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世界一周307日

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2011年3月10日。ひとりの旅行作家が全く新しいシステムによる世界一周の旅をスタートさせた。巡る先はアジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、オセアニアの世界6大陸。『SUGO… もっと読む
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#ジェームズクック

note92: オークランド(2011.12.17)

【連載小説 92/100】 「生まれ変わるとしたら次はどんな職に就きたい?」と問われたなら、僕は迷わず今の仕事である“トラベルライター”と答える。 旅を愛する者としてこれほど面白い仕事はないし、この先死ぬまでこの仕事を続けたとしても、行ってみたい土地や再訪したい場所は無数に残るだろうからだ。 ただし、生まれ変わる先が過去であれば話は別だ。 もし18世紀に生まれるなら、僕は迷うことなく“海洋探検家”になって世界中を旅する道を選ぶ。 そう記して脳裏に浮かべている歴史上の人

note94: クライストチャーチ(2011.12.23)

【連載小説 94/100】 前々回、ジェームズ・クックの「エンデバー号」をはじめとするいにしえの海洋探検船の名前がスペースシャトルに引き継がれていることに触れたが、太平洋に漕ぎ出して誰も知らない新大陸を目指した西洋冒険家がようやく発見した島で出会った先住民の存在とその驚きを現代におきかえるとどうなるか? その存在の可能性は別として、宇宙飛行士が火星人や金星人と遭遇することに等しいのではないだろうか。 「そんな馬鹿な」と一笑に付されるかもしれないが、想像力を働かせてもらい

note96: シドニー(2011.12.28)

【連載小説 96/100】 1769年に西洋人としてニュージーランド初上陸を果たしたジェームズ・クックは航海を続け、翌1770年にオーストラリアへ到達した。 記録によると最初にオーストラリア大陸に上陸したのはオランダ人探検家で、1606年とクックよりも1世紀半以上前にさかのぼる。 ただし、上陸したのが大陸北部の熱帯地域で、探索の結果この大陸が植民地に向かないと判断したオランダは同地に入植しなかったため、クックが指揮したエンデバー号による大陸東海岸への到達とその後の領有宣

note98: ケアンズ(2012.1.4)

【連載小説 98/100】 現在のシドニー近郊であるボタニー湾に初上陸したジェームズ・クック率いるエンデバー号は海岸線を測量しながらオーストラリア大陸を北上したが、1770年6月11日に船が珊瑚礁の浅瀬に乗り上げてしまい長期の修理期間と航海の遅れを余儀なくされる。 そして、クック一行が座礁した場所こそが、あまりにも有名な世界最大の珊瑚礁地帯にして世界遺産「グレートバリアリーフ」なのである。 航海にとって座礁は致命的な事態である。 クックのように“未知なる”大陸を探検した