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世界一周307日

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2011年3月10日。ひとりの旅行作家が全く新しいシステムによる世界一周の旅をスタートさせた。巡る先はアジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、オセアニアの世界6大陸。『SUGO…
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#オーストラリア

note96: シドニー(2011.12.28)

【連載小説 96/100】 1769年に西洋人としてニュージーランド初上陸を果たしたジェームズ・クックは航海を続け、翌1770年にオーストラリアへ到達した。 記録によると最初にオーストラリア大陸に上陸したのはオランダ人探検家で、1606年とクックよりも1世紀半以上前にさかのぼる。 ただし、上陸したのが大陸北部の熱帯地域で、探索の結果この大陸が植民地に向かないと判断したオランダは同地に入植しなかったため、クックが指揮したエンデバー号による大陸東海岸への到達とその後の領有宣

note97: シドニー(2011.12.31)

【連載小説 97/100】 旅人としてその空間にいるだけで幸福になれるような場所にはなかなか出会えるものではないが、僕にとってシドニー湾はその中のひとつ。 「フォトジェニックな街」とでも言えばいいのだろうか、この界隈で写真を撮ると、とにかく“絵になる”のだ。 まずはシドニーのランドマークであるオペラハウス。 帆を広げた巨大なヨットのごとき独創的な外観の建物は1973年の完成で、2007年に世界遺産に登録されている。 写真を撮るなら青空がバックの昼間はもちろん、白い屋根

note98: ケアンズ(2012.1.4)

【連載小説 98/100】 現在のシドニー近郊であるボタニー湾に初上陸したジェームズ・クック率いるエンデバー号は海岸線を測量しながらオーストラリア大陸を北上したが、1770年6月11日に船が珊瑚礁の浅瀬に乗り上げてしまい長期の修理期間と航海の遅れを余儀なくされる。 そして、クック一行が座礁した場所こそが、あまりにも有名な世界最大の珊瑚礁地帯にして世界遺産「グレートバリアリーフ」なのである。 航海にとって座礁は致命的な事態である。 クックのように“未知なる”大陸を探検した

note99: ケアンズ(2012.1.8)

【連載小説 99/100】 異国を旅していて、ご機嫌になるとつい口笛で吹いてしまう曲がある。 「Around The World」 ヴィクター・ヤングが作曲したワルツの名曲で映画『八十日間世界一周』の主題歌だ。 『海底二万里』や『月世界へ行く』で有名なジュール・ヴェルヌが1872年に発表した同名小説を映画化した作品は、「80日間で世界一周ができる」と豪語した英国の資産家フォッグ卿が2万ポンドを賭けて執事とふたりで挑戦する波瀾万丈の冒険物語。 ジュール・ヴェルヌはこの年