミール=首長」が君臨する国家を指し、世界に様々な君主制があれどイスラム世界にのみ通用する概念なのである。

「スタン」の次は連邦国家。
楽しみである。

>> to be continued

※この作品はネット小説として2011年6月27日にアップされたものです。

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