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世界一周307日

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2011年3月10日。ひとりの旅行作家が全く新しいシステムによる世界一周の旅をスタートさせた。巡る先はアジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、オセアニアの世界6大陸。『SUGO…
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#ウズベキスタン

note37: タシケント(2011.6.24)

【連載小説 37/100】 “旅を人生の住処に”年月を重ねてきた僕には、初めて訪れる地でとるふたつの行動パターンがある。 ひとつめは旅する先にゆっくりと時間をかけて馴染むべく、あまりアクティブに活動することはせず、先にその土地の全体像を把握する作業から始めるパターン。 訪問エリアの中心地にあるメジャーホテルに滞在し、ネットで情報収集したり行き交うツーリストを眺めたり近所の書店やマーケットをぶらりと訪ねたり、といった活動をこなしながらその地の歴史や文化を学び、そこから旅の

note38: タシケント(2011.6.27)

【連載小説 38/100】 日本という島国の独立国家に生まれ育ち、植民地支配や国家独立の経験が自身の経験としてない者にとって、世界を旅することは国家成立の多様性を学ぶまたとない機会になる。 中央アジアに属するウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタンに加え、アフガニスタンやパキスタンの6カ国には「スタン」が付いているが、この「スタン」とは、ペルシア語で「国」や「地域」を表す言葉らしい。 その昔、ペルシア帝国の支配下にあった中東地域の国家が多数派の民族名

note39: タシケント(2011.6.30)

【連載小説 39/100】 かつて日本でシルクロードが一大ブームになったことがある。 NHKのシリーズ・ドキュメンタリー番組『シルクロード』は確か1980年代前半の番組で日本と地中海世界をつないだ歴史的な交易路を追う旅番組は社会現象といってもいいほどの人気を博した。 当時高校生だった僕にとって海外はまだ遠く、異国への興味も薄かったから番組そのものをどれほど見ていたか不確かであるが、同時期にヒットした「異邦人」というシルクロードをテーマにした曲のことは鮮明に覚えている。